セミナー

2021年度以前に行われたセミナー

2024年2月19日(月)16:00〜 於: 杉本キャンパス理学研究科 第10講義室(E211室)

片岡 孝介先生 (早稲田大学総合研究機構・主任研究員)

2024年度第7回生物学専攻セミナーのお知らせ(世話人:後藤)

以下の通り、第7回生物学専攻セミナーを開催します。

講演者にはわかりやすいイントロダクションをお願いしていますので、ぜひご参加下さい。

タイトル:コオロギ科の全ゲノム塩基配列解読と休眠の機構解明に向けたオミクス解析

講演要旨:

 昆虫は、動物界で最も種類が多く、様々な環境ニッチを占める。特に、コオロギ科(Gryllidea)は世界中で6000種以上が存在し、多様な環境に適応している。また、栄養価が高いコオロギの養殖は低環境負荷で達成可能なため、新しい食品や飼料としても注目を集めている。私はこれまでの研究で、Oxford Nanopore Technologies社のロングリードシークエンシング技術やHi-C法の改良法であるOmni-C®を用いて、染色体スケールのコオロギ科の全ゲノム塩基配列解読に携わってきた。その結果、コオロギ科のゲノムサイズは1.45〜2.35 Gbpと昆虫の中で非常に大きいことが改めて確認された。また、常染色体の構造は大きく変化しているにもかかわらず、性染色体の構造は驚くほど保存されていることを明らかにした。私はこのコオロギ科のゲノムデータを用いて、休眠や性分化などの基礎研究から、人間の健康に寄与する機能性ペプチドの探索に至るまで、幅広い研究を展開してきた。本セミナーでは、コオロギ科全体の全ゲノム塩基配列解読の研究成果に加えて、マダラスズ(Dianemobius nigrofasciatus)の全ゲノム塩基配列解読および本種の休眠に関するオミクス解析の成果を紹介し、コオロギ科を用いた研究の魅力と可能性について議論したい。

世話人 後藤慎介(shingoto@omu.ac.jp)

2023年12月8日(金)16:00〜 於: 杉本キャンパス理学研究科会議室(E108室)

Professor Gebhard F.X. Schertler (Biology and Chemistry Department, Paul Scherrer Institute (PSI), Switzerland)

2023年度第6回生物学専攻セミナーのお知らせ(世話人:寺北、小柳)

以下の通り、第6回生物学専攻セミナーを開催します。

スイスからGebhard F.X. Schertler教授が来校されます。多数のご来聴をお願いいたします。講演者には分かりやすいイントロダクションをお願いしていますので、是非お越しください。

※博士後期課程の院生はゼミナールの授業となります。各自、授業後に質問や感想を書いた紙をゼミナールの代表教員(機能解析生物学ゼミナール:小柳、生体機能生物学ゼミナール:曽我、自然誌機能生物学ゼミナール:伊東)に提出してください。 

タイトル:Structure of an active bistable invertebrate rhodopsin

講演要旨:

 視覚は、光受容タンパク質であるロドプシンやその類似タンパク質(ロドプシン類)が光をキャッチすることにより始まります。ロドプシン類は、光を受容するとGタンパク質と呼ばれる情報伝達タンパク質を活性化する「Gタンパク質共役型受容体(GPCR)」の一種で、光感受性のGPCRです。生物学において、タンパク質や分子の機能を理解する上で、それらの構造を解明することは重要な方法の一つです。Schertler教授は、ロドプシンやGPCR等の構造を解明することにより、それら分子の特徴や機能の理解に貢献してきた代表的な研究者です。講演では、学部学生も含めた非専門家について、分かりやすいイントロダクションを含めた教育的な配慮もお願いしており、ロドプシンやGPCRについて、独自性ある構造生物学的な研究成果を紹介して頂く予定です。特に、タイトルにありますように、無脊椎動物の特徴的な性質を持つロドプシン(光感受性色素)を中心にご講演されます。(文責 寺北)

世話人 寺北、小柳(内3144)

2023年9月22日(金)10:00〜11:30、於: 杉本キャンパス理学研究科会議室(E108)

