臨床遺伝学

基本情報

泌尿生殖・発達医学講座 臨床遺伝学

代表者 瀬戸 俊之病院教授(ゲノム医療センター・副センター長)・准教授

近年の遺伝医学の急速な発展と普及は、様々な基礎医学や臨床医学の進歩の基盤になっています。教育、研究、診療すべての領域において、遺伝医学、ゲノム医学の重要性が高まっています。それに伴い「遺伝子検査」に関する一般社会の関心と需要もますます高まっています。
大阪公立大学医学部附属病院における遺伝性疾患に関する診断と治療は、1990年代からは私たち小児科学教室が中心になり各科横断的に院内カンファレンスや講演会を企画し、遺伝性疾患の診療や啓発に取り組んできました。このような歴史の中、私達の臨床遺伝学教室は2019年4月に開講されました。

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場所
学舎 7階
連絡先
TEL:06-6645-3816 MAIL:setot@omu.ac.jp

 

教育方針

学部教育

平成29年3月31日に医学教育モデル・コア・カリキュラム(コアカリ)が改訂され、この改訂版コアカリでは「医学一般」に「ゲノム・染色体・遺伝子」が、「全身に及ぶ生理的変化,病態,診断,治療」に「遺伝医療・ゲノム医療」が取り入れられました。人類遺伝学の基礎内容が改訂されただけではなく、臨床遺伝学的内容が盛り込まれていることも特徴です。コアカリに取り上げられたということは、すべての大学が記載されている遺伝医学教育の内容を適切に教育することが求められることも意味していると考えられます。
本学医学研究科では遺伝子制御学教室と発達小児医学教室が中心になって学部生に対する遺伝学の講義を立ち上げたという歴史があります。現在では分子病態学講座の徳永教授が学部生に遺伝医学の講義を提供されており、今年度には遺伝カウンセラーに協力を得ながら医学部生に対して遺伝カウンセリングのロールプレイ実習も予定しています。このように基礎遺伝学と臨床遺伝学の発展的垂直統合をはかることにより、現代の医師に必須の遺伝医学の講義を提供できるのではないかと考えています 。

臨床教育(研修医の育成)

卒後教育の一貫として、研修医や医師以外のパラメディカルの方々を対象として様々な臨床教育企画に取り組んでいます。昨年度は下記の様な講演会を企画・実行いたしました。
1)平成30年度第1回遺伝診療センター・カンファレンス(参加者 73名)
     平成30年11月14日(水)市大学医学部学舎4階中講義室 総合進行役 瀬戸 俊之
  一般演題:①「ゴーシェ病が鑑別にあがった胎児水腫の1例」
       大阪市立大学大学院医学研究科発達小児医学 冬木 真規子
           ②「タナトフォリック骨異形成症の1例」同 女性生涯医学 稲葉 尚美
     特別講演:『遺伝子医療部門をめぐる最近の状況と当院の対応
                       ~出生前診断から遺伝子疾患andがんゲノムまで~』
                       兵庫医科大学病院 遺伝診療部 教授・診療部長
                       産婦人科学 教授(兼任)・診療副部長 澤井 英明先生
2)第2回遺伝診療センター・カンファレンス(参加者 67名)
     平成31年2月15日(金)市大医学部学舎4階中講義室.総合進行役 瀬戸 俊之
  特別講演:『ゲノム医療の現状と課題』
     公益財団法人 がん研究会 がんプレシジョン医療研究センター所長
     大阪市立大学 学長アドバイザー 中村 祐輔先生
3)遺伝診療セミナー in あべの(参加者 61名)
     平成31年1月17日(木)市大学医学部学舎4階小講義室1
   Opening Remarks:大阪市立大学大学院医学研究科発達小児医学 瀬戸 俊之
      一般演題:①「左室肥大から診断された高齢Fabry病の1例」
                           東住吉森本病院 循環器内科医長 宮崎 知奈美
                       ②「地域連携により診断と治療がなしえたFabry病の1例」
                           大阪市立大学大学院医学研究科発達小児医学 藤田 賢司
      特別講演:『信州大学医学部附属病院遺伝子医療研究センターの取り組み
                       ~過去・現在・そして未来へ~』
                       信州大学医学部附属病院遺伝子医療研究センター・センター長 古庄 知己先生
      Closing Remarks:大阪市立大学大学院医学研究科発達小児医学 濱崎 考史


