お知らせ
2026年6月12日
- 研究
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【論文掲載】大動物臨床医学教室の金 助教と杉本遥さん(2025年度卒業生)が筆頭著者の論文がJournal of Veterinary Medical Scienceに掲載されました。
【研究の概要】
子牛の健康を唾液で予測!離乳後の「栄養状態の悪化や回復の遅れ」を早期発見する新技術
■どんな研究?
黒毛和種の子牛にとって、お母さん牛のミルクから固形のエサ(牧草など)へと切り替わる「離乳」は、体に大きな変化が起こる非常に重要な時期です。子牛は、離乳のタイミングで栄養状態が一時的に悪化しやすく、成長の遅れや病気にかかりやすい子牛がいることが課題となっていました。
これまでの血液検査(総コレステロール値など)では、栄養状態が悪化(“栄養不良”)した「後」の結果しか分かりませんでした。そこでこの研究では、離乳前の段階で「どの子牛が将来、“栄養不良”になりやすいか」を事前に見分けるためのバイオマーカー(体の状態を示す指標)を見つける調査を行いました。
■ この研究でわかったこと
研究の結果、離乳の2週間前に測定した「唾液中のコルチゾール(ストレスに関連するホルモン)」の濃度が、その後の“栄養不良”の鍵を握っていることが分かりました。
・予測の精度: 離乳後に“栄養不良”になったグループは、離乳前の唾液中コルチゾール濃度が有意に低いことが判明しました(精度AUC=1.00)。
・なぜ唾液?: 血液中の数値は採血時のストレスに影響されやすいですが、唾液中のコルチゾールは「今、体が受けている生理的な影響」をより正確に、かつ子牛に痛い思いをさせずに測定できるメリットがあります。
■何の役に立つ?
この研究成果は、畜産現場で以下のようなメリットがあります。
・リスクの早期発見:離乳前の段階で「この子牛は“栄養不良”になるかもしれない」と特定できるため、エサを工夫したり、管理を強化したりといった“先回りの対策”が可能になります。
・子牛の健康と成長:“栄養不良”を未然に予防することで、子牛の健康状態を良好に保ち、将来的な肉質の向上や成長の安定につなげることができます。
・アニマルウェルフェアの向上:採血せずに唾液で診断できるため、子牛への負担が少ない「体に優しい」飼養管理手法として期待されます。
【掲載誌】 Journal of Veterinary Medical Science
【論文名】Assessment of selected nutritional, bone metabolic and stress-related biomarkers
across the weaning transition in naturally suckled Japanese Black calves
【著者】Sueun KIM*, Haruka SUGIMOTO*, Koki ITAGAKI, Shinobu TSUCHIAKA, Shingo ISHIKAWA, Norio YAMAGISHI**
*: 共同筆頭著者、**: 連絡責任著者
【DOI】https://doi.org/10.1292/jvms.26-0006
本件の問い合わせ先:大動物臨床医学教室 山岸則夫
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