微分幾何学セミナー(2009年度)

大阪市立大学数学研究所(OCAMI) での事業の一環として、(幾何解析、トポロジー、代数幾何、数理物理、可積分系、情報数理などにも関わる広い意味の)微分幾何学のセミナーを推進します。

連絡先 大仁田 義裕
加藤 信
〒558-8585
大阪府大阪市住吉区杉本3丁目3番138号
大阪市立大学 大学院理学研究科 数物系専攻
TEL 06-6605-2617(大仁田)
06-6605-2616(加藤)
E-mail ohnita@sci.osaka-cu.ac.jp
shinkato@sci.osaka-cu.ac.jp

 

年度別一覧

日時 3月31日(水) 13:30~15:00
講演者(所属) 黒須 早苗(東京理科大学理学部)
タイトル 多重調和写像とtt*構造
場所 数学講究室(3040)
アブストラクト 本講演の内容は筑波大学の守屋克洋氏との共同研究に基く。 tt* 束は可積分系、特異点論、多重調和写像等と深い関連を持ちC.Hertling, V.Cortes, L.Schafer らによりこれらの角度から研究が進められている。 特にある 種の(擬) リーマン対称空間への多重調和写像と計量tt*との関係についてはL. Schafer により研究が行われている。
また,2次元球面への調和写像は平均曲率一定曲面のガウス写像となることから、計量tt*束の構造と関連している。また,平均曲率一定曲面には四元数的ベクトル束の理論を用いてtt*束を構成することができる。
ここでは上の構成の拡張として、クリフォード代数の性質を用いたn次元球面への多重調和写像からtt*束を構成する方法を紹介する。

 

日時 3月31日(水) 10:40~12:10
講演者(所属) 中條 大介(九州大学大学院数理学研究院)
タイトル 不定値非固有アファイン球面の表現公式
場所 数学講究室(3040)
アブストラクト アファイン微分幾何学における重要な対象である非固有アファイン球面の表現公式については古くから研究が続けられてきたが,近年さらに発展してきている.本講演では,パラ正則関数を用いた,アファイン計量が不定値である 2次元アファイン球面の新たな表現公式の構成を行い,さらにその周辺の話題について紹介したい.

 

日時 3月18日(木) 14:40~16:10
講演者(所属) 藤井 忍(広島大学大学院理学研究科数学専攻 D3)
タイトル 球面内の等径超曲面と運動量写像について
場所 数学講究室(3040)
アブストラクト 球面内の等径超曲面とは、球面上の等径関数のレベル集合として定義される超曲面のことである. 本講演では、4つの主曲率を持つ, 球面内の等径超曲面を定義する等径関数の一部が、階数2の既約古典型Hermite対称 空間の等方表現の運動量写像から構成できることを説明する.  また、階数2の既約例外型Hermite対称空間の等方表現から得られる等径超曲面と運動量写像の関係についての現時点での研究結果を報告する.

 

日時 3月2日(火) 16:30~18:00
講演者(所属) 澁谷 一博(広島大学)
タイトル 微分式系の特異性
場所 数学講究室(3040)
アブストラクト 微分式系の理論の中で微分方程式は正準微分式系付きのJet空間の部分多様体として捉えられ、解は独立条件付の積分多様体として現れるが,制御理論などに関連して特異的な解(独立条件付の積分多様体として現れる 解)が重要なことがわかって来た. それに伴いJet空間も特異性を含む形に拡張する研究が行われている.  常微分方程式の場合は自然な形で拡張されるが,偏微分方程式の場合さまざまな障害がある. これに対し講演者による ひとつのアプローチを紹介したい.