臨床遺伝専門医取得のための専門医教育としては、大阪公立大学医学部附属病院は日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医研修施設として認められています。17名の医師が研修中です。本院でのゲノム診療外来、遺伝カウンセリングの見学、月1回のIRUD診断委員会に参加し研修を行っておられます。本学附属病院で臨床遺伝専門医の育成と輩出を積極的に行っていきたいと考えています。

研究指導

他大学や研究施設と遺伝医学に関連した共同研究を行いながら、大学院生には「大学院終了後には自立した研究者、指導者になること」を目標に研究活動を行ってもらっています。研究テーマは我々の行ってきた研究領域はもちろんのこと、大学院生の興味分野、将来の希望に則したかたちで医学研究を積み重ねていける環境を目指します。

研究について

概要

本講座は医学研究科に属する臨床の教室であること、遺伝性疾患の診断と治療、遺伝カウンセリングなど実際に患者診療を行っていることに基づいて、疾患の病態解明や治療法の開発に関する研究、現実の患者・家族が直面している問題の客観化、解決に向けた研究を目指します。
遺伝医学の進歩に基づいて数多ある遺伝性疾患の病態解明に繋がる基礎研究、トランスレーショナルリサーチやプレシジョン医療に関する研究を行ないます。
医学研究科内の基礎医学系講座、学内外の研究組織と協力、連携しながら多彩な研究を目指します。

教室を代表する業績

    1. Autophagy in the Central Nervous System and Effects of Chloroquine in Mucopolysaccharidosis Type II Mice.
      Maeda M, Seto T, Kadono C, Morimoto H, Kida S, Suga M, Nakamura M, Kataoka Y, Hamazaki T, Shintaku H.
      Int J Mol Sci. 2019 Nov 20;20(23):5829. doi: 10.3390/ijms20235829.
    2. Genomic backgrounds of Japanese patients with undiagnosed neurodevelopmental disorders.
      Yamamoto T, Ishiyama A, Okumura A, Takeshita E, Kitahara H, Kurahashi H, Oomatsu H, Kobayashi K, Imai K, Momosaki K, Okamoto N, Chong PF, Ueda R, Kira R, Shimada S, Ozasa S, Imaizumi T, Yamaguchi T, Yanagishita T, Akiyama T, Seto T, Lu Y, Oguni H, Shimojima K.
      Brain Dev. 2019. pii: S0387-7604(18)30592-8. doi: 10.1016/j.braindev.2019.05.007.
    3. Clinical Aspects and Genetic Analysis of Pediatric Neurofibromatosis Type 1 with Neurological Complications.
      Fujita K, Yamashita K, Hoshina T, Hikita N, Shimono T, Fukai K, Takenouchi T, Uehara T, Kosaki K, Saya H, Hamazaki T, Seto T.
      Osaka City Med J. 2019. 65(1): 41-54.(学位研究指導)
    4. A novel missense mutation of the STS gene in two siblings with X-linked ichthyosis, complicated by short stature, bone density reduction, epilepsy, and cryptorchidism.
      Ohyama A, Nakano H, Imanishi Y, Seto T, Tsuruta D, Fukai K.
      Clin Exp Dermatol. 2019 Jan;44(1):78-79. doi: 10.1111/ced.13741.
    5. Evaluation of the relationship between the serum immunoglobulin G2 level and repeated infectious diseases in children: a longitudinal study.
      Yamashita K, Seto T, Fukushima S, Fujita K, Hikita N, Yamamoto T, Shintaku H.
      Osaka City Med J. 2018. 64(1): 19-30.(学位研究指導)
    6. Hematopoietic Stem Cell Transplantation for Patients with Mucopolysaccharidosis II.
      Kubski F, Yabe H, Suzuki Y, Seto T, Hamazaki T, Mason RW, Xie L, Onsten TGH, Leistner-Segal S, Giugliani R, D?ng VC, Ngoc CTB, Yamaguchi S, Montano AM, Orii KE, Fukao T, Shintaku H, Orii T, Tomatsu S.
      Biol Blood Marrow Transplant. 2017;23(10):1795-1803.

