教員の著作 / 『都市経営研究叢書シリーズ』

1. 都市経営研究科による『都市経営研究叢書シリーズ』プロジェクト

都市経営に関する指導的人材やプロフェッショナル/実務的研究者を養成する新しい大学院として2018(平成30)年4月に開設された都市経営研究科は、新しい時代に求められる教程を想定するとともに、広く都市経営にかかわる諸科学に携わる方々や学ばれる方々に供するため、『都市経営研究叢書』シリーズの刊行を2019年より開始しました。

第1期配本

都市経営研究叢書1巻
都市経営研究叢書2巻
都市経営研究叢書3巻
都市経営研究叢書4巻

第2期配本

都市経営研究叢書5巻
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『都市経営研究叢書シリーズ』刊行にあたって

21世紀はアジア・ラテンアメリカ・中東・アフリカの都市化と経済発展の時代であり、世界的には、人類の過半が都市に住む都市の時代が到来しています。ところが、「人口消滅都市(※注)」 などの警鐘が鳴らされているように、逆に先進国都市では、人口の減少、高齢化、グローバル化に よる産業の空洞化が同時進展し、都市における公共部門やビジネス等の活動の課題は益々複雑になっています。

なぜなら、高齢化等により医療・福祉などの公共需要は益々増大するにもかかわらず、人口減少・高齢化・産業の空洞化が同時進行し、財政が緊迫するからです(※注:2014年に日本創成 会議(増田寛也座長)が提唱した概念)。このため、これからは都市の行政、ビジネス、非営利活動のあらゆる分野で、スマート(賢く)でクリエイティブ(創造的)な課題解決が求められるようになります。

◎ 人口減少と高齢化の時代には、高付加価値・コストパフォーマンスの高いまちづくりや公民連携(PPPやPFI)が不可欠です。今後重要性の高い、効果的なまちづくりや政策分析、地域再生手法を研究する必要があります。
◎ また、人口減少と高齢化の時代には、地方自治体の行政運営の仕方、ガバナンスの課題が大変重要になってきます。限られた財政下で最大の効果を上げる行政を納税者に納得して進めていくためにも、合意形成のあり方、市民参画、ガバメント(政府) からガバナンス(運営と統治)への考え方の転換、NPOなどの新しい公共、そして法や制度の設計を研究する必要があります。
◎ また、産業の空洞化に対抗するためには、新産業の振興、産業構造の高度化が不可欠であり、特に、AIのICT技術の急速な進歩に対応し、都市を活性化する中小・ベンチャーの経営革新により、都市型のビジネスをおこす研究が必要です。
◎ 一方、高齢化社会の到来で、医療・社会福祉・非営利サービス需要は益々増大いたしますが、これらを限られた財政下で整備するためにも、医療・福祉のより効率的で効果的な経営や倫理を研究し、イノベーションをおこさないといけません。

これらから、現代社会において、都市経営という概念、とくに、これまでの既存の概念に加え、産業や組織の革新(イノベーション)と持続可能性(サスティナビリティ)というコンセプトを重視した都市経営が必要となってきています。

このために、都市経営の基礎となるまちづくり、公共政策・産業政策・経済分析や、都市経営のための地方自治体の行政改革・ガバナンス、都市を活性化する中小ベンチャーの企業経営革新やICT化、医療・福祉の経営 革新等の都市経営の諸課題について、都市を支える行政、NPO、プランナー、ビジネス、医療・福祉活動等の主要なセクターに属する人々が、自らの現場で抱えている都市経営の諸課題を、経済・経営・政策・法/行政・地域などの視点から、都市のイノベーションとサスティナビリティをふまえて解決できるように、大阪市立大学は、指導的人材やプロフェッショナル/実務的研究者を 養成する新しい大学院として都市経営研究科を、2018(平成30)年4月に開設いたしました。その新しい時代に求められる教程を想定するとともに、広く都市経営にかかわる諸科学に携わる方々や、学ばれる方々に供するため、ここに、『都市経営研究叢書』を刊行いたします。

