SSSRCだより

2025年12月2日

SSSRCだより2025年12月号

構造系の活動について

初めまして,衛星プロジェクト構造系に所属している学部2年の樫野です.

今年の春頃に構造系に配属され,既に半年以上が経過しました.その間,上回生の方々からの構造系教育を通してCADソフトの使い方や安全に対する考え方を学んできました.

現在,構造系ではディプロイメントスイッチの設計を担当しています.衛星がロケット内で起動しアンテナが勝手に開くなどということが無いように,ディプロイメントスイッチを使用し衛星の格納・放出状態を判断します.このスイッチは衛星が動作を開始するかどうかを決める重要なスイッチなので強度や精度に注意して設計を行っています.

マテリアル工学科 2年 樫野航

通信系の活動について

皆様、こんにちは。衛星プロジェクト通信系所属の笹井です。本日は、通信系の進捗状況についてご報告いたします。今年の9月、衛星プロジェクトではPDR(基本設計レビュー)を実施しました。PDRとは、これまでの設計が要求を満たし、適切であるかを評価いただく場です。レビュー会にご出席いただいた先生方やOBの皆様からの貴重なご質問やアドバイスを基に、今後さらに衛星の設計を具体化していく予定です。通信系の設計における最優先事項は、衛星からのテレメトリーを確実に受信することです。この目的を達成するため、現在、地上局の整備、衛星の変調方式、テレメトリー内容などについて再検討を進めております。

電子物理工学科 2年 笹井信明

ハイブリッドロケットシミュレーション開発について

こんにちは、SSSRCCOLOURSプロジェクトで推進系として活動している学部3年永松です。今回は推進系の活動について説明しようと思います。

 

  • ハイブリッドロケットシミュレーション開発の歩み

COLOURSプロジェクトの推進系は、もともとハイブリッドロケットの打ち上げの安全性を証明するために、シミュレーションを実施する目的で活動していました。しかし、2025年春頃、「他団体が作成したシミュレーションに頼るのではなく、自団体で作成したシミュレーションを使いたい」という強い思いから、自作シミュレーションの開発をスタートしました。これは、ハイブリッドロケットの打ち上げに関わる全ての工程を、自団体だけで完結させるための取り組みの一つです。

 

  • 開発初期の取り組み

シミュレーション作成の当初、私たちはまず、開発の基盤となる論文の選定から始めました。また、推進系のメンバーのほとんどが、開発で必須となるGitMATLABの使用経験がなかったため、上回生が主体となり、これらのツールの使い方を習得するための勉強会を集中的に実施しました。

一通りの基礎学習を終えた後、本格的な開発に着手しました。

 

  • シミュレーションの開発と課題の克服

まず、シミュレーションの対象となるロケットの諸元や、打ち上げに用いるランチャーの角度・方位などの初期条件を定義するconfigファイルの作成から始めました。過去に他団体のシミュレーションを使用した経験から、開発はスムーズに進むと考えていましたが、実際に自作する過程で、ロケットに関する知識の理解不足に気づくこととなりました。この気づきに対し、その都度調査・学習を行うことで、ハイブリットロケットに対する理解が深まりました.

configファイル作成後、選定した論文を参考に、メンバーごとにロケットの運動を以下の3つのフェーズに分担しました。

  1. ランチャーからの発射
  2. 飛翔中の運動
  3. パラシュート展開後の降下

各フェーズの運動方程式を立て、シミュレーションの開発を進めていきました。

そして、いざシミュレーションを実行してみると、当初は以下のような不自然な結果が出力されました。

シミュ1

図1 開発当初のロケットの軌道

軸の向きが逆向きのため分かりにくいですが,ロケットが下降中に一度不自然に上昇するという軌道になってしまったのです。

この異常な結果に対し、私たちはメンバー全員で原因の究明を開始しました。SimuLinkで作成していたプログラムをコードに書き起こして検証したり、異なる計算手法を試したりするなど、数ヶ月にわたる試行錯誤の結果、この問題が座標変換を行うタイミングの誤りにあることを突き止めました。

 

  • 軌道の修正と今後の展望

原因を特定し修正した結果、シミュレーションからは以下のような理想的な軌道が出力されるようになりました。

シミュ 修正後

図2 修正後のロケットの軌道

修正後の軌道は、きれいな軌道を描いています。現在、私たちは、このシミュレーションを、打ち上げの審査書で必要となる全ての情報を出力できる統合プログラムへと発展させている最中です。

また、COLOURSプロジェクトでは、ハイブリッドロケット3号機の開発が進むと同時に、打ち上げの自団体完結という目標に向けて、燃焼試験に用いる燃焼架台の作成も精力的に行っています。

今後も、COLOURSプロジェクトの推進系として、メンバーが一丸となり、プロジェクトの推進に貢献してまいります。

航空宇宙工学科 3年 永松羽流