特色

当教室の特色は3つあります。
知・仁・勇に根差した医学生、研修医、専攻医教育
当教室で最も重点を置いているのは、将来の脳神経内科診療を担う若手の育成です。大阪公立大学大学院医学研究科の教育ポリシーである「知・仁・勇」は、医学生教育のみならず研修医、専攻医の教育においても重要です。幅広くアップデートされた医療知識は正しく診断し、治療するうえで基本であることは言うまでもありません。さらに患者様を全人的にとらえ寄り添う気持ちをもって診療にあたる仁の心は、三つのポリシーの中で最も重要な心構えです。そして献身的な医療の実践を意味する勇が最後の柱となります。
知識の習得だけではなく、患者様に寄り添う心を忘れずに、献身的に医療にあたる医師を育ててまいります。
最先端の医療と全人的な診療
当教室では、これまで日本で最も早く認知症の治療薬を導入したり未承認の治験開発に携わったり、大学附属病院として最先端の医療を地域の方々にお届けする役割を果たして参りました。認知症、パーキンソン病、脳卒中、頭痛といった患者さんの多い領域における最先端医療の提供、また多発性硬化症、慢性炎症性脱随性多発ニューロパチー、筋萎縮性側索硬化症、多系統萎縮症、ハンチントン病、ミトコンドリア病といった神経難病、希少疾患にも大学病院として対応しています。
同時に、患者さんの受け入れでは、緊急の需要にも応えられるオールラウンドな医療の提供を心掛けています。通院中の患者さんの急性増悪に対する二次救急や脳卒中への対応は地域医療への貢献として不可欠と考えています。
世界的レベルでの研究
当科では大学院大学として、さまざまな臨床研究とともに基礎研究でも成果をあげています。詳細は別項目「研究活動の紹介」をご参照ください。そうした研究の一つとしてNeurovascular Unit(神経血管ユニット)からみた神経疾患の治療法開発が挙げられます。
脳梗塞は主幹動脈、小動脈の閉塞による虚血を主たる病態としますが、当教室では虚血周辺部における微小循環障害や再灌流傷害の治療にNeurovascular Unitが関わっていることを明らかにしてきました。またアルツハイマー病はアミロイド、タウといった蛋白の集積が神経毒性をきたし発症しますが、当科では異常蛋白の排出に血管周囲腔が大きな役割を果たすことを発表し、抗アミロイド抗体薬の開発に貢献してきました。このほか多発性硬化症などの自己免疫性神経疾患、血管炎、神経感染症などさまざまな疾患の病態とNeurovascular Unitの関係を明らかにして参りました。
今後はこれまで以上に世界的レベルで脳神経疾患の解明に取り組んでいきたいと思います。
次に当科が担当または関与している公的事業について紹介します。
認知症疾患医療センター
大阪市からの委託事業で、大阪市の南3分の1を主な対象に、認知症の初期鑑別診断、BPSD行動・心理症状などへの対応、認知症検討会の開催、地域認知症サポート医の研修会開催、公安委員会から委託された高齢者運転免許相談などを行っています。また最近は地域における抗認知症薬の導入も請け負っています。
プライマリー脳卒中センター (PSC)
脳卒中の拠点病院として、24時間365日脳卒中症例を受け入れています。血栓溶解療法はもとより機械的血栓回収療法も常勤医が対応します。脳神経外科と協力し、脳卒中ホットラインを担当、地域からの救急要請に確実に応需します。特に合併症、基礎疾患があり市中で対応困難な症例も各科のそろった大学病院として積極的に対応しています。
難病連携拠点病院
治療が困難で重篤な負担をきたす難病のなかで神経疾患は多くを占めています。こうした疾患は特殊な検査、治療法を要することや、症例数も少ない希少疾患であることが多いため、地域の医療機関では対処が困難です。当院では大阪府からの委託を受けて難病に対する情報の拠点病院として広くご紹介を受けています。
また慶應義塾大学と協力し、遺伝子異常が疑われる希少未診断症例について全ゲノム解析により診断を行うIRUDにも参加しています。
てんかんセンター
脳神経外科、小児科、神経精神科と協力しててんかん患者の受け入れを行っています。特に全身性疾患に付随したてんかん、難治性てんかん、難病に合併したてんかんは、地域の医療機関では対応が困難であり、大学病院での受け入れが社会的な使命と考え従事しています。