 

日時 3月2日(火) 14:40~16:10
講演者(所属) 野田 尚廣(名古屋大学)
タイトル 微分式系によるType-changing equationの幾何学的研究
場所 数学講究室(3040)
アブストラクト Type-changing equationは、二階の偏微分方程式の中で特別なクラスに属し、とても興味深い。本講演では、この方程式系を微分式系の理論を用いて、体系的に研究して得られた結果について話したい。本講演の内容は、 広島大学の渋谷一博氏との共同研究によるものである。

 

日時 2月18日(木) 16:20~17:50
講演者(所属) Prof. Sigmundur.Gudmundsson(Lund University, SWEDEN)
タイトル Harmonic morphisms from Lie groups and symmetric spaces (2nd lecture)
場所 数学講究室(3040)
アブストラクト We will discuss the existence problem for harmonic morphisms between Riemannian manifolds. In particular we shall focus our attention on recent results on complex-valued harmonic morphisms from Lie groups and symmetric space.

 

日時 2月18日(木) 10:40~12:10
講演者(所属) Prof. Sigmundur.Gudmundsson(Lund University, SWEDEN)
タイトル Harmonic morphisms, complex analysis and how to generalize it. (1st lecture)
場所 数学講究室(3040)
アブストラクト It is a well-known result in classical complex analysis that every holomorphic or anti-holomorphic function is harmonic and conformal. It is easy to see that they also pull back harmonic real-valued functions to harmonic functions. This last property actually characterizes the holomorphic and anti-holomorphic functions in the complex plane. Harmonic morphisms are maps (M,g) -> (N,h) between Riemannian manifolds which pull back harmonic functions to harmonic functions. They have many properties similar to those of holomorphic functions which they generalize. We will give a general introduction to the theory of harmonic morphisms.

 

日時 2月10日(水) 10:40~12:10
講演者(所属) 川上 裕(九州大学・大学院数理学研究院)
タイトル 大阪市立大学微分幾何セミナー特別レクチャー ガウス写像の値分布の波面の幾何への応用について(1)
場所 数学講究室(3040)
アブストラクト 近年,「波面」と呼ばれるある種の特異点を許容する曲面のクラスの大域的性質の研究が注目されています。特に,3次元双曲型空間の平坦波面は複素解析的手法が応用でき,そのことから非常に興味深い性質を導くことが できます。本講演では,特に完備平坦波面の双曲的ガウス写像の値分布の結果をご紹介したいと思います。

 

日時 2月10日(水) 14:40~16:10
講演者(所属) 栗原大武(東北大学・大学院理学研究科)
タイトル 対称空間上のデザインについて
場所 数学講究室(3040)
アブストラクト デザイン理論は元々有限集合上のブロックデザインと呼ばれる部分集合の族の組合せ論的研究から始まり、Delsarte-Goethals-Seidel(1977)によって球面上でのデザインの定義が与えられブロックデザインの場合とほぼ同様の理論 がなりたつことが示された。現在はさらにコンパクトな対称空間上でのデザイン理論について多くの研究がなされている。ここでコンパクトな対称空間上の有限部分集合がデザインであるとはある特定のクラスに属する対称空間上の任意 の関数に対してその部分集合上での値の平均とコンパクトな対称空間上の値の平均が一致するときである。このデザインの概念は気象学など実生活の中でも登場していて、デザイン理論は様々な数学の分野とも関わりがある。
本講演では主にコンパクトな対称空間上のデザイン理論のうちデザインの存在性や点の個数に関する下界にまつわる話題を具体的な例を与えながら紹介していきたいと思う。

 

日時 12月15日(火) 16:30~18:00
講演者(所属) Professor Ian M. Anderson(Utah State University)
タイトル Group invariant solutions and symmetric criticality
場所 数学講究室(3040)
アブストラクト pdf file

 

