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2026年1月9日
- 活動報告
「Techno‑Ocean 2025」が開催されました。
2025年11月27〜29日に神戸国際展示場2号館などで開催された国際コンベンション「Techno‑Ocean 2025」は、海洋分野に関わる産学官の関係者が世界中から集まる節目の第20回大会でした。実行委員長を務めたのは本学工学研究科・中谷直樹教授で、同教授は「温暖化対策やカーボンニュートラルを見据え、多様な分野を横断した協力が不可欠だ」と述べ、持続可能な海洋利用に向けた連携の必要性を強調しました。
テーマは「海といきる(Coexistence with the Ocean)」で、展示会や市民向けイベント、基調講演のほかに、産学官のキーパーソンが討議するパネルセッションが設けられました。

シンポジウム:社会課題に応える6つのパネルセッション
27・28日のシンポジウムでは、「海のSDGs」を総合テーマに、気候変動対策や資源開発、人材育成など多様な課題を議論する6つのパネルセッションが行われました。
| キーワード・テーマ | 内容や本学との関わり |
|---|---|
| 海運GXの今とこれから | 脱炭素とGX(グリーン・トランスフォーメーション)に向けた海運業界の動向。政府や船社、研究者が議論しました。 |
| 持続可能な水産業のための新技術 | 養殖・漁業のDXや省力化技術を取り上げ、漁村地域の課題解決に向けた産学官連携を提案し、二瓶泰範准教授が講演しました。 |
| 海洋人材育成とリスキリング | 次世代海洋産業を担う人材育成の方策や学習プログラム、社会人の再教育について討議しました。 |
| 自律運航船と海上通信網 | 本学の橋本博公教授がコーディネーターとして登壇し、遠隔監視や自動ブレーキシステムの研究成果を紹介。自律運航船と海上通信網がもたらす海事イノベーションについて議論しました。 |
| 浮体式洋上風力発電の展望 | 日本の洋上風力発電を2040年までに45GW、うち15GWを浮体式とする目標の下、国や企業の取り組みを共有し、今後の戦略を議論しました。 |
| 日本の資源・エネルギー開発に資する 海洋ロボティクス |
SIP「海洋安全保障プラットフォームの構築」の進捗報告や、AUV(自律型無人潜水機)による海底資源探査、洋上風力発電施設の点検への活用など、ロボティクスの最前線を紹介しました。 |
特にPS4「自律運航船と海上通信網」では、橋本教授が自律運航船の遠隔監視・自動ブレーキシステムの開発を紹介し、国内外の企業や行政の研究者と共に次世代船舶の社会実装に向けた課題と展望を議論しました。これにより、大学の研究成果が産業界や行政の取り組みと直結していることをアピールする場となりました。
展示会「94団体」が出展する最新技術のショーケース
展示会には国内外の企業や研究機関を中心に 94団体が参加し、海洋再生エネルギー、船舶・舶用機器、港湾開発、海洋ロボット、水産DX、海中通信、防災や防衛など幅広い分野の製品・技術が披露されました。
大阪公立大学は海洋システム工学分野として出展し、研究グループが自律運航支援技術や海中センサー網の研究成果を展示しました。また、本学のブースでは学生が制作した水中ロボットや操船シミュレーションを体験でき、多くの来場者が足を止めました。

特別セミナーと特別展示

展示会場内のステージ「オーシャンデッキ」では、造船業界や防衛装備庁の担当者による特別セミナーも行われました。テーマには、造船業界の再編や研究開発動向、海洋天然水素の可能性などが挙げられ、海洋産業の多様な側面を学べる内容となりました。
特別展示では、潜水艇型AUV「YOUZANJ」や川崎重工業の多機能型AUV「SPICE」、日本海工株式会社の水空両用ドローン「ロボセン」、株式会社ハマの飛行艇型無人航空機など、海中から空までつながる最新ロボットが紹介されました。これらの展示は、海洋ロボティクスの将来性と産業応用の可能性を来場者に強く印象付けました。
水中ロボット競技会と学生の活躍
29日には「水中ロボット競技会」が開催され、高専や大学チームが自作のロボットで課題に挑戦しました。
実行委員会内に水中ロボット競技会委員会が設置され、本学を含む全国の教員が委員として参加しています。現場では学生同士の交流や技術情報の共有が行われ、若い研究者や技術者の育成という面でも重要なイベントとなりました。
産学官連携の意義と大阪公立大学の役割
シンポジウムや展示会を通じて浮き彫りになったのは、海洋分野の課題は単一の業種だけで解決できないという現実です。中谷実行委員長は「海洋再生可能エネルギーの開発やカーボンニュートラルな海運システムの構築には、産学官を超えた協力が不可欠である」と強調しました。Techno‑Ocean 2025は、こうした連携を生み出すプラットフォームであり、新しい共同研究や事業の種を育む場として機能しています。
大阪公立大学の海洋システム工学分野は、今回の大会で実行委員長およびパネルセッションのモデレーターを担い、自律運航船や海上通信網などの研究成果を披露しました。今後も産学官との連携を深め、海洋分野の課題解決に貢献することが求められます。本学としては、以下の点を重視して活動を継続していきます。
- 研究成果の社会実装 – 自律運航技術や海洋ロボティクスの研究を産業界・行政と共有し、社会実装を加速させる。
- 人材育成とリスキリング – 技術者だけでなく、海洋政策や経済に携わる人材も含めた学際的な教育プログラムを展開し、パネルセッションで議論されたリスキリングの重要性に応える。
- 国際的な連携ネットワーク – 国内外の大学や研究機関との共同研究や学生交流を進め、国際的な課題に対応する。
海と共に生きるためには、基礎研究から応用開発、社会実装まで一気通貫で取り組む姿勢が必要です。Techno‑Ocean 2025で得られた知見とネットワークを礎に、海洋システム工学分野はこれからも世界に向けて挑戦していきます。
参考文献