「てんかん外科」専門診療

「てんかん外科」専門診療のお知らせ

 大阪公立大学脳神経外科では、1990年後半よりてんかんに対する手術治療の専門診療を開始しました。2000年代には、年間50件を超えるてんかん外科手術が行われ、全国でも有数のてんかん外科施設となりました。現在は、日本てんかん学会専門医である宇田武弘医師と川嶋俊幸医師を中心とした診療体制となっております。
当院は、成人てんかんに対して近隣で唯一の持続ビデオ脳波モニタリング設置施設になっております。またその他の診断機器(MRI、脳磁図、PET、SPECTなど)も充実しております。小児てんかんに対しては、当院小児科と連携しながら診断、検査を進めてまいります。外科手術としては、海馬扁桃体摘出、海馬多切、焦点切除、MST、脳梁離断、半球離断などの従来の外科手術全般に加え、迷走神経刺激療法(VNS)も可能となり、以前は発作抑制が困難であった症例にも外科治療を提供できるようになっております。日本では、てんかんの手術治療の恩恵を受けることができていない患者さまがたくさんおられます。私たち、大阪公立大学脳神経外科では関係各科との連携をとりながら、個々の患者さまに適した手術治療を提供できるように努力してまいります。 

専門担当医

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宇田武弘 プロフィールはこちら
● 講師
日本脳神経外科専門医、指導医
日本臨床神経生理学会認定医・指導医(脳波分野)
日本てんかん学会認定てんかん専門医・指導医
迷走神経刺激療法(VNS)資格認定医
日本小児神経外科学会認定医
外来診察日:毎週月曜日
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川嶋俊幸 
日本脳神経外科学会専門医
外来診察日:毎週金曜日
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田上雄大 プロフィールはこちら
● 病院講師
日本脳神経外科学会専門医・指導医
日本脳神経血管内治療学会専門医
日本脳卒中学会専門医
外来診察日:毎週木曜日

難治性てんかん

抗てんかん薬を規則正しく服用しているにもかかわらず、発作が認められるような難治性てんかん例を対象としています。MRIなどの画像所見や頭皮脳波で発作の焦点部位を推定し、さらに発作型を確認して手術治療の適応があれば手術を行います。もっとも手術治療の良い適応になる側頭葉てんかんについては発作完全消失率が75%を超え、発作軽減例を加えると90%以上の患者さまに満足して頂いてます。

外来での検査(てんかん外来:毎週月曜日)

頭皮脳波検査を行って、てんかん波の有無とその異常波が出ている部位について調べます。つぎに脳内にてんかん発作の焦点になるような画像所見の有無を調べ、所見があればそれが頭皮脳波の異常所見と一致するかどうかを確認します。てんかん発作が抑制されていないと高次脳機能(知能、記憶力)が障害されるため、術前の患者さまの知能指数や記憶力検査を行います。

入院での検査

つぎに約1~2週間の予定で入院の上、検査を行います。入院中の検査でいちばん重要なものが頭皮脳波ビデオ同時モニタリングで、その他にMRI、 血液検査、脳血管の状態を調べるMRAやMRVなどを行います。さらにてんかん焦点部位の診断に有用な補助検査であるPET検査や脳磁図(MEG)も行います。外来での検査と合わせててんかん焦点を診断し、手術で適切かどうかを判定します。検査結果および治療方針を患者さまとご家族にお話しし、手術治療を行うかどうかを決定します。手術治療を行うことになれば、手術予定日を決めた上で一旦、退院となります。

手術入院

MRI、頭皮脳波および発作型でてんかん焦点が診断できた場合は一回の手術で治療を行います。しかしながら、これらの検査でも焦点診断が不十分と判断した場合は頭蓋内電極を留置した上で発作―皮質脳波ビデオ同時モニタリングを行い、発作焦点の同定を行います。この場合、手術も電極植え込み術と焦点診断後の焦点切除術の2回の手術が必要となります。手術後は約2週間で退院となります。

当科で取り扱っている主な機能性疾患

  • この分野で取り扱っている主な機能性疾患の情報は「脳と神経のデータベース」のコーナーにもありますのでぜひご覧ください。