専門外の知識も幅広く取り入れるため、耳からのインプットも
自分の専門分野だけに偏らず、なるべく広くアンテナを張って情報収集をするように普段から心がけています。私が専門として扱っている食行動やボディイメージ(自身が認識する身体像や身体に対する感情)は、社会と密接に結びついているからです。例えば「お米の価格が高騰している」などのニュースは、人々の食行動に直結します。そのため、経済動向や国際情勢も理解しておくことが大切なのです。
私がこういった意識を持つようになったのは、さまざまな分野で活躍している女性たちの発信がきっかけです。「最近はこの本を読みました」といったSNSの投稿などを見て、やはりどんな忙しい方も専門外の知識を吸収することを怠らず、広い視野を持っていると感じて感銘を受けました。
とはいえ、私は3人の子どもを持つ母親でもあるので、日々の暮らしの中でゆっくりと本を読んだりテレビを観たりする時間はなかなかありません。そこで最近は、PodcastやYouTubeを活用して、耳から情報収集するようにしています。片方の耳にイヤホンをして、家事をしながらニュースなどを聴くことが多いです。片耳なら子どもたちから呼びかけられてもすぐに気づけますし、近頃は慣れてきて1.5~1.8倍速でも聴けるようになりました。
新しい習慣を取り入れようとするときに大切なのは、「完璧を目指さない」ことです。私も初めの頃は、本を読もうと意気込んでカバンに入れたまま出かけ、まったく取り出さずに一日を終えてしまい「今日も読めなかった」と何度もがっかりしました。でも、一日に数ページしか進まなくても、最後まで読み切れなくてもいいんです。例えば「電車に乗っている10分だけは、スマートフォンを触らずに本を開く」でもいいから、まずは一歩踏み出すことが大切だと私は思います。
ほんの数分でも数秒でも、行動することに価値がある。たとえ小さな習慣でも、そこから知識が広がったり、自分自身の考え方が少し変わったりするかもしれません。「できた」という感覚を日々積み重ねていくと、自己肯定感にもつながります。「完璧を目指さない」を合言葉に、できることから始めてみてはいかがでしょうか。
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生活科学研究科 生活科学専攻 准教授
生活科学研究科 生活科学専攻 准教授
博士(学術)、修士(教育学・保健学)。管理栄養士。大阪市立大学生活科学部食品栄養科学科卒業、大阪大学医学系研究科保健学専攻修士課程修了、シドニー大学教育・社会福祉学部修士課程修了。大阪市立大学生活科学研究科特任助教、助教、講師を経て現職。専門分野は栄養教育、健康教育、学校栄養。特に思春期~青年期の栄養教育を専門としている。
※所属は掲載当時