都市経営研究叢書 第1巻

都市経営研究叢書 第1巻

佐藤道彦(都市経営研究科教授)・佐野修久(都市経営研究科教授編 『まちづくりイノベーション ─ 公民連携・パークマネジメント・エリアマネジメント』(日本評論社刊、2019年3月刊行) 第Ⅰ部「まちづくりの新たな潮流」 第1章「公民連携によるまちづくりの流れ」 第2章「新たな公民連携としてのパークマネジメント」 第Ⅱ部「PPPとまちづくり」 第3章「PPPの概要」 第4章「PPPの類型・事業形態」 第5章「近年重視されているPPP」 第6章「まちづくりにおけるPPP」 第Ⅲ部「大阪市におけるまちづくりイノベーション」 第7章「大阪市の公民連携の系譜」 第8章「大阪市のパークマネジメント」 第9章「うめきたイノベーションエコシステムとエリアマネジメントの構築」

 

都市経営研究叢書 第2巻

都市経営研究叢書 第2巻

久末弥生(都市経営研究科教授)編 『都市行政の最先端─ 法学と政治学からの展望』(日本評論社刊、2019年2月刊行) 第1章「都市行政と住宅法」 第2章「都市行政と水法」 第3章「都市行政と自治体環境行政」 第4章「都市行政と国土安全保障」 第5章「都市行政と情報法」 第6章「都市行政とAI・ロボット活用」 第7章「都市行政と現代型訴訟」 第8章「都市行政と議員立法」 第9章「都市行政と議会改革」

 

都市経営研究叢書 第3巻

都市経営研究叢書 第3巻

村上憲郎(都市経営研究科教授、元グーグル米国本社副社長兼グーグル日本法人代表取締役社長)・服部桂(元米MITメディアラボ客員研究員・「ASAHIパソコン」副編集長、ジャーナリスト、関西大学客員教授)・近勝彦(都市経営研究科教授)・小長谷一之(都市経営研究科教授)編 『AIと社会・経済・ビジネスのデザイン』(日本評論社刊、2020年3月刊行) 第Ⅰ部「AIとはなにか?」 第1章「AIの誕生と今後の展望」、第2章「AIとテクノロジー文化論」、第3章「AIの歴史・原理とデータマイニング」、第4章「AIソフト:テンソルフローの使い方」 第Ⅱ部「AIによるビジネス革命」 第5章「AIの経済学的分析」、第6章「AIとビッグデータ」、第7章「AIとIoT」、第8章「AIとマーケティング」、第9章「AIと教育ビジネス」、第10章「AIとクラウドファンディング」 第Ⅲ部「AIの社会・経済学」 第11章「AIの発展と課題の総括」、第12章「AIと社会・経済のデザイン」

 

都市経営研究叢書 第4巻

都市経営研究叢書 第4巻

永田潤子(都市経営研究科教授)・遠藤尚秀(都市経営研究科教授)編 『公立図書館と都市経営の現在─ 地域社会の絆・醸成へのチャレンジ』(日本評論社刊、2020年3月刊行) 第Ⅰ部「都市経営と図書館」 第1章「公立図書館の運営と課題」、第2章「公立図書館の運営形態と今日的課題」、第3章「都道府県立図書館と市区町村立図書館の関係」 第Ⅱ部「都市経営の実践としての図書館運営」 第4章「公立図書館運営の枠組みと分析」、第5章「公募図書館長のリーダーシップ─ 瀬戸内市民図書館の取り組み」、第6章「行政からみた指定管理型図書館の出発─ 和歌山市民図書館の取り組み」、第7章「指定管理者からみた行政とのコラボレーション─ CCCの運営図書館の5つの特徴と3つの約束」、第8章「公園のような図書館─ 伊丹市立図書館の取り組み」、第9章「地域産業支援と歴史の継承─ ぶどうとワインの専門図書館:甲州市立勝沼図書館」、第10章「子育て支援─ 西脇市図書館の部局横断としての取り組み」、第11章「震災からの復興─ 宇城市立中央図書館の取り組み」、第12章「連携都市圏における図書館運営─ 京都府北部連携都市圏の現状と課題」

 