矢口 貴志 先生(千葉大学真菌医学研究センター)

2023年度第5回生物学専攻セミナーのお知らせ(第4回と日にちが前後します)(世話人:中村太郎)

以下の通り、第5回生物学専攻セミナーを開催します。講演者には分かりやすいイントロダクションをお願いしています。多数のご来聴をお願いいたします。 

※博士後期課程の院生はゼミナールの授業となります。各自、授業後に質問や感想を書いた紙をゼミナールの代表教員(機能解析生物学ゼミナール:小柳、生体機能生物学ゼミナール:曽我、自然誌機能生物学ゼミナール:伊東)に提出してください。 

 タイトル:病原真菌の疫学的研究

講演要旨:

 真菌による深在性感染症のうち最重要なものはアスペルギルス症で、その起因菌としてはAspergillus fumigatusおよびその関連種が高頻度で検出される。近年、治療に使用されるアゾール薬に対して耐性株が増加しているとの報告があり、臨床上問題視されている。これらのアゾール薬に対する薬剤感受性、形態的および分子系統的な相違、国内での分布について解説する。また、国民病とも呼ばれる水虫(白癬)の起因菌の薬剤感受性についても触れる。

世話人 細胞生物学研究室/中村太郎

2023年9月28日(木)15:00〜17:00、於: 杉本キャンパス 理学研究科 会議室(E108、変更の可能性あり)

佐藤 慎哉 先生(Gavin Herbert Eye Institute, University of California, Irvine)

2023年度第4回生物学専攻セミナー(第5回と日にちが前後します)(世話人:寺北・小柳)

以下の通り、第4回生物学専攻セミナーを開催します。現在米国で活躍している若手研究者である、佐藤慎哉先生によるセミナーです。多数のご来聴をお願いいたします。講演者には分かりやすいイントロダクションをお願いしていますので、是非お越しください。

(キーワード:ロドプシ、シグナル伝達、蛍光ライブイメージング、電気生理学、光感覚)

※博士後期課程の院生はゼミナールの授業となります。各自、授業後に質問や感想を書いた紙をゼミナールの代表教員(機能解析生物学ゼミナール:小柳、生体機能生物学ゼミナール:曽我、自然誌機能生物学ゼミナール:伊東)に提出してください。

 タイトル:電気生理学とライブイメージングで見出したロドプシンの2つの機能

講演要旨:

 私は大阪大での視細胞の生化学的な研究で博士号を得た後、米国でポスドク研究員として視細胞の電気生理学的な研究を2年半、京都大で助教として視細胞の蛍光ライブイメージングの研究を4年間行ってきた。本セミナーでは、桿体、錐体視細胞が光入力を電気応答に変換する仕組み、光情報伝達について概説した後、関連する研究成果を2つ紹介する。1つ目の話題では、リガンドのレチナールを解離した状態のオプシン、すなわちアポオプシンが、光応答とそっくりのシグナルを発することを示した電気生理学的な研究を解説する。2つ目の話題では、PKAchuという遺伝子組換えマウスを使って、ロドプシンがProtein Kinase A (PKA)を活性化することを示した蛍光イメージング研究の成果を述べる。これらの事例から、視細胞が持つ魅力や特徴、その研究のおもしろさを伝えたい。

世話人 分子生理学研究室/寺北・小柳

2023年8月8日(火)15:30〜17:00、於: 杉本キャンパス 理学研究科 F214教室

藤浪 理恵子 先生(京都教育大学 教育学部理学科 准教授)

2023年度第3回生物学専攻セミナー(世話人:厚井

以下の通り第3回生物学専攻セミナーを開催いたします。講演者には分かりやすいイントロダクションをお願いしています。多数のご来聴をお願いいたします。※本セミナーは自然誌機能生物学ゼミナールの対象となります。履修している学生は積極的に参加してください。

タイトル:原始的な維管束植物であるシダ植物小葉類の解析からみえた根の起源

講演要旨:

 現生の維管束植物の体制は、根、茎、葉の3つの器官から構成されるが、初期の維管束植物はこれらの器官をもたず軸状器官のみをもち、単純に枝分かれをした形をしていたことが化石植物などから知られている。茎と葉の起源はテロム説という有力な仮説が支持されているが、根の起源は化石植物の証拠が乏しいため未だ議論が定まっていない。しかし、近年、シダ植物小葉類の形態学的、古植物学的研究から、根は維管束植物内で複数回起源し、特に小葉類と真葉類(シダ植物大葉類、種子植物)が分岐した後、各々で出現したということが明らかとなってきた。本セミナーでは、現生植物であるシダ植物小葉類による根の形態形成や根頂端分裂組織の分裂動態に関する知見を紹介し、根をもたない小葉類の祖先種から根をもつ現生種への進化についての研究の現状を紹介する。

世話人 厚井 聡

2023年7月21日(金)11:00〜12:10、於: 杉本キャンパス 田中記念館ホール

John Glass先生 (J. Craig Venter Institute・教授)

Glass教授の急病につき,田中記念館での対面講演とオンライン配信になりました.

開催日時・場所:7/21 10:35に開場で,11:20から講演が始まります.大阪公立大,杉本キャンパス,田中記念会館ホール

オンライン配信のurlは下記になります。

2023年度第2回生物学専攻セミナー(世話人:宮田)

ヒトゲノムで知られる米国クレイグベンター研究所では,生命の理解を目指して,ゲノムDNAの化学合成,入れ替え,コンピューターデザイン,など合成生物学の分野でも際立った成果をあげて来ました.特に2016年に発表したミニマル合成細菌syn3.0は世界に大きな衝撃を与えました.今回,合成生物学チームリーダーのGlass教授が研究の経緯と今後について,広範な視聴者を対象に講演されます.この機会をお見逃しなく.

タイトル:Design, Construction, and Analysis of a Semi-Synthetic Minimal Bacterial Cell

講演要旨:セミナーのチラシはこちらになります。

 The minimal cell is the hydrogen atom of cellular biology. Such a cell, because of its simplicity and absence of redundancy, would be a platform for investigating just what biological components are required for life, and how those parts work together to make a living cell. Since the late 1990s, our team at the Venter Institute has been developing a suite of synthetic biology tools that enabled us to build what previously has only been imagined, a minimal cell. Specifically, a bacterial cell with a genome that expresses only the minimum set of genes needed for the cell to divide every two hours that can be grown in pure culture. That minimal cell has about half of the genes that are in the bacterium on which it was based, Mycoplasma mycoides JCVI syn1.0, the so-called synthetic bacteria we reported on in 2010. We used transposon bombardment to identify non-essential genes, and genes needed to maintain rapid growth in M. mycoides. Those findings required re-design and re-synthesis of some reduced genome segments. Three cycles of design, synthesis, and testing, with retention of quasi‐essential genes, produced synthetic bacterium JCVI‐Syn3.0 (531 kb, 474 genes), which has a genome smaller than that of any autonomously replicating cell found in nature. Synthetic bacterium JCVI-Syn3.0 retains almost all genes involved in synthesis and processing of macromolecules. Surprisingly, it also contained 149 genes with unknown biological functions, suggesting the presence of undiscovered functions essential for life. This minimal cell is a versatile platform for investigating the core functions of life, and for exploring whole‐genome design. Since it was initially reported in 2016, we have identified functions for about 65 of the original 149 genes of unknown function. These findings have been used to create flux balance analysis and kinetic whole cell computational models of our minimal cell that replicate laboratory observations about our minimal cell. Additionally, we have used JCVI-syn3.0, which has an abnormal cell division and cell morphology phenotype, and a JCVI-syn3.0 mutant containing an additional seven non-essential genes that has divides normally and looks like wild type M. mycoides to investigate how modern cell division and cell size control might have evolved.

