微分幾何学セミナー(2010年度)
大阪市立大学数学研究所(OCAMI) での事業の一環として、(幾何解析、トポロジー、代数幾何、数理物理、可積分系、情報数理などにも関わる広い意味の)微分幾何学のセミナーを推進します。
連絡先 | 大仁田 義裕 加藤 信 〒558-8585 大阪府大阪市住吉区杉本3丁目3番138号 大阪市立大学 大学院理学研究科 数物系専攻 |
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TEL | 06-6605-2617(大仁田) 06-6605-2616(加藤) |
ohnita@sci.osaka-cu.ac.jp shinkato@sci.osaka-cu.ac.jp |
日時 | 3月30日(水) 14:40~16:10 |
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講演者(所属) | 守屋 克洋(筑波大学数学系) |
タイトル | 曲面上のベクトル値完全一次微分形式 |
場所 | 数学講究室(3040) |
アブストラクト | 曲面からユークリッド空間への写像の微分写像は曲面上のベクトル値完全一次微分形式である. 曲面が単連結である場合, 微分幾何的に意味のある写像の微分写像を構成する公式が知られている. 例えば, 極小曲面の Weierstrass-Enneper表現公式, 平均曲率一定曲面の劔持の公式などがそうである. 実際は完全一次微分形式ではなく, 閉一次微分形式を構成するのであるが, 定義域が単連結であるから完全になる. このような局所的な 曲面が大域的な曲面になるための必要十分条件は, 閉一次微分形式の周期が全て0になるという条件である. 本講演では, 曲面が適当な自己微分同相写像をもつときに, 閉一次微分形式が完全形式になるための必要十分 条件を与える. さらに, 曲面の理論にどのように応用する可能性があるかについて述べる. |
日時 | 3月21日(月) 13:00~ |
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講演者(所属) | 酒井 高司(首都大学東京大学院理工学研究科&大阪市立大学客員研究員) |
タイトル | 球面の余接ベクトル束内の余等質性1スペシャルラグランジュ部分多様体 |
場所 | 数学講究室(3040) |
アブストラクト | 本講演は,大阪市立大学大学院学生D3・橋本要君との共同研究に基づくものである. n次元標準球面の余接ベクトル束にSO(n+1)の群作用で不変な余等質性1完備リッチ平坦ケーラー計量がStenzelによって最初に構成 されたことはよく知られている.我々は,Stenzel計量に関してn次元標準球面の余接ベクトル束のSO(p)SO(q) (p+q=n+1)の群作用で不変な余等質性1スペシャルラグランジュ部分多様体を分類する.さらに,それらの得られた 余等質性1スペシャルラグランジュ部分多様体の漸近的挙動や特異点集合を記述する. |
日時 | 1月19日(水) 14:40~16:10 |
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講演者(所属) | 藤岡 敦(一橋大学) |
タイトル | 中心アファイン極小曲面の自己合同性 |
場所 | 数学講究室(3040) |
アブストラクト | 中心アファイン極小曲面は中心アファイン計量の面積積分の停留曲面として定義され、固有なアファイン球面の自然な一般化とみなすことができる。一方、固有なアファイン球面に対し定まる中心は、アファイン曲面に対する中心 写像として一般化することができる。ここでは、これらに関する基本的事実を紹介し、中心アファイン極小曲面の自己合同性について述べる。 |
日時 | 12月2日(木) 16:30~18:00 |
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講演者(所属) | 服部多恵(金沢大学、OCAMI兼任研究所員) |
タイトル | p-ディリクレ和有限な関数と無限グラフの quasimonomorphisms |
場所 | 数学講究室(3040) |
アブストラクト | 本講演では、無限グラフを考え、p-ディリクレ和有限な関数の空間と漸近幾何の関わりを、quasimonomorphism を通して調べた結果を紹介します。特に、指数 p を動かすことによる関数空間の変化と、非自明な p-ディリクレ 和有限な p-調和関数の存在・非存在に重点を置いて紹介します。 |
日時 | 11月18日(木) 13:30 ~ 15:30 |
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講演者(所属) | 野田 尚廣(名古屋大学、大阪市立大学数学研究所) |
タイトル | 微分式系の幾何学と田中理論 |
場所 | 数学講究室(3040) |
アブストラクト | 本講演では, 田中昇氏により考案された, Cartan幾何学において扱われる幾何構造に対しての正規Cartan接続(田中接続)の構成理論を紹介したい。 |
日時 | 11月10日(水) 14:40~16:10 |
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講演者(所属) | 福川 由貴子 (大阪市立大学) |
