腎臓病態内科学

基本情報

臓器器官病態内科学講座 腎臓病態内科学

代表者 繪本 正憲教授

<講座由来>
腎臓病態内科学は大阪市立医科大学・第二内科講座を起源としています。第二内科は1950年に石井潔初代教授によって開講後、第二代和田正久教授(糖尿病学)、第三代森井浩世教授(骨・カルシウム代謝学、内分泌学)、第四代西澤良記教授(代謝内分泌学、腎臓病学、透析医学)へと引き継がれました。
2000年4月には大学院医学研究科博士課程の再編に伴い、第二内科は大学院医学研究科代謝内分泌病態内科学(附属病院では、生活習慣病・糖尿病センター(糖尿病、脂質異常症などの代謝疾患)、内分泌・骨・リウマチ内科(内分泌疾患、骨代謝疾患、関節リウマチ))と、大学院医学研究科腎臓病態内科学(附属病院では腎臓内科(腎炎・ネフローゼ症候群、慢性腎臓病、透析医学、などを担当))となっています(なお同時期に、老年医科学大講座/老年血管病態学も第二内科から派生しております。)。
腎臓病態内科学教授は代謝内分泌病態内科学教授が兼任し、西澤良記教授から、稲葉雅章教授、現在の繪本正憲教授へと引き継がれております。森克仁准教授が腎臓病態内科学(附属病院腎臓内科)を繪本正憲兼任教授のもとに担当しています。この間、腎臓内科学の分野で、腎臓内科学のみならず、代謝内分泌学とも関連付けた特徴的な研究・診療・教育活動を行って参りました。
すでに前身の第二内科講座出身の医師は約400名を超えており、大学病院をはじめとする中核病院で指導医として、地域医療をささえる勤務医・開業医として、あるいは大阪市関連保健所等の行政機関で活躍する医師として、幅広く活躍しております。

<領域とその特徴>
腎臓病態内科学・腎臓内科として最も特徴的かつ得意な診療領域は腎炎・ネフローゼ症候群です。
特に診療においては、安全なエコー下腎生検を行い(年間約120例)、病理学的診断(光学的顕微鏡、蛍光抗体法、電子顕微鏡)を正確に行ったうえで、免疫抑制療法の専門的治療を行っております。
大阪市内のみならず、大阪府下から多数の紹介患者を第三次医療機関として受け入れており、大阪府下の有数な腎臓内科中核医療機関としての責務を果たしております。また、特に糖尿病性腎症、解質・酸塩基平衡の異常などの疾患(わけてもカルシウム代謝異常)については、腎臓内科のみならず、生活習慣病・糖尿病センター、骨・内分泌内科とも密接に連携して診療と教育と研究を行っており、全身をみる内科学の中枢的な重要な領域を担当しております。

<近年の臨床、研究の動向>
近年、糸球体腎炎やネフローゼ症候群の治療においては、副腎皮質ホルモン治療に加えて、数々の新しい免疫抑制剤(シクロスポリン、プログラフ、ミゾリビン、リツキシマブ、さらに新薬、など)や血液浄化療法(選択的吸着療法、LDL吸着療法、血漿交換療法など)が臨床使用されており、その的確な治療法の確立の臨床研究、全国治験研究への参加、など当科でも最先端の臨床と研究を積極的に行っております。
近年は肥満増加、高齢化等の社会情勢の変化に伴い、従来の「保存期腎不全」と称さていた疾患概念が、慢性腎臓病(CKD)として見直され(2002年より)、CKDは日本で1300万人の患者がいると報告されています。また、統制導入疾患の第一原因疾患である糖尿病性腎症も年々増加しております。
腎臓内科は、増加しているCKD、糖尿病性腎症などの腎疾患も臨床診療と臨床研究の対象としており、その診療分野の社会的ニーズもますます高まっており、腎臓内科の果たす役割は今後さらに大きくなっております。
最近の研究は臓器毎ではなく、臓器間ネットワークが生体における恒常性維持に重要であることを示唆しており、「心腎連関」を基本概念とするCKDは、まさにその典型例であります。腎臓病態内科学は腎臓固有疾患のみならず、糖尿病・脂質異常症などの代謝性疾患、内分泌疾患、骨粗鬆症などの骨代謝性疾患、および関連する膠原病などリウマチ疾患も対象としております。
その特色を生かした独自の病態解明、診断・治療の臨床応用を目指し、研究を行っております。
主な研究対象は、糸球体腎炎・ネフローゼ症候群、慢性腎臓病・透析ではありますが、上述の如く、糖尿病腎症をはじめとする代謝異常、動脈硬化症、骨ミネラル代謝異常、また最近では睡眠障害なども加味した臨床研究にも注視し、国内外での学会活動をおこない、英文誌への論文掲載の実績も多数あげています。
基礎研究も、メサンジウム細胞や尿細管細胞の研究にとどまらず、CKDにおける尿毒症毒素とリン代謝異常・血管石灰化をテーマに若手医師を中心に精力的に行っております。

