SSSRCだより

2025年6月11日

SSSRCだより2025年6月号

C&DH系の活動

こんにちは,SSSRC学部四年の山田です.今回はC&DH系の近況報告を行おうと思います.

今月,C&DH系はモード設計を中心に議論を進めました.まず,Spresense周辺の機器の構成や衛星の動作モードを決定し,各モードの起動条件や遷移条件についての議論を進めています.健全性データ・機能性能データはおおよそ決定し,ミッションデータと通信系についてはこれから相談する予定です.テレメトリの内容・保存方法・作成周期なども直近で話し合う予定です.

Spresenseのピンアサインは熱系・姿勢系以外はほとんど決まり,JTAGデバッガーの導入に向けた試験の準備も進めています.システムブロック図の作成も進め,C&DH系が担当する機器とそのインターフェースについてまとめました.PDRについては,OPUSATⅡを参考にしながら,必要に応じて今回の設計に合わせて変更を加え,資料作成を始めています.また,実装に向けてBBM試験も進めています.

 機械工学科 4年 山田 剛志

COLOURS構造系 3D CAD

みなさんこんにちは.COLOURSロケットプロジェクト,構造系所属の鳥羽です.今回は,ロケットプロジェクトの構造系の仕事の中でも,詳細設計段階で行っている3D CADについてお話しようと思います.

 そもそもCADとは,Computer-Aided Designの略で,コンピューターを用いて設計図や図面を作成する技術のことを指します.私たちはFusion 360というソフトを用いて3D(つまり立体)の設計図を作成することで詳細設計を進めています。具体的にどのようなモデルを作成しているのかというと,図1のようなモデルを作成しています.これは今年3月に打ち上げたハイブリッドロケット「翠」の全体設計です.

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図1 ハイブリッドロケット「翠」の全体モデル

基本的にはCADを使う前段階にてどのような部品が必要かというおおまかな設計を行います.今回のロケットならノーズコーン,フィン,3つに分かれているそれぞれのボディ,ボディ間をつなぐカプラーなどの寸法をざっくり考えた後,中身の設計を大まかに考えるといった手順になります.それが終わるとCADの段階に入り,各部品を一つずつモデリングして,それを組み上げることで図1のようなモデルを作ります.例えばボディ同士をつなぐタンクマウントという部品は図2のようなモデルになっています.基本的に部品は作って終わりというものではなく,寸法や形状等を調整するので,後々調整しやすいように,そして別の人が見てもどこでどのような操作をして設計したのかが分かりやすいように注意して設計します.

航空宇宙工学科 4年 鳥羽 爽馬

COLOURS電装系 3号機の目標

皆さま、こんにちは. SSSRC3回の佐野です.

先日行われた加太実験での 「翠」 の打ち上げでは, 多くの貴重な学びが得られました. 特に反省点として挙げられるのが, 基板上のモジュール配置によりデバッグが困難になり, 現地での組み立てや動作確認に時間を要したことです. これを受けて, 次号機ではプログラム書き込み用のアクセスポートとしてUSBポートを外部に設ける設計を採用し, 現地での作業性を大幅に向上させることを目指しています.

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アクセスポートのイメージ


また, 次号機では電装系の表面実装(SMD)化を進めています.  これは単に小型化や軽量化を目指すだけでなく, 今後計画している海上での打ち上げ実験に備え, 水密構造の設計に柔軟性を持たせるためでもあります.  現時点では水密構造に関する十分な知識や経験が不足しているため, どの程度のサイズに収めるべきかを見極める意味でも, 基板や機構全体の小型化に取り組んでいるというのが実情です.
水密構造については現在, Oリングやパッキン材の選定, 水密構造と水密構造外の継ぎ目の処理方法など, 基本から丁寧に検討を進めています.  水や湿気の影響を完全に防ぐための設計は, 今後の実験の信頼性を左右する重要なステップになると考えています.

これらの改善は、より現実的で確実性の高い機体運用へとつながると信じています.  引き続き,  「SSSRCだより」を通じて進捗をご報告してまいりますので, 今後ともどうぞよろしくお願いいたします. 

航空宇宙工学科 3年 佐野佑吏