タイトル | The cohomology ring of the GKM graph of a flag manifold |
場所 | 数学講究室(3040) |
アブストラクト | トーラスの作用がある閉多様体にいくつかの条件をつけると,その多様体の同変コホモロジーはトーラスの余次元1の部分トーラスの固定点集合のみから決まることが知られています.また,トーラスの余次元1の部分トーラスの固定点 集合に対応するラベル付きグラフと,それのコホモロジーを定義すると,特に多様体が旗多様体のときは,旗多様体の同変コホモロジーとラベル付きグラフのコホモロジーが同型になることも知られていますが,この事実を使わずに, 旗多様体のラベル付きグラフのコホモロジー環の環構造を決定することができました.この結果についてお話したいと思います. |
日時 | 10月14日(木) 14:40~16:10 |
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講演者(所属) | 浦川 肇(東北大学国際教育院) |
タイトル | 2-調和挿入についての一般チェン予想と2次元多様体間の調和写像( Y-L. オウ氏らの仕事) |
場所 | 数学講究室(3040) |
アブストラクト | チェン予想とは、ユークリッド空間内の2-調和挿入は極小なものに限る、であろうというものであり、一般チェン予想とは、非正曲率空間内の2-調和挿入は極小なものに限る、というものである。 最近(今年6月)、Y-L. チェン氏らは一般チェン予想の反例を示した。さらにそのアイデアを用いて、2次元リーマン多様体の間の2-調和写像理論を作り、多くの興味ある2-調和写像で調和でないものを構成している (今年8月)。 本講演では、これらの論文のアイデアの詳細とテクニックの概要を紹介し、まだ未解決であるが超曲面の場合のチェン予想の解決に至る一つの道筋を提案したい。 |
日時 | 8月30日(月) 15:00~16:30 |
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講演者(所属) | Prof. Owen Dearricott (University of California Riverside, USA) |
タイトル | Positive curvature on 3-Sasakian 7-manifolds |
場所 | 数学講究室(3040) |
アブストラクト | The few manifolds of positive sectional curvature known arise as the orbit spaces of free isometric actions on Lie groups. We discuss a very different sort of metric of positive curvature that arises on 3-Sasakian 7-manifolds and a new manifold of positive sectional curvature that arises in this way. This example is deeply connected to curvature operators on self-dual Einstein orbifolds and conformal geometry in dimension 4. |
日時 | 8月30日(月) 13:30~14:30 |
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講演者(所属) | 坊向 伸隆(大阪市立大学数学研究所) |
タイトル | Reflective submanifolds of affine symmetric spaces |
場所 | 数学講究室(3040) |
アブストラクト | In this talk I will determine reflective submanifolds of simple affine symmetric spaces G/H; and in addition, I will clarify relation between simple pseudo-Hermitian symmetric spaces G/R and simple para-Hermitian symmetric spaces G/U, in terms of Lagrangian reflective submanifolds (i.e., real forms) of G/R and para-complex reflective submanifolds of G/U. |
日時 | 8月30日(月) 10:40~12:10 |
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講演者(所属) | Prof. Juergen Berndt (King's College London, UK) |
タイトル | Hypersurfaces in symmetric spaces |
場所 | 数学講究室(3040) |
