先端的都市研究拠点
目的と概要
2014年4月、旧大阪市立大学都市研究プラザ(Urban Research Plaza, Osaka City University)は、文部科学省より共同利用・共同研究拠点「先端的都市研究拠点」として認定されました(研究分野:都市研究)。本拠点は、都市をフィールドに、文化創造と社会包摂に資する先端的都市論を構築し、「21世紀型のレジリエント(復元力に富んだ)都市」の理念モデルおよび実践モデルを創出することを目的としています。
この取り組みは、文部科学省グローバルCOEプログラム「文化創造と社会的包摂に向けた都市の再構築」(2007年度〜2011年度)で培われた、国際的な地域連携型の学知と実践知の蓄積を基盤としています。ソウル、台北、バンコクなど東アジアの都市とのネットワークや、国内外の包摂型現場ネットワークと連携しながら、多様な都市課題に応答する共同研究を展開してきました。
そうした基盤の上に、本拠点は都市の現場に根ざした協働的かつ実践的な研究の展開を重視し、地域社会との関係性の中で課題を見出し、知見を蓄積し、それを再び現場へ還元するという循環的な研究実践を進めています。また、専門性と実践性を併せ持つアクションリサーチャーの育成にも積極的に取り組んできました。
2022年4月には、大阪市立大学と大阪府立大学の統合により大阪公立大学が開学し、都市研究プラザの機能は都市科学・防災研究センターへと継承されました。2020年度の認定更新を経て、先端的都市研究拠点としての活動は現在も継続・発展しています。
本拠点では、以下の4つを重点目標として掲げ、活動を展開しています。
- 国内外の大学・研究機関・地域団体等とのネットワークの強化
- 国際公募による共同研究の高度化と制度的展開
- アクションリサーチを担う多様な人材(研究者・実務家・若手)の育成
- 研究成果の国際的な発信と社会的還元
これらの取組を通じて、都市の文化・社会・防災・環境を横断する学際的研究を推進し、持続可能かつ包摂的な都市のあり方を地域とともに共創していくことを目指しています。
参考リンク:
文部科学省 平成26年度からの共同利用・共同研究拠点の認定について
文部科学省 令和2年度からの共同利用・共同研究拠点の認定について
拠点としての主要な取り組みは、以下のとおりです。
①共同研究の推進
都市に焦点をあてた共同研究を公募し、採択された共同研究に対しては、研究費の一部を補助しています。また、採択された共同研究の成果を、ブックレットとして刊行しています。
②若手研究者の育成
都市研究を志す若手研究者を対象に、特別研究員の公募を実施し、採用された者には給与や研究費を支給しています。
③東アジアの諸都市を対象とした国際的共同研究の推進
ソウル、台北、香港、バンコク、ジョグジャカルタ等の東アジアの諸都市の研究機関との共同研究体制を構築し、それらの研究機関と共同で、東アジアの諸都市を対象とした国際的共同研究を推進しています。
公募型共同研究
本共同利用・共同研究拠点は、国内外の大学・研究機関とのネットワークを活かし、都市科学や都市防災に関する学際的研究を推進しています。
その一環として、分野横断的・文理融合的な研究や、地域社会・市民団体との連携に資する研究を対象に、共同研究課題を公募しています。都市研究資源と国際的ネットワークを活用し、実践的かつ先端的な研究を展開します。
公募要領
2025年度「共同利用・共同研究事業」研究課題公募のお知らせ(募集期間は終了しました)
2025年度採択課題
| 研究代表者 | 研究代表者所属 | 研究テーマ | 領域 |
|---|---|---|---|
| 宮川 卓也 | 広島修道大学 | 大規模水害を想定した一時避難場所と長期避難場所の認知と行動選択 -広島市本通商店街における避難場所選択行動を事例に- | コミュニティ防災研究 |
先端都市特別研究員(若手)
本共同利用・共同研究拠点の事業の一環として、国際水準の先端的都市研究に取り組む若手研究者の研究活動を支援するため、「先端都市特別研究員(若手)」を採用しています。
募集要項
2025年度前期採用分の募集は終了しました。
応募者は、常設の共同研究課題のいずれかに参画することを必須としています。
応募にあたっては、必ず、最新の受入研究プロジェクトをご確認ください。
2025年度採用者
| 氏名 | 採用時所属 | 研究テーマ | 受入研究者 |
|---|---|---|---|
| KIM Sonia | 大阪公立大学都市科学・防災研究センター | 釜山における日本語学習を通じた市民交流とその社会的意義 | 全 泓奎 |
| 李 書陽 | 大阪公立大学都市科学・防災研究センター | 人口減少時代における都市近郊地域の実態と再生への取り組み―市街化調整区域に着目して | 嘉名 光市 |
| 孫 宜燮 | 一橋大学大学院 社会学研究科博士後期課程 | 底辺層の居住地域における支援団体の参入と承認の多様な形態―「生活支援の運動性」に着目して | 全 泓奎 |
| 杉田 菜花 | 大阪市立大学大学院 生活科学研究科博士後期課程 | 人口減少地域における若年者の地域移動経験と生活困窮リスクの関係性の解明と政策課題の提起 | 全 泓奎 |
| 上野 志保 | 大阪公立大学大学院 文学研究科博士後期課程 | 都市における子どもの遊び場 | 立見 淳哉 |