世話人 宮田真人

2023年7月11日(火)15:00より1時間程度、於: 理学研究科会議室(E108、変更の可能性あり)

堀江 健生先生 (大阪大学・大学院生命機能研究科・教授)

2023年度第1回生物学専攻セミナー(世話人:寺北・小柳)

皆様:以下の通り、セミナーを開催します。多数のご来聴をお願いいたします。講演者には分かりやすいイントロダクションをお願いしていますので、是非お越しください。(キーワード:シングルセル解析、ホヤ、脳・神経発生、生理学)

タイトル:シングルセル解析を応用した脳・神経回路の発生と生理機能の解析

講演要旨:

 ホヤの幼生はオタマジャクシ型の形態をしており、背側に神経管が位置するなど脊椎動物と共通の体制を備えているが、2600個程度と少数の細胞から構成されている。このように個体を構成する細胞数が少なく、発生生物学的の知見が積み重なっているホヤは、個々の細胞の遺伝子発現を全遺伝子レベルで解析し、細胞の分化機構を1細胞レベルで理解するために最適なモデル生物である。我々の研究室では、特に神経系に着目して研究を進めている。ホヤ幼生の中枢神経系は300個程度、ニューロンに限定すれば177個と少数の細胞から構成されており、単一細胞レベルでニューロンの分化機構を研究するための良いモデルである。
 我々は、ホヤの胚発生過程における全てのステージのシングルセルトランスクリプトーム(scRNA-seq)解析を進めてきた。本セミナーでは、これまでに我々のグループが報告してきた、プラコード・神経堤細胞の進化的な起源(Horie et al., Nature 2018)、ドーパミンニューロンの分化を誘導する転写因子カクテルの同定(Horie et al., Genes Dev 2018)、ホヤ幼生の尾部に存在する双極型ニューロン(Bipolar Tail Neurons、以下BTNsと略す)の分化を制御する遺伝子ネットワークやBTNsの分化を誘導する転写因子カクテルの同定 (Li, Zhao and Horie et al., PNAS 2017、Paul-Chacha and Horie et al., PNAS 2022)について紹介する。


【参考文献】
1. Paul-ChaCha and Horie et al., (2022) Neuronal identities derived by misexpression of the POU IV sensory determinant in a protoverebrate. PNAS 119, e2118817119.
2. Horie et al., (2018) Shared evolutionary origin of vertebrate neural crest and cranial placodes. Nature 560, 228-232.
3. Horie et al., (2018) Regulatory cocktail for dopaminergic neurons in a protovertebrate identified by whole-embryo single-cell transcriptomics. Genes & Development 32, 1297-1302.
4. Li, Zhao and Horie et al., (2017) Conserved gene regulatory module specifies lateral neural borders across bilaterians. PNAS 114, E6352-6360.

世話人 分子生理学研究室/寺北・小柳

2023年1月12日(木)16:00-17:20、於: 理学部会議室

末次 正幸先生 (立教大学理学部生命理学科 教授)
第6回生物学専攻セミナー(世話人:宮田)

末次先生は気さくな気鋭の研究者で、大腸菌を使わない遺伝子操作技術の開発なども提案されています。是非、ご参加下さい。

タイトル:染色体複製サイクル再構成系とゲノム合成

講演要旨:大腸菌染色体の複製サイクルを26種のタンパク質をもちいて再構成してみたところ、環状DNAが完全に複製されただけでなく、倍化した環状DNAが次のサイクルに自律進行し、再帰的な複製サイクルの繰り返しが導かれた。この系、RCR(Replication cycle reaction)は、メガサイズ(バクテリア染色体レベル)の長鎖環状DNAをセルフリーでまるごと増幅するという驚異的な性能を持つものであった。本セミナーでは、「セントラルドグマ再構成による試験管内自己複製系」や「ゲノム合成とその移植による合成細菌」など、RCRをベースにした新しい研究展開についても紹介させていただく。

世話人 宮田真人

2022年12月15日(木)17:00より、於: 杉本キャンパス8号館815教室(定員150名)

鈴木 孝幸先生

第5回生物学専攻セミナー(世話人:中村)

