SSSRCについて

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概要

大阪公立大学 小型宇宙機システム研究センター(SSSRC)では、学生が中心となって超小型人工衛星・超小型ロケットなどの宇宙機を開発しています。学生がカリキュラムをつくり、上級生が下級生に対して宇宙機の開発に必要な技術を教える活動や、地域の方々に宇宙を身近に感じてもらうためのアウトリーチ活動も行っています。 希望する学生は、学部学科や専攻にとらわれず誰でもセンターの活動に参加できます。多くの学生は、それぞれの興味に合わせてプロジェクトに参加しています。学部1年生から大学院生までがお互いに協力し、活動しています。

設立のきっかけ

センター発足の契機となったのは、関西から初の宇宙をめざす小型人工衛星SOHLA-1(「まいど1号」)プロジェクトに、大阪公立大学の前身である大阪府立大学の学生・院生たちが参加し、設計・開発を行ったことでした。これより、宇宙航空研究開発機構(JAXA)と大阪府立大学の包括協力協定が締結され、2005年4月、当センターが工学研究科に設置されました。 2019年より所属が大阪府立大学 大学院 工学研究科から大阪府立大学 研究推進機構 21世紀科学研究センター 宇宙科学技術研究センターに変更されました。
2022年度からは大学の合併に伴い、大阪府立大学から大阪公立大学の組織へ変更となりました.

これまでの活動

センターの学生・院生は、設計・開発、バス機器・ミッション機器の開発・試験、打上げ時の運用準備などのSOHLA-1プロジェクトへの取組み、衛星設計コンテストへの応募や小型模擬衛星(CanSat)の開発、小型衛星の概念設計などセンター独自の小型衛星の設計開発をめざす取り組みなどに参加してきました。2014年には、センター独自の超小型人工衛星であるOPUSATが開発され、H-IIAロケットによる打ち上げが行われました。その後、人工衛星キットであるOPUSAT-KITの開発を行い、2016年12月より受注が行われています。現在はセンター2機目となる超小型人工衛星「ひろがり」の宇宙空間への放出が完了し、2021年3月から行われた運用でミッションを成功させました。 また、ロケットの設計・開発を行っています。CanSatなど高度1km程度の打上げを当面の目標として、ロケットの推進器開発、機体開発、打上げ運用を行っています。

沿革紹介に使えるスライド_20230603

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組織図

航空宇宙工学分野をはじめ、工学研究科、先端科学研究センターの教員がメンバーとして参加し、他大学・JAXAなどからの客員教授・客員研究員を招聘しています。センターの主な活動は、現在約80名の学生・院生メンバーに支えられています。 

SSSRC組織図(公立大編_第4版)小型宇宙機システム研究センター組織図

センター長挨拶

大阪公立大学小型宇宙機システム研究センターは,宇宙に興味のある学生を幅広く受け入れ,小型宇宙機の研究・開発を通してシステム設計の真髄を学ぶ場を提供しています.さらには,これをもとにして,宇宙工学および関連する分野の研究を実践する力を養っています. 本センターは,2009年に大阪発の小型人工衛星「まいど1号」の開発に大阪府立大学の学生たちがプロジェクトの成功に大きく貢献したことを契機に,宇宙機の実践的な研究の場を提供することを目的に設立されました.その後,本センターは,学生が主体となって,小型衛星やロケット,CanSatなどの設計・開発・運用などを行ってきました.2014年には超小型衛星OPUSAT(愛称:COSMOZ(こすもず))の打ち上げ,これを基にした衛星キット(OPUSAT-KIT)の開発などを行ってきました. 現在は,2機目の超小型衛星 ひろがり の研究開発を室蘭工業大学航空宇宙機システム研究センター(Aerospace Plane Research Center (APReC)) と共同研究開発しています.この衛星は2021年3月14日に,国際宇宙ステーション「きぼう」からの放出され,現在運用を行っています. これらの活動を通して,本センターの学生は学内外で大きく評価されています. 衛星は小型であっても,宇宙に打ち上げるとなると,規模は小さくなるとは言え,通常の衛星と同様の試験や審査の手順を踏むことが要求されます.そのためには,宇宙機を設計するために必要な宇宙工学に関する実践的な知識だけでなく,スケジュール管理をはじめとするプロジェクトマネジメント,メンバー間のコミュニケーション,リーダーシップなどが要求されます.この活動を行うために,本センターでは独自の教育カリキュラムを整備し,学生が中心となってその運営も行っています. 一方で,「開発から利用へ」と宇宙をめぐる情勢は大きく変化しています.内閣府が定めた「宇宙産業ビジョン2030」では,新たな宇宙ビジネスの創出を見据えた施策を打ち出しています.これに対応するには,ユーザーの要求が変化することを念頭においた新しいマインドが必要となります.そこで,現在の教育カリキュラムを見直し,新たな教育カリキュラムを構築するとともに,学生が活動しやすい環境を整備していく予定です. そのために,より多くの方々から本センターの支援が得られるように努力していきたいと思います. 本センターの活動に,引き続きみなさまの温かいご支援とご協力をよろしくお願いします.

小型宇宙機システム研究センター長 小木曽 望