<私たちの使命>
1)腎臓内科学を通して、常に臨床医学・医療をみすえた学術的研究をおこない国内外に情報発信していくこと、2)腎臓病学に加え、内科学全般の知識、経験、技術をもち科学的思考のできる内科医(Physician’s scientist)を育成していくこと、3)一般内科管理を安全に遂行することを基本とし、腎臓内科による高度専門診療もおこなうことにより、大学病院にふさわしい高度先進医療を提供すること、の3つを重要な使命と考えています。

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場所
学舎 10階
連絡先
TEL:06-6645-3806 

 

教育方針

学部教育

  • 一般内科学に加え、腎臓内科学を中心に、さらに関連する内分泌学、代謝・糖尿病学を講義で会得していただきます。
  • その上で臨床実習においては、腎生検の見学、腎臓超音波検査見学、腎病理カンファランス参加等を通して担当症例について学び、担当教官の指導のもと、内科的考察ができることを目指します。
  • この過程を通して、将来は臓器別診療のみならず、「全人的医療」が提供できるような医師の育成を目標としています。

 

臨床教育(研修医の育成)

  • 腎臓内科、生活習慣病・糖尿病センター、骨・内分泌・リウマチ内科の3診療科を合わせた2014年度の外来初診患者数は年間約3900名、延外来患者数は年間35200名であり、病床数62床を担当する病棟診療における年間入院患者数は約960名となります。
  • そのうち、腎臓内科の入院患者は年間301人(2015年実績)です。腎臓内科疾患のみならず、糖尿病や代謝疾患などの多彩な症例の診療の中、特に入院診療を中心に臨床教育を行っています。
  • 腎臓内科としては毎週木曜日の腎病理カンファレンス(その週の腎生検例の全症例の顕微鏡カンファレンス)・腎臓内科入院症例カンファランスを行うことにより、腎臓内科的な診断・治療について指導を行います。
  • さらに毎週月曜日夕方に腎臓内科、生活習慣病糖尿病センター、内分泌・骨・リウマチ科を含む全医局員による全入院患者の臨床カンファランスを行い、その翌日火曜日午後に全入院患者の教授病棟回診を行い、ベッドサイドでの指導も行います。
  • この過程は、学生、研修医・研究医にとって幅広い内科学の教育、研修の実践の場となり、各々の専門医の基礎となるべき土台作りとしての教育的見地より重要と考えています。
  • また、当科には日本内科学会、日本腎臓学会、日本透析医学会、日本内分泌学会、日本糖尿病学会、日本リウマチ学会等の専門医が多数在籍しており、各専門医を目指す研修医・研究医の十分な指導・サポート体制が整っています。

研究指導

  • 医学博士の学位取得に向けての研究は、基本的に各々の研究分野の教員のもと、大学院生あるいは研究医に直接指導が行われます。
  • 当講座の特徴としては、腎臓内科のみに限局して研究を行うのみならず、幅広く他分野と協力し(特に、代謝・内分泌学など)、諸分野の研究分野の垣根をなくし、相互の境界領域や研究方法を共有することで、その業績につなげていることです。実際、週1回の研究カンファランス(水曜日午後)では、各々の研究分野の大学院生・研究医が現在の研究状況をプレゼンテーションし、教室員全員で情報共有、ディスカッションすることを重要視しており、大学院生・研究医の重要な研究教育の場となっております。この場でのプレゼンテーション教育が、優れた学会発表につながり、さらに論文執筆の源になっています。
  • また当教室出身者には多くの海外留学経験者がおり、学位取得後の海外留学をめざして基礎研究に打ち込む大学院生も在籍しております。現在も米国にて腎臓病学の分野で研鑽を積んでいる留学生もおります(米国Yale 大学やWashington大学など)。