    主な研究内容

    現在の主な研究テーマ

    大阪公立大学医学部附属病院・遺伝診療センターによる大阪市を中心としたIRUD診療連携の基盤構築に関する研究

    IRUD拠点病院として、大阪市内の医療機関と連携してさらなる患者・家族に対する遺伝診断とフォローを行う。

    ムコ多糖症モデルマウスを用いた中枢神経病変に関する病理学的研究

    理化学研究所と共同でムコ多糖症モデルマウスを用いて基礎研究を進めている。(論文になりました)文献1

    ファブリー病における炎症病態に関する研究

    ファブリー病の病態についてサイトカインなど炎症に着目して病態に関する研究を行っている。

    臨床への取り組み

    • 外来診療

    ①成人は大阪公立大学医学部附属病院1階ゲノム診療科外来にて毎週月・金曜日にゲノム診療外来を行なっています。
    ②小児は大阪公立大学医学部附属病院3階 小児棟・新生児科外来の1診にて、毎週火曜日(ゲノム診療外来初診)と木曜日(再診のみ)に、外来診療を行っています。

    • 遺伝子診断

    詳細な問診と身体所見でできうる限り臨床診断を行った上で、それぞれの患者に則した遺伝子解析・診断を適応します。

    • 遺伝カウンセリング

    臨床における遺伝医療が他の一般診療科と異なる点は、部門内に認定遺伝カウンセラーを擁することです。認定遺伝カウンセラーは大学院の修士課程で専門的な臨床遺伝学の教育を受けた専門性の高い専門職です。遺伝診療の一画をなす遺伝カウンセラーは必須の職であり、詳細な遺伝学的情報の聴取、正確な家系図の作成を試みた上で遺伝学的疾患のリスク評価を行います。ご本人をはじめ、ご夫婦、ご両親に対する自律的意思決定プロセスにおける支援を行ないます。

    • 地域の市民への貢献

    本学は「国立大学のコピーであってはならず、実学を重んじる」という建学の精神のもと、戦前から阿倍野という町で市民に親しみやすい大学病院として育まれてきた。時代が進み、遺伝医学という最先端で複雑な医学知識においても、病に悩む市民にわかりやすく、根気よく説明し、医療を実践していきたいと考えています。医学が進めば進むほど、地域の方々に対して市大病院の果たす役割は大きなものとなり、臨床遺伝学講座も重要な一躍を担うものと考えています。

    スタッフ

    病院教授・教室代表者 瀬戸 俊之(臨床遺伝専門医・指導医)
    研究員・遺伝カウンセラー 馬場 遙香、浄弘 裕紀子、小野 智愛、酒井 恵利

    大学院生

    堀田 純子(臨床遺伝学)、山下 朋代(臨床遺伝学)
    事務担当 安田
    研究協力者・臨床遺伝専門医

    田原 三枝(女性生涯医学・講師)、阪本 浩一(耳鼻咽喉病態学・准教授)、

    新宅 治夫(障がい医学・再生医学・特任教授)、大霜 智子(皮膚病態学・准教授)

    研究協力者・IRUD研究参加者

    伊藤 義彰(脳神経内科学・教授)、濱崎 考史(発達小児医学・教授)、橘 大介(女性生涯医学・教授)、

    角 俊幸(女性病態医学・教授)、大西 聡(発達小児医学・准教授)、本田 茂(視覚病態学・教授)、

    蔵城 雅文(腎臓病態内科学・講師)、岡山 裕紀子(中央臨床検査室・主査) 他