日時 11月18日(水) 14:40~16:10
講演者(所属) 安井 幸則(大阪市立大学理学研究科、物理)
タイトル 高次元ブラックホールの幾何学とコンパクトEinstein多様体
場所 数学講究室(3040)
アブストラクト 本講演では高次元ブラックホール計量を解析接続することにより,非等質なコンパクトEinstein多様体が組織的に構成できることを述べる. 実際, Page計量はこのような方法を使って導出されたものである. Pageは,4次元Kerr-de Sitter計量と呼ばれるブラックホール計量から, Lorentz計量をRiemann計量に解析接続する方法と, ある種の極限操作を組み合わせてEinstein計量を誘導した. 橋本-阪口-安井は,Pageの方法を5次元に拡張して, 5次元 Kerr-de Sitter計量からS2上のS3束に無限個の非等質なEinstein計量を構成した. ここでは,共形キリング・矢野テンソルを持つブラックホール計量の分類を行うことにより, 上記の研究に対して統一的な見方を提供するとともに, 新しいEinstein多様体の組織的な構成を行う.

 

日時 11月11日(水) 14:40~16:10
講演者(所属) 野田知宣(大阪歯科大学)
タイトル 双対平坦空間と正準構造と運動量写像
場所 数学講究室(3040)
アブストラクト Type-changing equationは、二階の偏微分方程式の中で特別なクラスに属し、とても興味深い。本講演では、この方程式系を微分式系の理論を用いて、体系的に研究して得られた結果について話したい。本講演の内容は、 広島大学の渋谷一博氏との共同研究によるものである。

 

日時 10月21日(水) 14:40~16:10
講演者(所属) 坊向 伸隆(大阪市立大学数学研究所)
タイトル アフィン対称空間内の鏡映部分多様体 II
場所 数学講究室(3040)
アブストラクト この講演は、阪市大(2006年9月)での学会講演の続編になります。上記鏡映部分多様体の研究について、その後の進展をお話したいと思っています。

 

日時 10月14日(水) 14:40~16:10
講演者(所属) 大仁田 義裕(大阪市立大学)
タイトル 等質等径超曲面のガウス像のハミルトン安定性について II
場所 数学講究室(3040)
アブストラクト この講演は、2008年7月16日の大阪市立大学数学研究所 微分幾何学セミナーの私の講演のPartIIです。この講演では、 コンパクト階数2エルミート対称空間である複素2次超曲面内のラグランジュ部分多様体に関する Hui Ma副教授(北京,清華大学)との共同研究の進展を報告するつもりです。単位標準球面内の任意の閉等径超曲面に対して、そのガウス写像の像は、複素2次超 曲面内に埋め込まれたコンパクト極小ラグランジュ部分 多様体になります。我々は、標準球面内の等質等径超曲面のガウス像として得られる複素2次超曲面内の すべてのコンパクト極小ラグランジュ部分多様体のハミルトン安定性を決定しました。

 

日時 10月7日(水) 14:40~16:10
講演者(所属) 中田文憲(東京工業大学・大学院理工学研究科)
タイトル 波動方程式と LeBrun-Mason 対応
場所 数学講究室(3040)
アブストラクト 近年 LeBrun と Mason によって, 正則円板を用いた新しいタイプのツイスター理論が開発され、発展している. LeBrun-Mason 理論にはいくつかのヴァージョンがあるが, そのうちのひとつは自己双対 Zollfrei 共形構造に関するもの である. ここで, 多様体上の不定値計量(または不定値共形構造)は null 測地線が全て閉となるとき Zollfrei であると呼ばれる.  一方 Tod と鎌田博行氏は独立に, 不定値自己双対計量の具体例を構成している. 本講演では, Tod-鎌田の計量は Zollfrei であり, その LeBrun-Mason ツイスター空間が具体的に得られるという結果について解説する. ツイスター空間との対応は Radon 変換のある一般化を用いて与えられるが, 副産物として 三次元 de Sitter 空間上の波動方程式・モノポール方程式の解の積分表示が得られる. (論文 arXiv:0907.0928)

 

