計算化学工学グループ

計算化学工学グループのオリジナルサイトへ

手法: 計算工学 × 対象: 複雑集合体


研究ビジョン

・計算工学をコア技術として複雑集合体が示す現象・特性を理解・予測・制御する

・複雑集合体が関わるものづくりの課題解決に貢献する

当研究室の研究対象は、分子集合体(例えば分子膜)から固体粒子集合体(粉体)までの幅広いスケールの集合体です。これらの集合体は複雑なふるまいを示すことが知られており、我々はこれを「複雑集合体」と呼んでいます。多くのものづくりには複雑集合体が関わっているため、そのふるまいを予測して意のままに操ることが求められていますが、それを可能にする学術基礎は未だ完成していません。そのため、ものづくりの現場は、複雑集合体が引き起こす様々なトラブルに悩まされています。

この複雑集合体を研究する手法として、当研究室では主に「計算工学」を用います。計算工学は対象とする問題を解くためにコンピュータを用いる学術であり、理論研究・実験的研究に次ぐ第3の科学的アプローチとして認識されています。複雑集合体のふるまいも、計算である程度予測できるようになっていますが、実際のものづくりで起こる複雑集合体のふるまいは非常に複雑であり、現状の計算技術では予測できない未解明現象が山のように残されています。

当研究室では、「計算工学をコア技術として、複雑集合体が示す現象・特性を理解・予測・制御すること」、そして「複雑集合体が関わるものづくりの課題解決に貢献すること」を研究ビジョンとして、新しい「計算化学工学」を開拓しています。理論・手法開発,数値計算,計測・評価を三位一体で行う基礎学術研究と、新技術開発、実課題解決を中心とした応用研究を実施しています。 基礎と応用、デジタル空間と現実空間を幅広く横断しながら、研究に取り組んでいます。

数値シミュレーションと実験による粉体プロセスの解析

固体の粒の集合体である粉体製品を作る工程(粉体プロセス)において、装置の中で粉体がどのようにふるまい、どう変化するのかを把握することが求められています。しかし、装置内部における粉体の挙動は非常に複雑であり、実際に観測することは容易ではありません。そこで、離散要素法(DEM)をベースにした数値計算手法を駆使して、各種粉体プロセス内部における粉粒体挙動の数値シミュレーションを行っています。また、DEMと機械学習を組み合わせて、大規模・高速計算が可能な新しい計算手法の開発にも取り組んでいます。

計算だけでなく、粉体プロセスに関する実験研究も実施しています。例えば、湿潤粉体のレオロジー特性を評価し、これを造粒プロセスの設計に活用する研究を行っています。さらには、次世代電池として注目されている全固体電池に関する研究も行っており、その製造プロセスに関する研究を、粉体工学および計算科学工学の観点から行っています。

細胞膜やベシクルの分子シミュレーション

高性能な医薬品の粒子を開発するために必要な、未解明現象の解明に取り組んでいます。分子や粒子が体内の細胞膜やベシクル(分子の集合体)と、どのように相互作用するのかを分子シミュレーションで解析し、どのような分子や粒子を開発すればより高い効果が得られるのかについて研究を進めています。