研究について

概要

  • 腎臓内科学を中心に臨床研究、基礎研究ともに、国内だけではなく、海外の関連学会で発表し(特に米国腎臓学会、欧州腎臓学会発表を最重視しています)、英語原著論文を執筆することを最大の目標にしており、世界トップレベルの研究と情報発信の維持を目指しています。
  • さらに完遂したプロジェクトを基に、当教室の特色である幅広い分野の相互連関を生かし、情報を共有しながら、ユニークなテーマを創造し、研究業績をあげることを目指します。
  • 教員だけでなく、大学院・研究医を含め、研究に携わる全員の姿勢であるべきである、と考えています。

教室を代表する業績

  • 腎不全患者、糖尿病性腎症患者における、ドプラー超音波法の臨床的有用性を確立して、教科書に引用されました(Ishimura E, et al. Kidney Int 1997, Matsumoto N, et al. Nephrol Dial Transplant 2002, Matsumoto N, et al. Nephron 2000, Matsumoto N, et al. Nephrol Dial Transplant 2002)。
  • 透析患者の脂肪量が栄養指標の指標となること、また慢性炎症と関連することを初めて報告しました(Ishimura E, et al. J Am Soc Nephrol 2001, Ishimura E, et al. Am J Kidney Dis 2003, Ishimura E, et al. Nephron Clin Pract 2011)
  • 腎不全患者で動脈硬化症が亢進しておりその原因に高リン血症が関与していることを報告しました(Ishimura E, et al. J Nephrol 2007, Ishimura E, et al. Am J Kidney Dis 2001, Ishimura E, et al. Am J Kidney Dis 2005)
  • 透析患者のβ2ミクログロブリンが生命予後に関連することを初めて報告し、High performance membraneの臨床的重要性を示しました(Okuno S, et al. Nephrol Dial Transplant 2008)
  • 透析患者における血糖管理の重要性を世界に先駆け報告し、その後の同分野の研究に多大な影響を与えました (Morioka T, et al. Diabetes Care 2001) (Oomichi T, et al. Diabetes Care2006) (Ishimura E, et al. Diabetes Res Clin Pract 2009)
  • 透析患者における血糖管理指標としてのグリコアルブミンの有用性を世界で初めて報告し(Inaba M et al., J Am Soc Nephrol 2007)、また血糖コントロール不良が糖尿病透析患者の血管石灰化につながることを報告し(Ishimura E, et al. Diabetologia 2002)、日本の「血液透析患者の糖尿病治療ガイド2012」作成に大きなエビデンスを与えました
  • CKD 患者のビタミンD代謝の異常を報告し(Ishimura E, et al. Kidney Int 1998)、透析患者におけるビタミンD投与が生命予後を改善することを報告しました(Shoji T, et al., Nephrol Dial Transplant 2004)
  • 透析患者の骨代謝マーカーのアルカリフォスファターゼが体格、特に脂肪量に影響すること(Ishimura E, et al, J Clin Endoclinol Metab 2013)や、新規骨代謝マーカーであるSclerostinが有用な骨量の指標となる(Ishimura E, et al. J Clin Enodclinol Metab 2014)ことを報告しました。次の「日本のCKD-MBD診療ガイドライン」作成に強く影響を与えるものでありました
  • 近年頻用される推算糸球体濾過量(eGFR)は糖尿病患者では高血糖による影響を受けるため真のGFRより高く見積もられることを示し (Tsuda A, et al. Diabetes Care, 2014)、また血糖コントロール不良が糸球体内圧亢進させることを初めてヒトで示しました(Diabetes Res Clin Pract 2014)
  • 尿毒症毒素であるインドキシル硫酸が、石灰化抑制糖蛋白質fetuin-Aの肝での発現・産生を抑制することを報告し、透析患者の予後悪化の機序のひとつである可能性を報告しました(Ochi A. et al. Nephrol Dial Transplant 2015)
  • 新しく発見されたNephronectinが糖尿病性腎症糸球体で過剰に発現されていることを新しい手法パラフィン切片の単離糸球体のプロテオーム解析で示し(Nakatani S, et al. Nephrol Dial Transplant 2012)、さらにヒト腎生検標本の免疫染色で確認して(Nakatani S, et al. Nephron Clin Pract 2014)、糖尿病性腎症の臨床的新規マーカーになることを報告しました
  • 透析患者の毛髪において、新しい測定系のinductively coupled plasma-atomic emission spectrometryを用いた解析で、微量元素測定を行い、透析患者特有の微量元素の増減の現状と(Ochi A, et al. Biol Trace Elem Res 2011)、QOLとの関連(Ther Apher Dial 2012)、さらに左室肥大と毛髪中マグネシウムが関係することを報告し(Ochi A, et al. Circ J 2014)、透析患者の毛髪を用いる非侵襲的な新しい検査法を提唱し、反響を呼びました

