東レ株式会社
全事業を横断して活躍する化学工学者のニーズは大きい
当社は先端材料で世界ナンバーワンを目指す素材メーカーです。有機合成化学、高分子化学、バイオテクノロジー、ナノテクノロジーの4つのコア技術を使って、地球環境の課題・問題を解決することを経営の中心においています。新しい発見・発明を社会的価値につなげるために、化学工学の役割は非常に大きいです。
2008年、化学工学を中心としたケミカルプロセス技術部を発足させました。これまではケミカル中心の技術部でしたが、ポリマーも融合し、防災環境も含めて、全事業にかかわるプロセスを手掛けています。例えば、研究の初期段階から生産性を検証したり、長年に渡る生産プロセスを改良したり、コストダウンや省エネにも貢献しており、社内での認知度が向上するとともに着実に業務拡大しています。また、新入社員を3年ほど当部で化学工学を教育して、各事業部門へ送り出しています。
入社後、化学工学を学ぶこともできますが、大学でしっかり基礎を学んでいると違いがあります。研究している所だけを見ているだけでは生産はできませんが、コストや環境面を含め、全体像を考えることができるようになるんです。ここが非常に大事なんです。大学では基礎をしっかりと学んでほしいですね。
衣料品や自動車、航空機など各クライアントとの共同開発も進めており、これからどんどん新しい技術の領域が出てきます。関わる部署や人も多い中で、化学工学の出身者は総合的なプロデューサーとして活躍しています。新しい製品を産み出していくことが醍醐味であり、役割としても一番求められています。
東レ株式会社
ケミカルプロセス技術部 部長 上席化学工学技士
磯部 和史さん
製品化につなげる化学工学の視点が重要
私は入社して研究に配属され、2012年2月に味の素株式会社と共同研究を始めた“バイオベースナイロン”の研究に携わり、現在は膜利用発酵プロセスのスケールアップ実証をしています。
入社当時から化学工学出身ということで、コスト試算など重要な部分も任されてきました。“バイオベースナイロン”を作る分子を発見することができたのも、化学工学ならではの視点が活きていたと思います。
博士後期課程へ入学したのは、膜利用発酵バイオプロセスの有効性について論文を発表し、他社にも使ってもらいたいという目的もあります。
化学工学は、モノづくりに最も役立つ、化学の基礎と工業化を結びつける重要な学問です。
新しく世に役立つモノを作りたいという人には必要ですし、学ぶべきだと思います。
先端融合研究所 研究員 耳塚 孝さん
大阪府立大学 工学部 化学工学科 1998年3月卒業
大阪府立大学大学院 工学研究科 物質・化学系専攻 化学工学分野
博士前期課程 2000年3月修了/
博士後期課程 2014年9月修了