新着情報
2025年10月22日
- レポート
- イベント
第14回東アジア包摂都市ネットワーク・ワークショップ開催報告
東アジアの都市が持ち回りで開催している「東アジア包摂都市ネットワーク・ワークショップ」の第14回ワークショップが、本年8月28日から30日までに韓国のソウル市内各所で開催されました。
今回のワークショップの全体を包括するメインテーマは、
「都市の暮らしを紡ぐ:ケア、地域共同体、そして包摂の経験」です。
東アジアの諸都市が共通して抱える問題として、人口高齢化や少子化に伴う人口減少の課題が取り上げられます。さらに、経済のグローバル化やデジタル化による影響に伴い雇用の不安定化が加速化し、非正規労働者の急増による雇用の揺らぎや、単身世帯の増加や未婚、ひとり親の増加などによる近代家族モデルの揺らぎも指摘されています。そのような中、グローバルな人口移動に伴い国際移民が増加し、都市の労働力不足を埋める形で雇用市場の底辺を支える人材になりました。彼・彼女らはとりわけ高齢化の進展に伴う介護関連分野の従事者として吸収されることが多く、これには東南アジアからの女性労働者が多く占めていることから、二重労働市場の形成への懸念も指摘されています。こうした人びとは都市的サービスや生活保障に必要な住居、子どもの教育や医療など各種社会サービスに手が届かない状態である場合も多くみられ、社会的孤立・孤独のような問題に拡大することも危惧されています。
また、近年は日本のみならず東アジア各地でもケアを取り巻く様々な問題が起きています。都市や地域社会がケア機能を喪失してしまったことが、こうした問題を浮上させる背景の一つだと思います。また、大人が担うべき介護や家事などのケアを子どもや若者が担うヤングケアラー問題、女性の社会進出が増えるにつれ、晩婚化や晩産化が進み、出産による育児の負担と両親の介護が重なってしまうことによるダブルケア問題など、ケアを取り巻く様々な事象への対応が求められるようになりました。
このような問題は、ポスト工業社会が直面することになった、「新たな社会的リスク(New Social Risk)」ともいわれ、男性稼ぎ主の所得維持に重点を置いた考え方からの刷新が求められるようになっています。
| 8月28日(木) | 8月29日(金) | 8月30日(土) | |
|---|---|---|---|
|
午前の部 9:30~13:00 |
歓迎の挨拶、祝辞 基調講演 |
現地視察(FW)説明 |
【セッション3】 不安定な暮らし:と市民の一員としての非正規労働者とホームレス |
|
【セッション1】 都市のウェルビーイングのための住まいと地域でのケア |
FWⅠ:城東地域 ・ サグンスマートヘルスケアセンター ・ 幸福信用協同組合 |
【セッション4】 異邦人からご近所さんへ:移民者、そして都市への帰属感 |
|
|
午後の部 13:00~17:00 |
【セッション2】 共有未来のための地域社会:回復とケア |
FWⅡ&昼食 ・ 露天商コミュニティ(広場市場界隈、清渓川開発関連争点) |
【セッション5】 空間―人―社会をつなぐ都市デザイン |
|
FWⅢ:永登浦地域 ・ 非正規労働者シェルター ・ ソウル外国人住民支援センター |
討論・閉会の挨拶 「ともに編んできた都市の暮らし、その次の物語」 |
【第14回東アジア包摂都市ネットワーク・ワークショップポスター】
以下のリンクからは、期間中の動画や写真、資料集等をご覧いただけます。
14th EA-ICN Conference - https://sites.google.com/view/14th-ea-icn-conference/%ED%99%88
【写真1:初日の世宗大学の会場にて】
【写真2:8月29日の現地視察の会場にて】