主な研究内容

現在の主な研究テーマ

腎内血行動態の精密測定によるその異常に影響する因子の解析(臨床)

近年、CKDの概念の普及に伴い、腎機能の評価法も注目されています。臨床で頻用されるeGFRに対し、当院腎臓内科ではイヌリンクリアランスを用いることにより真のGFR測定を行っています。このアプローチにより上述のように糖尿病患者ではeGFRがGFRと解離することを報告し注目されました。ヒトにおけるイヌリンクリアランス、並びに、バラアミノ馬尿酸クリアランスの同時測定により計測される腎内血行動態の計測解析の研究を続けており、尿酸が腎内血行動態に及ぼす影響、境界型耐糖能異常患者における腎内血行動態異常の存在、甲状腺ホルモンや各種ホルモンや代謝異常が腎内血行動態異常に及ぼす影響、などにつき、現在精力的に研究を行っています。

透析医学・慢性腎臓病(臨床)

透析患者のCKD-MBDにつき、関連透析施設との共同研究で、マグネシウムに注目して、その関連を研究しています。その一部は、論文化されており(Ishimura E, et al. Mag Res 2007, Ishimura E, et al. Clin Nephrol 2007)、さらに近年では低マグネシウム状態が腎性貧血を増悪させることも見出しており、学会発表し、論文化を目指しています。現在、至適マグネシウム濃度と考えられる 1.25 mEq/Lの濃度の透析液開発を検討しています。また、新しい骨代謝マーカーであるTNF-related apoptosis-inducing ligandの骨代謝への影響につき検索中です。また、サルコペニアやフレイルに関連する臨床的指標となり得る新しい指標であるMuscle quality (筋力をDXAで計測される筋肉量で除した値)とリン、鉄代謝、マグネシウム、などとの関連を学会発表を精力的に行い、現在その論文化をしているところです。サルコペニアやフレイルにおける糖尿病やリンの影響を研究し、学会発表し、論文化を目指しています。睡眠障害も透析患者で多くみられる状態であり、透析患者のQOLを悪化する病態です。現在、透析患者の睡眠障害の実態を検討し、血清リン、低栄養との関連を研究し、学会発表し、研究を進めているところです。
糖尿病腎症の進行防止への対策は非常に重要です。近年は糖尿病腎不全・透析患者では低血糖を生じさせず、適切な血糖コントロール行うことの重要性が指摘されております。以上のことから、腎臓病態内科学では代謝内分泌病態内科学のスタッフと共同で現在、最適な血糖コントロールを探るため、最新テクノロジーで臨床応用可能となった持続血糖モニター(CGM)等を導入し、様々な臨床研究を行っております。腎不全におけるインスリン療法、さらに発展の目覚ましい経口血糖降下薬についても、多くの当講座に関連する透析病院・クリニックとも連携し、積極的に介入試験を行い、糖尿病腎不全・透析患者の予後改善を目指した研究に挑んでおります。
当科に関連する多くの関連透析病院・クリニックと連携し、これまで多くの透析患者における栄養・糖尿病・代謝障害、骨・カルシウム・リン代謝、動脈硬化などの研究成果を上げてきました。現在も新たな約1700名の透析患者からなるコホート研究を立ち上げ、データを集積中です。時代・社会のニーズに応えるべく、腎臓病学に留まらず、認知症やサルコペニアなど、将来を見据えたテーマにも取り組んでおります。

慢性腎臓病(基礎)