本専攻に新しく着任された鈴木孝幸先生に、ご自身の研究について語っていただくセミナーを開催します。
生物学専攻・生物学科の方はどなたでも参加できます。対面を主としたハイブリッドでの開催予定です。是非、ご参加下さい。

タイトル:脊椎動物の後肢の位置の多様性を生み出した進化の分子基盤

講演要旨:私達ヒトを含めた脊椎動物の骨格パターンは種によって異なる。特に体の前後軸に沿って後肢が形成される位置は種によって大きく異なっており、形態の多様性を象徴している。しかしながら進化の過程で骨格パターンの多様性が生み出された分子メカニズムは未だに明らかにされていない。本発表では、これまで私が取り組んで来た後肢の位置の決定メカニズムに関する発生学的、進化発生学的結果を元に、骨格パターン進化の分子メカニズムについてお話しする。

世話人 中村太郎

2022年12月9日(金)15:30より(開始時刻は予定) 、於:理学研究科会議室(E108)

神取 秀樹先生 (名古屋工業大学 特別教授)

第4回生物学専攻セミナー(世話人:寺北、小柳)

「ロドプシンの可能性 低温下の光異性化から光遺伝学的視覚再生まで」についてセミナーを開催します。 
多数のご来聴をお願いいたします。講演者には分かりやすいイントロダクションをお願いしています。是非お越しください。 

タイトル:ロドプシンの可能性 低温下の光異性化から光遺伝学的視覚再生まで 
講演要旨:私たちは精密な分光計測を基盤として種々のロドプシン(動物ロドプシンおよび微生物ロドプシン)のメカニズムを研究してきた。物理化学的な観点からすると、レチナールの光異性化という「分子の形を変える」反応が、凍っていて分子が動けないマイナス200度でも起こるメカニズムはたいへんに興味深い。一方、実用研究の観点からすると、網膜色素変性症などによる失明患者の視覚再生に光遺伝学的遺伝子治療が大きな期待を集めている。本セミナーでは、これら基礎研究から応用研究に関わる我々の最新の成果を話題提供し、ロドプシンの可能性について議論したい。 

このセミナーは機能解析生物学ゼミナール(公立大・D1)、生物分子機能学ゼミナール(市大・D2, D3)を兼ねています。

世話人 寺北明久

2022年11月18日(金)15:00〜、於:杉本キャンパス8号館815教室(Zoomによるハイブリッド開催)

第3回生物学専攻セミナー(世話人:後藤)

自然誌機能生物学講座として,生物学教室に新しく着任された小口理一先生,吉川徹朗先生に,ご自身の研究について語っていただくセミナーを開催します.
生物学教室の方はどなたでも参加できます.対面を主としたハイブリッドでの開催です.
なお,博士後期課程の授業・自然誌機能生物学ゼミナールを兼ねますので,単位習得を目指す方は積極的に受講して下さい.
15:00- 演者:小口理一先生 「光合成の光阻害の発生メカニズム」
休憩10分
16:00ー 演者:吉川徹朗先生 「生態系における鳥類と植物の相互作用とその広がり」

要旨:光合成の光阻害の発生メカニズム
 光は光合成の駆動力であり、植物に不可欠な資源である一方、そのエネルギー故に光合成器官に損傷を与え、光阻害と呼ばれる光合成活性の低下を引き起こす。植物の受ける光環境は空間的にも時間的にも多様であり、上層個体の撹乱で生育光強度が上昇した場合、光合成を高めてすばやく成長する種もいれば、光阻害によって光合成・成長が低下する種も存在する。この種間差は撹乱依存性というニッチ分化を通して種の共存に重要な働きを持つが、どのような生態学的理由で種間差が存在するかはまだ明らかでない。 
 植物は光阻害に対し、葉緑体移動による余分な光吸収の回避、熱放散による余剰光エネルギー消散、余剰エネルギーによって生じる活性酸素の消去、損傷を受けたタンパク質の修復などの回避機構を用いて対応している事が知られている。植物がこれだけ多くの回避機構を進化させた事実は、光阻害耐性に強い選択圧がかかってきたことを示す。
 一方で、光阻害の発生メカニズムについては未だに議論が続いている。光阻害は最初に電子伝達系の光化学系IIが損傷を受けるところから始まることが知られているが、その時、クロロフィルが吸収した光エネルギーのうち、光合成や熱放散で消費・消散しきれなかった余剰エネルギーが光阻害を起こすとする余剰エネルギー説と、光化学系IIの酸素発生部位内に存在するマンガンが光を吸収して励起されることで遊離してしまう事が原因とするマンガン説との間で論争に決着がついていない。
 本セミナーでは、この論争に対して、光の質の影響、葉の内部に存在する光強度の勾配の影響、そして光合成活性測定に広く用いられるクロロフィル蛍光の注意点という視点から行ってきた研究について紹介する。

