研究科長/学部長挨拶
研究科長/学部長挨拶
研究科長/学部長 小林 哲

大阪市立大学経営学研究科・商学部は、2022(令和4)年4月、大阪公立大学経営学研究科・商学部に改組し、新たなスタートを切りました。しかし、今回の改組は、私たちの長い歴史の中の1ページに過ぎません。と言うのも、私たちのルーツは、大阪市立大学が発足した1949年より遥か前の大阪商業講習所の設立(1880年)まで遡ることができるからです。大阪商業講習所は、その後、時代の要請に応じて、市立大阪高等商業学校、旧制大阪商科大学、大阪市立大学と姿を変えて存続しており、大阪公立大学への移行も、これまで行ってきた改組と同じく、将来に向けた新たな体制づくりだといえます。
このように長い歴史を有する経営学研究科・商学部の精神的支柱になっているのが、「大学は都市とともにあり、都市は大学とともにある」という考えのもと、王侯貴族ではなく、経済力を背景に市政を担った市民によって設立されたドイツのケルン大学を手本に自治体大学を構想した当時の大阪市長・関一が、旧制大阪商科大学の設立時に示した2つの指針です。ひとつは、「国立大学のコピーであってはならない」ということです。これは、自治体大学としての特徴を活かして独自の研究教育を行うことを示しています。もうひとつは、「専門学校の延長に甘んじてはならない」ということです。大学である以上、既存の知の教育に止まらず、新たな知の創造が求められることを示した言葉です。この関一が示した2つの指針は、大阪公立大学になった現在も経営学研究科・商学部のDNAとして脈々と生き続けています。
しかし、私たちを取り巻く環境はいま大きく変化しています。DX(Digital Transformation)の進展、SDGs(Sustainable Development Goals)の浸透、そして、COVID-19の世界的流行による人々の価値観の変化など、私たちの研究対象であるビジネス、さらに大学自体も大きな変革を求められています。そのため、140年の歴史で培ってきた経営学研究科・商学部の良い部分を引き継ぎながら、新たな時代に適応するため変えるべきところは変えるという「伝統と革新」のバランスをいかにとるかが問われていると言えます。
大阪公立大学への改組は、まさにこれからの時代の経営学研究科・商学部の確立に向けた第一歩だと言えます。新たに大阪府立大学のスタッフを迎え、さらなる進化を目指す新生経営学研究科・商学部をぜひ楽しみにしてください。