都市経営研究叢書 第5巻

都市経営研究叢書 第5巻

五石敬路(都市経営研究科准教授)編 『大都市制度をめぐる論点と政策検証』(日本評論社刊、2020年10月刊行) はじめに、第1章「日本の地方自治と大都市問題」、第2章「大都市財政の硬直化-三大都市圏における母都市財政」、第3章「新たな大都市制度に向けて-大阪都市圏を実例とした検証」、第4章「エアロトロポリス構想と都市圏の発展」、[コラム]多主体連携による都市再創造への期待、第5章「水道広域化の効率性分析」、第6章「自治体は合併により効率化したか」、第7章「これからの地域づくり活動拠点-公民館不要論者と公民館論者との考察より」

 

都市経営研究叢書 第6巻

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新ヶ江章友(都市経営研究科教授)編『学際研究からみた医療・福祉イノベーション経営』(日本評論社刊、2022年3月刊行) 第1章「医療・福祉組織のイノベーション経営のための「クリティカル経営学習」」 第2章「「消費者モデル」の医療・福祉サービス-その限界と「連帯モデル」に向けて」 第3章「インフォームド・コンセントの現在地」 第4章「哲学対話から見えてくる「組織」」 第5章「高齢者のケアにおける「人権に基づくアプローチ」」 第6章「社会人大学院生としての医療・福祉の現場での調査・研究-文化人類学によるフィールドワークの実践から」 第7章「「司法と福祉との連携」は福祉臨床に何をもたらすのか-草の根活動が生みだすイノベーション」

 

都市経営研究叢書 第7巻

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久末弥生(都市経営研究科教授)著『変革と強靱化の都市法』(日本評論社刊、2022年3月刊行) 第1部「文化財保護と都市計画の連携」 第1章「フランスの文化財保護と都市計画法制」 第2章「フランスの歴史的建造物に関する法制度と都市の居住空間」 第3章「世界文化遺産と自然保護-モン・サン・ミッシェルに見る文化遺産と自然の共存」 第2部「ニューノーマルと都市の変容」 第4章「新世紀の都市化へ-パリ第9区の出現」 第5章「フランスの山岳国立公園に関する法制度と課題-国境の安全保障と自然保護」 第6章「アメリカの自然保護政策と国土安全保障」 第7章「水都の強靭化と歴史的建造物の保存・活用-文化遺産水都ヴェネツィアとSDGs」

 

都市経営研究叢書 第8巻

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新藤晴臣(都市経営研究科教授)編『コーポレート・アントレプレナーシップ-日本企業による新事業創造』(日本評論社刊、2021年12月刊行) 第1章「コーポレート・アントレプレナーシップとは何か」 第2章「先行研究のレビュー」 第3章「パナソニック-多面的な社内ベンチャーによる戦略転換への挑戦」 第4章「ANAホールディングス-日本版LCCの離陸と確立」 第5章「バイエル薬品-ベンチャーとの協同によるイノベーション創出」 第6章「ソフトバンクグループ-投資を通じた企業ドメインの再定義と成長」 第7章「事例分析」 第8章「まとめ」

 

