研究活動

保健師実践活動の明確化と、活動方法論や評価方法の開発

保健師活動のエビデンスについては、まだまだ明確化されていないものが多くあります。熟練保健師の実践知をもとに活動を明確化し、実践に活用・還元を目指した研究を行っています。また、保健師活動の基盤となる地域診断に関する教育実践や方法論の開発、評価に関する研究を行っています。

健康に影響を及ぼす環境要因の分析や健康の保持・増進、QOLの向上に向けた研究

人々の健康は、身体的な側面以外にも心理・社会的な要因によっても大きな影響を受けており、年代や生活環境等の違いによっても、健康課題は様々です。そのため、地域で生活する個人や集団に対する予防的な視点を重視した支援方法の開発や地域看護活動の場で活用できるエビデンスの構築に向け、日々研究を行っています。これまでは、主に成人や高齢者を対象にした研究が中心でしたが、今後は乳幼児にも着目し、研究を行っていく予定です。

地域・職域連携推進に関する研究

自治体では健康寿命の延伸を目標に、年齢を重ねても健康で質の高い生活が送れるよう健康づくり活動が進められています。そのためには、青年期・壮年期からの生活習慣病予防が重要です。自治体では地域・職域連携推進協議会を設置し、事業所や保険者と連携して地域・職域連携推進事業の実施をはじめ、さまざまな健康支援を実施していますが、なかなかうまく進められていないのが現状です。働き盛り世代からの健康づくりを促進して行くために、地域・職域連携の要である地域・職域連携推進協議会をより効率的・効果的に進めて行くための仕組みについて検討しています。

高齢者のフレイルの実態とその予防に関する研究

近年、「健康」と「要介護状態」の中間にある状態“フレイル”が着目されています。行政機関と協働して、高齢者のフレイルの実態やその予防方法に関する研究を行っています。また、合わせて”足指力”に関する研究も行っています。

地域高齢者の社会関係に関する研究

高齢化がすすむ現在、地域包括ケアシステムを構築するうえでも高齢者の社会的孤立は喫緊の課題です。社会的孤立を予防するために、高齢者の社会関係(ソーシャル・ネットワーク、ソーシャル・サポート、ソーシャル・キャピタル)に着目した見守り支援に関する研究を行っています。

新興・再興感染症に対応できる人材育成、危機管理体制についての研究

国際的な交流が盛んになったことで、さまざまな新興・再興感染症が世界各地で起こるようになっています。感染症の流行は人々の健康だけでなく、生活面や経済面にも大きな影響を与えます。COVID19や結核などの感染症患者対応や保健師の支援行動、危機管理体制についての研究を行っています。

学校での重大事故に遭遇した養護教諭への支援に関する研究

学校が危機的な出来事に遭遇した際に養護教諭に求められる役割は非常に多岐にわたり、事故発生時の救急処置や事故発生後は長期にわたる心のケア等重要な役割を担っています。被害を受けた子どもとの関係によっては、養護教諭自身も大きな衝撃を受けながら多くの役割を遂行することになります。そのため、養護教諭への支援についての研究を行っています。