要旨:生態系における鳥類と植物の相互作用とその広がり
 鳥類と植物の相互作用としては、果実食鳥による種子散布や花蜜食鳥による花粉媒介といった相利関係があり、これらは生物群集の維持に重要であることが知られている。だが近年の研究によって、一般的な果実食者や花蜜食者だけでない多様な鳥類がさまざまな植物と関わりを持っていることがわかってきた。一方では植物の繁殖を阻害する鳥類がおり、他方では果実食鳥ではないにもかかわらず種子を長距離移動させる鳥類もいる。こうした多様な鳥類を含めて考えたときに、鳥類と植物の繋がりはどのように捉えられるだろうか?また様々な機能をもつ鳥類は、人間による生態系の改変に対してどのように応答しているだろうか?本講演では、私がこれまで行ってきた鳥と植物の多様な相互作用に関する研究を紹介し、今後の研究の展望についてお話ししたい。

世話人 後藤慎介

2022年11月8日(火)15:30〜1時間程度、於:Zoom

志賀 向子先生(大阪大学・大学院理学研究科・生物科学専攻・教授)

第2回生物学専攻セミナー(世話人:後藤)

このセミナーは,生物学科の方はもちろん,希望される方にはオンラインで受講できるようにしたく思います.こちらの受講については,生物学教室の方は事前の連絡は不要です.直前にZoomアドレスをお知らせします.

タイトル:昆虫概「倍」日リズムの至近要因と究極要因の探索

要旨:ヒトは恒常条件の長期間隔離などにより、約2日の睡眠覚醒リズムを示すことが報告されている。また、蚊の一種も、恒暗条件に長期間置かれると約2日の飛翔リズムを示す。これらは「概倍日リズム」と呼ばれ、特殊な環境下で生じる概日時計の内的脱同調により、一時的に起こるリズムと考えられてきた。一方、私たちは潜土性のオオクロコガネHolotrichia parallelaは二日に1度夜に地上で活動するリズムを持ち、この活動リズムには約48時間の自由継続性、12時間明期12時間暗期2サイクル毎への同調性、そして温度補償性が見られることを報告した。これらから、オオクロコガネの概倍日リズムはヒトや蚊と異なり、安定した振動型の生物時計により駆動されると考えている。二日という周期は陸上環境に見当たらず、そのメカニズムと生物学的意義は興味深い。私たちは、概倍日リズムのメカニズムとして「概日時計周期の積算(2倍)による計時機構」の存在を仮定し、その分子・神経機構を探っている。これまでのトランスクリプトーム解析、RNA干渉、神経解剖学実験から、脳内の時計遺伝子ネットワークに24時間周期を2倍にして48時間周期を作るしくみが存在するのではないかと考えている。また、概日リズムを持つ近縁種との比較から、オオクロコガネの生殖に関わる形質の特徴を紹介し、究極要因の仮説について紹介する。

このセミナーは,博士後期課程の自然誌機能生物学ゼミナールも兼ねます.

