自分の感性でおもしろさを見出す習慣を
普段から「何でもおもしろがる」ことを大切にしています。仕事中や通勤時間、生活や娯楽の時間など、日常のさまざまな場面でおもしろさを見出す習慣をつけると良いのではないかと、私は考えています。
私は都市・地域研究や観光を専門としていますが、例えば旅先で観光するにしても、ただ「楽しいな」と思って終わりではなく、「なぜ私はここをおもしろいと思うんだろう」「ここと似たような場所はあるだろうか」など、掘り下げて考えたり調べてみたりすると、視野が広がるきっかけになります。この習慣は楽しいときだけでなく、仕事や生活の中で「しんどいな」と感じる事態に直面したときにも有効です。「なぜ私はしんどいと思うんだろう」「このしんどさを克服するために、こう考えてみたらどうか」とおもしろがるような視点で客観的に捉えてみると、置かれている状況に対する自己解釈を変えることができ、ストレスを軽減することもできるのではないでしょうか。
私の「何でもおもしろがろうとする」習慣は、小さい頃からずっと変わりません。学校帰りにいつもと違う道を通ってみる。休みの日には川の源流がどうなっているのかを確認するために自転車で探検する。そんなことばかりしている子どもでした。高校・大学時代には、特定の期間や区間内であれば何度でも乗り降りできる鉄道のフリーきっぷなどを利用して全国を旅していました。当時はただがむしゃらに「いろんな場所に行ってみよう」と行動していただけですが、はからずも日本各地の地理的な構造や景観、交通網が自分の実体験として頭の中に入っていることが、現在の教育・研究活動にも実利として結びついているとは思います。
今はECサイトや動画配信サービスが次々と「あなたへのおすすめ」を表示してくる時代です。でもだからこそ、そういったシステムに頼らずに、自分の感性でおもしろさを見出していくことが大切ではないでしょうか。ときには、パソコンやスマートフォンから離れて数日過ごしてみる。ガイドブックなどで前提知識を入れずに、知らない町を運任せで旅してみる。そんなふうに「情報デトックス」の時間を作ると、何か新たな発見につながるかもしれません。まずは1時間でも、デジタルデバイスを置いて1人になり、自分と対話する時間を持ってみてはいかがでしょうか。
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文学研究科 文化構想学専攻 准教授
文学研究科 文化構想学専攻 准教授
博士(社会学)。中央大学文学部社会学科卒業、中央大学大学院文学研究科社会学専攻博士前期・後期課程修了。静岡英和学院大学専任講師、東京国際大学准教授、大阪市立大学准教授を経て現職。専門は観光学・都市社会文化論。特に、都市における観光、現代の観光スタイル、メディアと観光行動の関係などを、社会学・文化論的な視点から解読する研究を中心に行っている。
※所属は掲載当時