公共経営学科

商学部は大阪市立大学発足時 (1949年)以降、明治以来の大阪商業講習所や大阪商科大学の伝統を引継ぎながら、 経済界や地域で活躍する多くの有為な人材を輩出してきました。 この間、商学部商学科という1学科での教育体制でした。 近年の大きな経済社会の変化のなかで、地域や公共分野で活躍する人材の育成が求められています。 こうした社会的要請に応えるべく、 商学部では2018年4月から商学科に加え、新たに「公共経営学科」を設置し、 非営利組織、 公的機関、地域企業、 CSR(企業の社会的責任)等について重点的に学ぶ機会を拡大させることになりました。

公共経営学科で取り組む課題例

  1. 行政サービスの中でどの部分を、民間企業に手伝ってもらうのが良いか?
  2. 非営利の活動で、ボランティアや寄付を、どのように集めて、有効に活用すれば良いか?
  3. 地域の経済を元気にすべく政策を実行しても、その効果はどのように測定すれば良いか?
  4. ビジネスを手がけることで、現状で不便を感じている人達に対して、どのように役立ちたいか?
  5. 産業としての農業を再生させるために、農家の所得や担い手の確保をどのようにすれば良いか?
  6. シャッター通りとなった商店街に、賑わいを取り戻すために、私たちのできることは何か?

 

公共経営学科で探求する、課題解決に役立つ智

  • 講義で、知識や考え方を学ぶ
  • 実例を題材に、当事者目線で考える
  • 構想や事業計画を練る
  • データに触れて、分析と報告を行う
  • 現場に寄り添い、問題の本質に迫る
  • 論文を書くプロセスでの知的格闘

 

卒業後の活動の場(一例)

  • 自治体など行政組織
  • 地域の政策を立案・評価する機関
  • 農業の経営を先導する立場
  • 非営利の組織
  • 地域を活動の拠点とする中小企業、ベンチャー企業
  • まちづくりを先導する立場

 

公共経営学科の授業紹介

社会経営系

「社会関連会計論」(担当:向山 敦夫)

「良い企業」と聞いてどんな企業を思い浮かべるでしょうか。営利を追求するのが企業だとすれば、多くの利益を獲得している企業を良いと考えるでしょう。財務会計と呼ばれるシステムが利益の獲得状況についての情報を提供してきました。
社会の仕組みや時代が変化して、企業に対する考え方や期待が高まり、企業と関係する人々(これをステイクホルダーと呼びます)の範囲は広がり、企業はステイクホルダーとの良好な関係を築いていかなければなりません。誰のための利益かを考えると、企業を評価する基準も多様になるでしょう。社会関連会計論では企業の社会や環境とのかかわり方を情報開示の視点から考えます。例えば、企業はCSR(企業の社会的責任)に取り組み、CSR報告書やサステナビリティ報告書を作成しています。

「社会関連会計論」(担当:向山 敦夫)

 

その他の授業

  • 公会計論(廣瀬)
  • 非営利組織会計論(新井
  • ソーシャル・ビジネス論(五石)
  • ビジネス・モデル論(小関)
  • 公共事業論(中瀬)

 

  • 政策形成論(久谷・寺田)
  • 環境政策論(除本)
  • 文化政策論(槇原)
  • 組織文化論(川村)
  • 非営利組織経営論(井原)

 

 

地域経営系

「地域経済論」(担当:松永 桂子)

現代の都市・地域が直面しているのは急速な人口減少と高齢化など、今までに経験したことのない大きな環境の変化です。広がる格差を是正し、自然環境やまちの景観を保全しながら、新たな産業や豊かな生活文化を育んでいくにはどうすればよいのでしょうか。わたしたちは、経済成長の時代とは違う転換期に立っています。
維持可能な社会や経済のあり方について、地域を対象に考えていくのが地域経済論の基本的な考え方です。たとえば、社会の課題を新たな産業やビジネスに結びつけ、地域のなかで機能する仕組みを考え、実践していくことも盛んになりつつあります。それはソーシャルビジネスといい、新たな経済の担い手として期待されていますし、若い世代の関心も高まっています。地域での具体的な取り組み、ビジネスを通して、維持可能な社会や経済のあり方について考えてみましょう。

「地域経済論」(担当:松永 桂子)

 

その他の授業

  • 地域経営論(本多)
  • 中小企業論(本多)
  • 中小企業会計論(辻)
  • 税務会計論(小嶋)

 

  • 自治体財政論(水上)
  • 地域デザイン論(松永)
  • 工業論(宇野)

 

 

地域産業・まちづくり系

「地域マーケティング論」(担当:小林 哲)

「地域はわかるけどマーケティングって何?」マーケティングとは、相手のしたいことに応えることで、自分のしたいことを実現すること。たとえば、ある地域が自分のことをもっと知ってほしいと思うならば、相手が何に興味を示すかを考え、その興味に応えることで相手の自分に対する注目度を高める。これが、地域マーケティング(地域をマーケティングすること)です。もともとマーケティングは、ビジネスの中で培われてきた知恵。その知恵を地域のために活用することで、その地域にかかわる様々な人々を満足させながら、自らも目的を達成し満足する。そんな地域のWIN-WIN関係を築くための方法を学ぶのが地域マーケティング論です。

「地域マーケティング論」(担当:小林 哲)

 

その他の授業

  • 地域商業論(二宮)
  • 地域金融論(北野)
  • ベンチャー・ビジネス論(新藤)
  • ベンチャー・マーケティング論(小沢)

 

  • 観光論(新井
  • 地域産業論(関根)
  • キャピタル・マーケット論(松尾

 

 

産業地理系

「産業立地論」(担当:鈴木 洋太郎)

私たちが生活している地域社会は、自動車産業や家電産業、外食産業、コンビニ産業など様々な産業活動(ビジネス分野)によって成り立っています。産業立地論は、地理的・場所的な側面に注目しながら、ビジネスに関する諸問題について研究します。「自動車産業の世界的大企業であるトヨタは、なぜ愛知県豊田市に多数の工場を集中しているの?」、「コンビニ産業では、セブンイレブンやファミリーマートなど同じ企業の店舗がすごく近くに立地していますが、それって無駄じゃないの?」などなど。産業立地論を学ぶと、ビジネスや地域社会を発展させるためのヒントや課題が見えてきます。

「産業立地論」(担当:鈴木 洋太郎)

 

その他の授業

  • 産業集積論(立見)
  • 地域再生論(藤塚)
  • 大阪ビジネス論(富澤)
  • 都市・地域分析論(藤塚)

 

  • 都市型産業論(立見)
  • 地域政策論(関根)
  • 多国籍企業論(太田)
  • 都市交通論(姜)