世話人 後藤慎介

2022年11月7日(月)15:00-17:00(2名講演)、於:理学部第4講義室(F205)

第1回生物学専攻セミナー(世話人:寺北、小柳)

外国人研究者2名が同じ日に、当方の研究室を訪れますので、セミナーをお願い致しました。
多数のご来聴をお願いいたします。講演者には分かりやすいイントロダクションをお願いしていますので、是非お越しください。

演者1:Dr  Dr. Xavier Deupi (Paul Scherrer Institute, Switzerland)


演題: Structure and activation of light-activated G protein-coupled receptors

講演概要:【構造生物学】光センサーGPCR(Gタンパク質共役型受容体)である動物ロドプシンの構造や活性化メカニズムについての講演。分子特性の異なるロドプシンについて、結晶構造、コンピュター計算構造モデル、SwissFELX線自由電子レーザーによる構造解析に基づく最新の研究結果が紹介される。


演者2: Dr. Ajith Karunarathne (Saint Louis University, USA)


演題:Engineered opsins and optogenetic tools for subcellular signaling exploration


講演概要:【光遺伝学】細胞内の微細領域や小器官でのシグナル伝達を光で制御する光遺伝学に関する講演。オプシンやその変異体、オプシン以外の光受容タンパク質を駆使した、細胞内の光遺伝学に関する独創的な研究成果が紹介される。




講演要旨:演者1:Dr  Dr. Xavier Deupi
A wealth of biophysical, functional, and structural data have made the mammalian visual low-light receptor rhodopsin a paradigm of the large family of G protein-coupled receptors (GPCR). Remarkably, in the last years we have discovered that such similarities are not limited to vertebrate rhodopsins, but also extend to visual receptors (mono- and bistable) from invertebrates.
Using computational structural models validated by mutagenesis and activity assays, we have discovered a new position for the retinal counterion in the non-bistable box jellyfish rhodopsin, the third only location for a functional counterion discovered in animal opsins. Interestingly, this new counterion closely mirrors the location in vertebrate rhodopsins, which was thought to be a unique adaptation in vertebrates to achieve higher fidelity photoreception.
Still, experimental structures at high resolution are required to bring to light more fundamental structure-function relationships. For instance, the crystal structure of the bistable jumping spider rhodopsin 1 revealed a complex water-mediated network around retinal which may contribute to the unique functionality of bistable rhodopsins. Remarkably, and in contrast to the monostable bovine rhodopsin, its transmembrane adopts a more “activation-ready” conformation often observed in non-photosensitive class A GPCRs.
Finally, the structure of an early active intermediate of bovine rhodopsin (obtained at the SwissFEL free-electron laser) suggests that the earliest structural rearrangements upon activation already appear in regions involved in later stages of the conserved Class A GPCR activation mechanism. This is relatively unexpected, as the extreme case of induced-fit displayed by light-activated GPCRs such as rhodopsin is vastly different to the mechanism used by GPCRs to recognize diffusible agonist ligands by conformational selection. Remarkably, both conformational selection and induced fit converge rapidly into a common GPCR activation mechanism, pointing to fundamental aspects of the molecular mechanisms of agonist-mediated GPCR activation.
講演要旨 演者2: Dr. Ajith Karunarathne
Opsins are retinal-binding G protein-coupled receptors (GPCRs) that regulate various crucial biological processes such as vision, neurological and cardiovascular functions. We tune spectral and signaling properties of opsins and utilize them to control signaling and regulate cell physiology and behaviors. For example, our improved blue opsin reveals hidden information about spatial and temporal regulation of G protein signaling after asymmetric signaling activation across a cell. Using computational and molecular-cell biology approaches in concert, we also show the engineering of spectrally blue-shifted melanopsins that are insensitive to longer wavelengths and their use in single-cell and subcellular signaling.
Though signaling from GPCRs at the plasma membrane is crucial to cellular life, recent evidence shows that GPCR signaling at endomembranes is pathological and potentially triggers conditions such as drug addiction and cardiac diseases. However, the limited availability of cell-permeable ligands and the dearth of approaches to spatially and temporally control cell-interior receptors have made examining endomembrane GPCR signaling challenging. We report the engineering of the first light-activatable GPCR that triggers endomembrane-exclusive G protein signaling. We also show the engineering and application of non-opsin optogenetic tools to optically control endogenous G protein signaling with subcellular precision.
世話人:寺北明久、小柳光正