糖尿病腎症をはじめとするCKD、透析患者で生じる代謝異常、動脈硬化・血管石灰化の機序を解明するための基礎研究も行っております。ヒトの糸球体サンプルを用いたプロテオーム解析により糖尿病腎症の進展にnephronectinが関与する可能性を報告し、さらにnephronectin発現は他の原発性糸球体腎炎と比較し糖尿病腎症に特異性が高いことも示しております(Nakatani S, et al. Nephrol Dial Transplant 2012, Nakatani S, et al. Nephron Clin Pract 2014)。尿中Nephronectinが新規バイオマーカーとなりうるかどうか、ヒトと動物で検討中です。尿中のプロテオーム解析をつうじて、さらに新規のバイオマーカーがあるか、検討予定であります。
また、尿中アンジオテンシノーゲンが糖尿病性腎症悪化ともに、また、血糖コントロール不良状態とともに上昇していることを発見していますが(Nakatani S, et al. Diabetes Res Clin Pract 2014)、腎内レニン・アンジオテンシン系の亢進が腎症の進展、ならびに、腎症進展のマーカーになるか検討しているところです。
またインスリン抵抗性惹起作用や石灰化抑制作用を有する多機能糖蛋白質fetuin-Aは、腎臓病学・透析医学と栄養代謝学をつなぎ、さらに生命予後に影響する因子であるため、積極的に研究をすすめています。これまで尿毒症毒素であるインドキシル硫酸がfetuin-A発現を抑制するため、透析患者における予後悪化につながる可能性を報告しております(Ochi A. et al. Nephrol Dial Transplant 2015)。現在はfetuin-Aとカルシウム・リンで構成されるコロイド粒子の生体内での意義について培養細胞を用いた研究をすすめており、将来は、実臨床における意義につき検証をすすめる予定です。

慢性腎臓病(臨床)

上述しましたが、当科では、腎エコー検査法、わけてもドプラーエコー法の臨床的有用性を世界に先駆けて確立し、これらの報告は、教科書にも引用されており、実臨床に役立つ検査法として用いられてきています。現在、このエコー法を用いて、腎臓の線維化を非侵襲的に評価する方法を開発検討中です。肝臓内科で用いられる、フィブロスキャン法(Shear wave法)であり、肝胆膵病態内科学と共同開発をしています。数年中には、この方法の李腎臓内科における臨床的意義を確立させるべく、臨床研究中です。

慢性腎臓病(臨床)

近年注目されてきた、新しいCKD-MBDのマーカーである、血清Klotho, FGF-23濃度を非透析CKD患者と、透析患者で測定し、その臨床的意義を確立する研究をスタートしております。まだ、予備解析の段階ですが、新しい臨床的意義づけが近年中に確立できるものと考えております。また、尿酸代謝に関係するXanthine oxidaseの血清中濃度が、動脈硬化症に関与する可能性に付き注目しており、非透析CKD患者と、透析患者で測定し解析を準備しております。さらに、尿中メガリンが非透析CKD患者で減少しており、特に糖尿病性腎症患者で減少している可能性があり、現在、その測定とビタミンD代謝への関わりにつき、予備的解析をしています。 

臨床への取り組み

近年、糸球体腎炎・ネフローゼ症候群の新しい治療法の展開がみられ、さらに慢性腎臓病 (CKD)の概念の普及とともに腎臓内科の果たす役割が非常に大きくなっています。軽度の検尿異常から末期腎不全まで多岐にわたりますが、特にネフローゼ症候群や活動性腎炎が疑われる症例に対しては積極的に安全な腎生検を施行し、専門性の高い診断・診療を提供しています。最近は年間約120症例の腎生検の実績を上げています。また、ネフローゼ症候群・腎炎に対しては最新の知見・エビデンスに基づいた治療に努めています。さらに生活習慣病・糖尿病センターと協力し、糖尿病腎症による透析導入の抑制のため、透析予防外来も開設しています。内分泌・骨・リウマチ科と協力して、副腎皮質ホルモン治療患者や慢性腎臓病患者の骨代謝異常の治療の指針作りの研究を展開しています。透析患者の代謝異常、骨病変(CKD-MBD)、動脈硬化症、新しい透析液の開発、などの臨床研究と治療法の開発を続けています。

スタッフ

教授 繪本 正憲
准教授 森 克仁

 

参考写真

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