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私たちの研究室では、生きた細胞をバイオ粒子と見なした「微粒子工学」的観点から、それらが関わる界面現象を理解し、医薬・食品等の製造プロセスから資源循環、環境浄化まで幅広い分野への貢献を目指して研究に取り組んでいます。バイオ粒子(細菌、真菌類、動植物細胞など)は、化学反応では困難な反応を常温・常圧で触媒できること、細胞膜や細胞壁で保護されたソフト粒子かつ中空粒子であること、特定分子の認識、特定の化学物質に対して行動を起こす走化性、光や重力に対する応答性など、機能性微粒子として興味深い特徴を兼ね備えたとてもユニークな研究対象です。
原子間力顕微鏡AFMを用いた生きた細胞に働く相互作用の直接測定
界面に付着した微生物は多くの産業においてトラブルの原因となっています。例えば、医療器具への付着による感染症、口腔内デンタルプラークによる虫歯や歯周病、雑菌混入による食品汚染、装置壁面への付着による金属腐食など枚挙にいとまがありません。厄介なのは、微生物が集合してバイオフィルムを形成すると薬剤耐性を発現して殺菌が困難になることです。一方、これらのトラブルは見方を変えれば長所にもなります。バイオリアクターで有価物を生産するには、1細胞の処理能力は極めて小さいですが、バイオフィルム化により生産速度が劇的に向上します。金属を腐食させる性質を利用すれば、低品位鉱物から金属資源を抽出できます。薬剤耐性についても、裏を返せば、微生物にとって劣悪な環境での利用を可能とます。しかし、これらトラブルの解決や微生物機能の活用は、技術者の経験や勘、微生物まかせで個々に対処しているのが現状です。私たちは、「微粒子工学」が得意とする凝集分散技術を用いたバイオ粒子挙動の人為的制御を試みています。そのために、原子間力顕微鏡AFMを用いた、生きた細胞に働く相互作用の直接計測技術の開発を行っています。
気泡を用いたノンケミカル洗浄技術の開発
界面に付着した微生物に由来するトラブルを解決する方法として、気泡を用いたノンケミカル洗浄技術について研究しています。装置内部の壁面に付着した微生物を除去するには、設備の解体工事が必要となります。また、酸・アルカリ・有機溶剤などの洗浄剤使用による環境負荷、洗浄廃液の処理コスト等も問題になります。私たちは、低コストで利用できる低環境負荷型材料であるマイクロメータサイズの気泡(マイクロバブル)に着目し、界面付着微生物を簡便かつ高効率に除去するための技術開発を行っています。
音響キャビテーションによる乳化現象
液体中に超音波を照射するとキャビテーションと呼ばれる微細気泡が膨張、収縮する現象が発生しますが、その微細気泡の運動によって高温、高圧場が発生し、ラジカルが生成することによって化学反応が進行します。これを“微粒子”と見立てた研究を行っています。この現象は超音波洗浄機で利用されていますが、音波を照射するだけで、不純物を剥離、有機物を分解、液液混合溶液を乳化させること等ができる技術です。この技術をより広く使いやすくするプロセス技術開発だけでなく、発生している現象を解明し、数理モデル化することに取り組んでいます。
シミュレーションとデータを活用したプロセス設計
化学産業にとってプロセスを安全に低コストで運用できるよう設計することは長年求められています。シミュレーションはこれを解決する一つのツールとして広く利用されてきました。シミュレーションによる現象解明、数値モデルの開発だけでなく情報学的方法論と組み合わせることでさらに高速に自動でプロセスを設計できるようになりつつあります。シミュレーションによる現象解明や数値モデル化するだけでなく、プロセス開発とシミュレーションの方法を組み合わせたプロセスインフォマティクスの方法論を開発することに取り組んでいます。
その他の研究テーマ
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