SSSRCだより

2023年3月2日

SSSRCだより2023年3月号

衛星開発の振り返り

SSSRC 衛星プロジェクト修士2年の植田と申します.

2018年に執筆して以来およそ5年ぶりの担当になります.大学院の卒業,SSSRCの卒所まで,残り一カ月と迫る中,過去の自分の記事を読みながらこれを書いています.私が二回生になり,本格的に衛星開発に参加した当時は通信系として参加しましたが,途中から電源系に参加し,今思えば,ほとんど電源系としての活動であったと思います.ここでは,今までの自分の活動で印象に残ったことを話そうと思います.

一つは,衛星に搭載する基板発注作業です.これは,自分たちが設計した電気回路を業者に依頼し,実際に基板を製作していただくタスクです.これだけ聞くと,回路図を渡すだけの仕事で簡単であるように思えるのですが,実際は数百の電子部品が610 cm四方の板に搭載されるので,相手側から送られてくる製造予定の基板のガーバ―データ(配線(パターン)、ドリルの位置、ドリルの大きさ、レジスト、シルク、プリント基板の外形についてのまとまったデータ)の確認が必要で,この作業に膨大な時間と正確性が要求されました.しかも,製造費用は約100万円(これ大事‼)で絶対にミスができないタスクでした.また,当時は,大学の試験時期と被っており,相当な地獄だったと記憶しています.現在,次の衛星のBBM基板を後輩たちが発注予定なので,この苦しみを味わってもらいたいと思います.

もう一つ,記憶に残っているのは,衛星のFM(フライトモデル)に太陽光パネルを張り付ける作業です.これはFM品ということで,埃が機体に触れないように衛生服を纏い,ただでさえ身動きができないのに,14万円の太陽電池を密閉空間で何枚も機体に貼り付けるという地獄のような作業です.太陽電池を張り付ける作業の何が難しいのかと思う方がいるかもしれませんが,太陽電池の脆さが,ケーキの上に載っている薄いチョコレートと同程度だと想像していただければ,この作業の大変さが伝わると思います.しかも,2cm×5cmのサイズで4万円です.正直,プレッシャーで頭がおかしくなりそうでした.これも未来の電源系の後輩達には,頑張ってもらいたいところです.

最後に,私は後輩達にとっては良い先輩ではなかったかもしれませんが,彼らにはこれからの衛星開発を頑張ってもらいたいと思います.

 

2023-3-1

太陽電池貼り付け作業

工学研究科 電気・情報系専攻 修士2年 植田凱斗

熱系に入ってからの1年間とこれから

こんにちは。2年生の行光と申します。

私は、去年の2,3月頃から衛星プロジェクトの熱系に配属し、約1年間人工衛星の熱制御について学びました。

まず、はじめの半年間は、20229月号のSSSRCだよりに載っている熱系教育を実施していただきました。熱系教育では、熱設計や熱制御の勉強以外にも、人工衛星の軌道についての勉強やCAD、プログラミング、熱解析ソフトで簡単な衛星の熱解析をしました。この半年間は今まで知らなかったことを理解することや、操作が慣れないソフトを使うことにかなり必死だったのを覚えています。

熱系教育を終えてから今現在までは、SSSRCで過去に先輩方が設計した人工衛星の熱解析を行っています。熱系教育で熱解析をした衛星は、初めから熱解析に必要な条件がすべて与えられている状態で1つの資料を見れば欲しい情報が全て載っているため、その通りにやれば良かったのですが、今回の設計では、欲しい情報を多くの資料から探し、また、熱解析においてアバウトにしてもいい部分はどこなのか等の自分自身で取捨選択しなければならない場面もあり、難しいと感じることが多いです。その一方で、熱系教育の時に学んだことの振り返りや、解析ソフトの操作にかなり慣れることができたので、より、熱設計についての理解を深めることが出来ました。

 

そして、2月から新たに1年生が熱系に配属されました。今までは先輩方の後を追うだけでしたが、これからは自分自身が上の立場やとりまとめなどの立場に立っていくことを意識して、成長していきたいです。

2023-3-2

現在練習している熱解析

航空宇宙工学課程 学部2年 行光実桜

CanSat講習を終えて

こんにちは、はじめまして。工学部電気電子システム工学科1年の倉本です。

例年、新しくセンターに入所した学生たちは、新入生教育の一環としてCanSat講習を行います。私が所属していたA班では、当初はGPSを用いてCanSatを制御し、複数地点の土壌を採取するというミッションを設定していました。しかし、走行部分が思うようにいかず、なんとか実現させようと悪戦苦闘しているうちにタイムリミットが迫ってしまい、最終的にはGPSを利用した走行を諦めるという決断に至りました。その後の気球試験では、一回目では着地の衝撃によって電池ボックスから電池が外れ、モジュールが動かずに失敗しました。続く二回目ではパラシュートが開かずに構体が地面と衝突してしまい失敗するという、芳しくない結果となってしまいました。

しかし、この数ヶ月に及ぶチームでのCanSatの開発は、今後の活動に繋がるような、沢山の重要な学びや反省を得られる貴重な機会でした。

2023-3-3

製作したCanSat

さて、2年生となるにあたって、私は衛星プロジェクトの電源系に配属されることになりました。元々電気系は興味がある分野であったので、今後の開発に取り組むのが非常に楽しみです。しかし、会議に出席して先輩方の会話を聞いていると、耳慣れない単語などが飛び交い、話の流れが理解できないこともしばしば…少しずつでも着実に力をつけ、OMUSAT-Ⅲの開発に貢献できるようになるため、日々努力していく所存です。

工学部電気電子システム工学科 学部1年 倉本航輔