日時 7月29日(水) 14:40~16:10
講演者(所属) 小磯深幸(奈良女子大学理学部,JSTさきがけ)
タイトル 境界をもつ「小さい」平均曲率一定曲面の一意性
場所 数学講究室(3040)
アブストラクト C を 3 次元ユークリッド空間内の単純閉曲線で,半径 R の閉球に含まれるものとし,H を,絶対値が 1/R より小さい数とする.H が零でないときには,C で張られる平均曲率一定 H の曲面( CMC-H 曲面)が少なくとも 2 つ存在し, これらのうちの 1 つは上述の閉球に含まれる.
本講演では,「あまり大きくない」CMC-H 曲面が一意的であるための,C に対するある sharp な十分条件を紹介する.系として,極小曲面の一意性についての Rado の定理「 C が平面内の凸閉曲線に 1 対 1 に直交射影される ならば,C で張られる極小曲面は一意的である」が得られる.

 

日時 7月5日(水) 14:40~16:10
講演者(所属) 坊向伸隆(大阪市立大学数学研究所)
タイトル 擬エルミート対称空間とパラエルミート対称空間の関係について
場所 数学講究室(3040)
アブストラクト この講演内容は野田知宣氏(大阪歯科大)との共同研究に基づいている.我々の主張は, 次の(I)と(II)である:
(I) 任意の単純擬エルミート対称空間 G/R と G/R 内のラグランジュ鏡映部分多様体は, 単純パラエルミート対称空間を引き起こす.
(II) 任意の単純パラエルミート対称空間は, 単純擬エルミート対称空間 G'/R'と G'/R'内のラグランジュ鏡映部分多様体から引き起こされる.
これは, 単純アフィン対称空間のクラス内でのケーラー or 擬ケーラー多様体とパラケーラー多様体の対応関係である.

 

日時 6月10日(木) 14:40~16:10
講演者(所属) 吉田尚彦(明治大学・大学院理工学研究科)
タイトル Acyclic polarizations and localization of Riemann-Roch numbers
場所 数学講究室(3040)
アブストラクト 前量子化可能な閉シンプレクティック多様体に対して,前量子化束に係数を持つ spin^c Dirac 作用素の指数を Riemann-Roch 数と呼びます.
前量子化可能な閉シンプレクティック多様体が Lagrange ファイバー束の構造を持つ場合,Andersen は,Riemann-Roch 数が Bohr-Sommerfeld ファイバーと呼ばれる離散的に現れる特別なファイバーの個数と一致することを 示しました.
特異ファイバーを許容する Lagrange ファイバー束の場合にも,Bohr-Sommerfeld ファイバーの定義を特異ファイバーにも自然に拡張すると,Riemann-Roch 数が Bohr-Sommerfeld ファイバーの個数と一致することが,トーリック 多様体の運動量写像,ユニタリー群の Gelfand-Cetlin 系や,Riemann 面上の平坦 SU(2) 束のモジュライ上の Goldman による Hamilton 系など,いくつかの具体例で,双方を別々に計算し比較することにより,確かめられて います.
本講演では,この現象に関して,spin^c Dirac 作用素の指数に対するWitten 流の局所化を用いることによって,Riemann-Roch 数が非特異 Bohr-Sommerfeld ファイバー及び特異ファイバーに局所化することを示します.
(古田幹雄氏(東大数理),藤田玄氏(学習院大学)との共同研究. 論文:arXiv:0804.3258)

 

日時 4月16日(水) 14:40~16:10
講演者(所属) Pablo Mira Carrillo (Universidad Politecnica de Cartagena, SPAIN)
タイトル CMC surfaces in homogeneous 3-manifolds
場所 数学講究室(3040)
アブストラクト It is a natural question to consider CMC surfaces in other ambient spaces than Euclidean space. Thanks to the holomorphicity of the Abresch-Rosenberg differential (closely related to the Hopf differential), the study of CMC surfaces in the simply-connected Riemannian homogeneous 3-manifolds (or, rather, the eight Thurston geometries) becomes accessible. This is the topic of this talk.