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2023年2月28日
2023年2月19日(日)に、都市科学・防災研究センターの1年間の活動内容や成果を報告するため、国内外の関連研究者コミュニティ、そして本センターの若手研究者による研究成果報告を兼ねた国際シンポジウムを開催しました。
【重松所長による開会の挨拶】
共同研究1
【古下政義さんによる報告の様子】
最初の公募型共同研究の採択課題の報告者として、堺市の職員で本センター特別研究員でもあり、包摂都市ネットワークジャパンの副代表を務めている、古下政義さんによる報告がありました。
「包摂都市ネットワークジャパン(ICN-Japan)」は、当センターの都市研究の実践的なプラットフォームとして形成を進めている「東アジア包摂都市ネットワーク(EA-ICN)」の日本側の受け皿組織として、研究者のみならず自治体の職員、都市の包摂的な再編に向けて現場で奮闘しているワーカーが共同して活動を行っている組織です。本報告ではEA-ICNの1年間の実践的研究活動が報告されました。年に数回にわたって自治体職員間の政策や人材交流に貢献している「都市行政ネットワーク・セミナー」の開催内容、2022年8月に大阪で開催した「第11回東アジア包摂都市ネットワーク・ワークショップ」による成果等が報告され、次年度以降も引き継いでいく決意が新たにされました。
共同研究2
最初に、本センターの特別研究員で関西福祉科学大学教授の森口由佳子さんが、昨年12月より実施した住吉区内の小中学校の教員を対象とした調査からの知見を基に、現状把握と今後の地域連携の課題への対応に向けた調査結果を報告しました。
共同研究3
それに次いで、同じく本センター特別研究員で同志社大学大学院留学生助手(現在、県立広島大学助教)の楊 慧敏さんからは、同調査の中から外国にルーツを持つヤングケアラーに焦点を当てた、学校現場の教員の現状認識や学校側の対応について報告がありました。
大阪大学教授のほんま なほさんからは、元ホームレスや地域居住の高齢者を中心に構成され、あいりん地区を中心に活動している「紙芝居劇団むすび」を対象としたアクションリサーチの報告がありました。
最後の共同研究課題の報告として、本センターの中川 眞 特任教授による奈良県十津川を対象としたアクションリサーチの様子が報告され、その後会場に集まった聴衆からの質疑も交えて議論を深めることができました。
その後、特別研究員研究報告会に移り、坂本知壽子さん、そして市道寛也さんによる研究報告を最後に午前中のセッションがすべて終了しました。
午後からは本センターの国外の研究パートナーとして様々な場面で共同研究を進めてきた関連研究者に登壇していただき、「東アジアにおける子ども・若者支援」に焦点を当てた国際シンポジウムを開催しました。
本シンポジウムは、東アジア都市における子どもや若者の現状を共有し、将来の都市づくりの中心となる次世代育成の課題を模索するための場として企画しました。新型コロナウィルスによるパンデミックの影響も加わり、様々な場面で社会の亀裂が顕在化しています。そんな中、家族のみならず地域社会でも閉塞感が高まり、孤独や孤立ともかかわる様々な困窮事案が繰り返し起き、メディアでも連日報道されています。とりわけ子どもの貧困にかかわる虐待、また子どもや若者がケアを担当することによるヤングケアラーの問題など、子どもや若者関連の問題が指摘されてきたことは記憶に新しいかと思います。一方、2022年12月に「全世代型社会保障構築会議」の報告書が出され、「全世代で支え合い、人口減少・超高齢社会の課題を克服する」ための基本的方向が示されました。その中心には「地域共生社会」の実現が打ち出されています。本年(2023年)4月には「子ども家庭庁」が発足され課題解決に向けた本格的な取り組みも始まっています。本シンポジウムでは、東アジア各都市の課題や実践等を共有し、当センターが取り組む「レジリエントな都市づくり」のビジョンを模索していくための一歩として、関連研究者コミュニティからの発言を基に積極的な議論を展開することができました。
【香港城市大学教授YIP NGAI MINGさんによる報告の様子】
【国立台湾大学副教授HUANG LI LINGさんによる報告の様子】
【韓国保健社会研究院主任研究員LIM DEOKYOUNGさんによる報告の様子】
20230219.pdf(PDF文書:1.6MB)