CEES Rocket Project

CEES Rocket Project

CEES Rocket Project とは

実際のロケット開発で行う、設計・製作・試験・打上げ・データ解析を経験・習得することを目指して、ロケットの開発を行っていました。2017年3月の加太宇宙イベントにて最新機CEES-4miniが打ち上がり、完全な機体の回収とCanSatの放出・再打上に成功しました。

CEES Rocket とは

CEES Rocketは、推進剤に液体窒素、加熱剤に温水を用い、液体窒素を温水により気化させることで推進力を得て飛行する非燃焼型小型ロケットです。 このロケットは燃焼過程を一切ともなわないため爆発などの危険性がなく大変安全です。また、使用する液体窒素、水はともに大学で安価に、そして容易に入手でき経済的です。さらにロケットから噴射される物質も気化した窒素ガスと水で環境性にすぐれています。 ちなみに CEES の意味はこのロケットの特徴である極低温の ”C”ryogenic、経済性の” E”conomical、環境性の ”E”cological、そして安全性の ”S”afeの単語それぞれの頭文字をとったものです。 近年、多くの大学で宇宙工学教育のプログラムの一環として、小型衛星や CanSat(模擬衛星)の開発が行われています。しかし、ロケットの研究は少ないのが現状です。この理由の1つとして、ロケットの燃焼過程に起因する爆発や、使用する燃料の引火による事故の危険性が挙げられます。そのような中、CEES ロケットはその原理上、大変安全性が高く、さらに、このロケットのシステムは H-IIA ロケットといった、実際の液体ロケットのシステムに準じているので、上空へ運ぶペイロードも搭載可能なことから、液体ロケットの基礎を学ぶ上でも優れています。また、本小型ロケットは CanSat の他、二酸化炭素の濃度測定や雷観測において低高度への観測機投入にも役立つと考えています。CEES ロケットの改良、打ち上げ試験を重ね、安全で安定した打ち上げが可能な観測機打ち上げや CanSat 打ち上げに利用する非燃焼型ロケットによる教育用ロケットの実用化を目指しました。

歴代CEESロケット

CEES-1A

CEES-1A

2005年に開発された非燃焼型エンジンを使用した初の実証機 目標であった高度60 mに到達(世界初)、その後パラシュートが開かず自由落下で墜落。 非燃焼型エンジンを使用したロケットの世界で初めての成功であった
CEES-1A

CEES-2A

CEES-1Aの成功で非燃焼型エンジンの性能が実証されたことから、2006年にCan-Sat放出用の小型ロケットとして開発された2号機。 目標高度は150 mであったが、打ち上げ試験では推力不足でCan-Satを載せたまま30m到達後墜落、失敗に終わった。
CEES-3A

CEES-3A

CEES-2Aの失敗の反省をもとに開発された新型機。上空でのCan-Sat放出と高度200 m到達を目標にSSSRCが開発に本格参入した機体。 打ち上げ試験においてもCan-Sat放出には失敗したが、高度202 m到達、パラシュートでの回収に成功した。CEESロケットの到達高度の記録を大幅に伸ばした。
CEES-3B

CEES-3B

CEES-3Aの機体をさらにバージョンアップ(最適化)したCEES-3シリーズの2機目。上空でのCan-Satの放出と高度350 m到達を目指しSSSRCがCEES-3Aに続きフェアリング部を主体となって開発。 打ち上げ試験ではエンジンに不備があり高度50 m到達後大きく傾き墜落、失敗に終わった。
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CEES-3C

CEES-3Bの失敗の反省をもとに改良を施しリベンジを目指すCEES-3シリーズ3機目。コンセプトは「より安全に」「より確実に」。上空でのCan-Sat放出と高度350 m 到達を目指し開発がすすめられていたが、射場の都合で噴射実験のみで開発終了。
CEES-4

CEES-4

CEES-3Cの欠点は乾燥重量が重く、ランチャ離脱速度が遅いことだった。この欠点を解消するため、窒素ガスを温水タンクと液体窒素タンクに封入し、タンクを一つ減らすことで大幅な軽量化を実現した。CEESプロジェクト2回目の高度200 m到達を目指す本機は、先祖帰りとも言えるデザインで再び大空を目指す。2013年3月に和歌山県和歌山市コスモパーク加太にて打ち上げを行い、高度280mに到達した。

打ち上げ動画

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CEES-4A

「機体の完全回収」をテーマに、大型CanSatの搭載やパラシュート開傘の確実性に重点を置いて開発した。2015年3月コスモパーク加太で打ち上げ、高度215mに到達後、パラシュートによる回収に成功した。初めて上空でのCanSat放出を達成した機体となった。 CEES-4A 3Dmodel CEES-4A 打上げ動画
coming_soon

CEES-4B

CEES-4Aには、着地の衝撃を配管が受けてしまう問題点があった。そのため、CEES-4Bはエンジンの完全回収(打ち上げ前後で推進性能に変化がないこと)に重点を置いて開発を行った。2016年3月コスモパーク加太で打ち上げ、高度155mに到達後、パラシュートによるエンジンの完全回収に成功した。またプロジェクトとして初めて外部団体の CanSat (茨木工科高校の学生が製作) を搭載し、ロケットの教育利用においても大きく進歩した。