2. 教員の一般著作

都市政策・地域経済コース/領域関係

地域活性化戦略

地域活性化戦略

小長谷一之(都市経営研究科教授)ほか著『地域活性化戦略』(晃洋書房刊、2012年3月刊行) 第Ⅰ部「地域活性化を考える視点」 第1章「地域活性化と「まちづくり3法則」」 第2章「第1の視点(地元)-地域活性化とソーシャル・キャピタル/社会的ネットワーク-」 第3章「第2の視点(隣町)-地域活性化と地域の個性・差別化-」 第4章「地域活性化と地域商業」 第5章「地域活性化と観光」 第6章 第3の視点(顧客)-地域活性化とマーケティングのトレンド-」 第7章 地域活性化と「地域づくり3法則・産地直販モデル」 第8章「地域活性化と「内発的外需開拓型モデル」」 第9章「地域活性化と「創造都市モデル」」 第Ⅱ部「直販(売)所・農商工連携・まちづくり-新生代漁港による地域活性化-」 第10章「地域における漁港の位置付けと政策の変化」 第11章「漁港の分類論と新世代漁港の抽出」 第12章「新世代漁港に関する事例研究」 第13章「新世代漁港モデル(1)-魚価安定論-」 第14章「新世代漁港モデル(2)-人的資源活用論(雇用創出)-」 第15章「新世代漁港モデル(3)-多角経営論-」 第16章「新世代漁港への転換による地域活性化」 第Ⅲ部「景観+飲食+購入の観光3要素-SAKE(日本酒)ツーリズムによる地域活性化-」 第17章「SAKE(日本酒)ツーリズムのトレンドと可能性」 第18章「SAKEツーリズム(ST)の背景となるトレンド1-日本酒の味の変化と酒造業の歴史-」 第19章「SAKEツーリズム(ST)の背景となるトレンド2-歴史的まちづくりの進展と蔵資源活用-」 第20章「SAKE(日本酒)ツーリズムのコア・ターゲット第21章 SAKE(日本酒)ツーリズム地域の事例分析」 第22章「来訪者分析」 第23章「SAKE(日本酒)ツーリズムのモデル」 第Ⅳ部「新しいマーケットに対応するテーマパーク・企業による地域活性化」 第24章「観光において重要性を増すテーマ型集客施設」 第25章「テーマ型集客施設(テーマパーク)の位置と分類」 第26章「テーマパークの持続可能モデルをもとめて」 第27章「持続可能モデル(1)-ターゲットの拡大-」 第28章「持続可能モデル(2)-時間消費拡大-」 第29章「持続可能モデル(3)-消費者トレンドとしての癒し効果-」 第30章「新しいマーケットのトレンドに関する総括」

 

芸術祭と地域づくり-“祭り”の受容から自発・協働による固有資源化へ
(文化とまちづくり叢書)

芸術祭と地域づくり-“祭り”の受容から自発・協働による固有資源化へ(文化とまちづくり叢書)

吉田隆之(都市経営研究科准教授)著『芸術祭と地域づくり-“祭り"の受容から自発・協働による固有資源化へ(文化とまちづくり叢書)』(水曜社刊、2019年10月刊行) 第1章「あいちトリエンナーレ(名古屋市等)長者町地区」 第2章「大地の芸術祭(新潟県十日町市・津南町)莇平集落」 第3章「水と土の芸術祭(新潟市)小須戸ARTプロジェクト」 第4章「いちはらアート×ミックス(千葉県市原市)内田・月崎・養老渓谷」 第5章「奥能登国際芸術祭(石川県珠洲市)飯田・正院・若山(上黒丸)」 第6章「リボーンアート・フェスティバル(宮城県石巻市)はまさいさい・石巻のキワマリ荘」 第7章「札幌国際芸術祭(札幌市)札幌市資料館」 第8章「「不自由」から「寛容」な社会へ」

 

都市行政コース/領域関係

都市災害と文化財保護法制

都市災害と文化財保護法制

久末弥生著『都市災害と文化財保護法制』(成文堂刊、2020年4月刊行) 第1章「文化財と災害-日本国内の法的枠組み」 第2章「文化遺産と現代都市の共存-国際法制の動向」 第3章「大規模都市災害とネットワーク構築」 第4章「世界文化遺産の保護をめぐる課題」 《資料1》「写真で見るノートルダム大聖堂、モン・サン・ミッシェル、ヴェネツィア」 《資料2》「遺跡と法律-ヨーロッパ都市に見る持続可能な遺跡保護」

 

都市ビジネスコース/領域関係

IT資本論-なぜIT投資の効果はみえないのか?

IT資本論-なぜIT投資の効果はみえないのか?

近勝彦著『IT資本論-なぜIT投資の効果はみえないのか?』(毎日コミュニケーションズ刊、2004刊行) 第1章「3つのジレンマ」 第2章「8つのパラドクス(1)生産性パラドクス」 第3章「8つのパラドクス(2)ネットワーク・パラドクス」 第4章「8つのパラドクス(3)イノベーション・パラドクス」 第5章「8つのパラドクス(4)隠れた資産のパラドクス」 第6章「8つのパラドクス(5)学習パラドクス」 第7章「8つのパラドクス(6)不確実性のパラドクス」 第8章「8つのパラドクス(7)情報戦略のパラドクス」 第9章「8つのパラドクス(8)IT資本のパラドクス」