アブストラクト | In this talk I will present a survey about some solved and unsolved problems related to hypersurfaces in symmetric spaces. Particular emphasis will be on homogeneous hypersurfaces, and hypersurfaces with constant principal curvatures or with some other geometric properties. Much of this is related to ongoing joint work with Jose Carlos Diaz Ramos, Young Jin Suh and Hiroshi Tamaru. |
日時 | 7月8日(木) 16:20~17:50 7月9日(金) 13:00~14:30 |
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講演者(所属) | 大森俊明(東北大学・大学院理学研究科) |
タイトル | (特別レクチャー) 曲面からの調和写像のモジュライ空間のコンパクト化 |
場所 | 8日(木)小講究室(3053) 9日(金)数学講究室(3040) |
アブストラクト | 曲面からの調和写像からなるモジュライ空間はそれ自身コンパクトではなく、そのコンパクト化は、バブルツリーと呼ばれる、調和写像と有限個の調和球面の連結和からなる空間となることが知られています。 本レクチャーでは、曲面から の調和写像列に対するバブル現象を初めて取り扱った Sacks-Uhlenbeck('81) の論文紹介から始め、その後、調和写像のモジュライ空間に焦点を当てて、Parker('96)によるエネルギー恒等式、およびChen-Tian('99)による結節点 をもつ調和写像 (nodal harmonic map) の存在定理について解説したいと思います。 |
日時 | 7月7日(水) 14:40~16:10 |
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講演者(所属) | 大森俊明(東北大学・大学院理学研究科) |
タイトル | 指数調和写像を用いた調和写像の存在定理 |
場所 | 数学講究室(3040) |
アブストラクト | 指数調和写像とは、指数函数的増大度を持つある汎函数の臨界点として定義される Riemann多様体の間の写像のことです。指数調和写像は、調和写像とは異なり、与えられた写像のホモトピー類の中に、滑らかな写像として 常に存在することが知られています。この事実に着目して、本講演では、古典的に知られた調和写像の存在定理の指数調和写像を用いた新しいアプローチについてお話したいと思います。 |
日時 | 6月15日(火) 15:00~19:00 |
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講演者(所属) | 早乙女 飛成(大阪市立大学数学研究所) |
タイトル | (特別レクチャー)強擬凸多様体上の正則写像 |
場所 | 数学講究室(3040) |
アブストラクト |
今回の講演では、強擬凸多様体と強擬凸多様体間の$J$正則写像についての研究を紹介します。
前半の時間において、強擬凸多様体及び接触計量多様体の幾何学について、後に有用となる基本的な事実を紹介したいと考えています。 後半において、現在自分が行っている研究において得られた$J$正則写像の幾何学的性質について議論します。 この研究は、シンプレクティック幾何学における擬正則曲線の理論の類似理論を構成しようという試みであり、今後どのような課題があるかについても紹介したいと考えています。 |
日時 | 5月26日(水) 14:40~16:10 |
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講演者(所属) | 石田裕昭(大阪市立大学・大学院理学研究科) |
タイトル | シンプレクティック多様体の構造をもつ実 Bott 多様体について |
場所 | 数学講究室(3040) |
アブストラクト | 偶数次元閉多様体がシンプレクティック多様体になる必要十分条件は, いまだ知られていない. 本講演では, 実 Bott 多様体と呼ばれる, iterated $\mathbb{R}P1$-bundle の全空間として定義される多様体について, シンプレクティック多様体になるものの位相的特徴づけを与える. |
日時 | 5月12日(水) 14:40~16:10 |
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講演者(所属) | 恩田健介(名古屋大学・大学院多元数理科学研究科) |
タイトル | ローレンツリッチソリトンと余等質1のリッチフラット計量の構成について |
場所 | 数学講究室(3040) |
アブストラクト | 与えられた $C^{\infty}$ 級多様体上に代表的な(擬)リーマン構造として,アインシュタイン構造やリッチソリトン構造が挙げられる.リッチソリトンは,アインシュタインの一般化の一つで Ricci flow 方程式の特別な解でもあり,近年 数多くの研究が進められている.本講演では,3 次元ユニモジュラーリー群上の左不変ローレンツ計量でリッチソリトン構造を持つものがあることを紹介する.さらに,リッチソリトンから一次元拡張した多様体上にリッチフラット計量を 構成する研究も紹介する. |