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2025年9月8日
- 活動報告
《海洋システム工学実験 発表会:構造2班》
実験テーマ:WAAMによる金属積層時における限界傾斜角の検討
8月4日(月)に学部3年生が「海洋システム工学実験」の実験成果を発表しました。構造2班では「WAAMによる金属積層時における限界傾斜角の検討」について発表を行いました。
■ 構造2班メンバー
学部3年生:松上 光瑠さん、菅原 千佳さん、西村 佳乃実さん、星川 聖さん
修士2年生:山邉 晃瑠さん、村上 浩暉さん、中村 奏瑛さん
(写真にはM2は山邊君と村上君)
■ 指導教員
生島 一樹先生、柴原 正和先生、坪郷 尚先生
■ 実験背景
船舶の部品は「削り出し」と「鋳造」という手法によって製造されています。
しかし、
- 歩留まり比の高さ(=完成するまでに、使用素材にかなり無駄が出てしまう)
- 加工時間の長さ
- 工程が煩雑で難易度が高い
- 複雑形状への対応が難しい
などの問題点があります。
そこで、WAAM(Wire Arc Additive Manufacturing:ワイヤーアーク積層造形)と呼ばれる金属積層造形を利用し、上記の問題を解決するための手法を探る実験を行いました。
■ 実験について
実験方法
- 溶接ロボットで金属を積層
- 1階層ごとにノギスで積層高さを測定
- 測定値の1mm上の高さから次の層を積む
この実験方法を用いて、「造形速度が積層高さに及ぼす影響」「造形速度が傾斜積層時の造形品質に及ぼす影響」「限界傾斜角の測定方法」について調査します。
■ 結果
実験を経て、
- 造形速度が積層高さに及ぼす影響
→単位・長さ当たりの入熱量が等しい場合、積層高さに大きな差は生じない - 造形速度が傾斜積層時の造形品質に及ぼす影響
→熱源が造形物に長時間接触し続けると熱が逃げづらく、造形物が垂れ下がってしまう - 限界傾斜角の測定方法
→トーチ速度(溶接ロボットの積層速度)400mm/minにおいて、土台から45度以上であれば積層可能
という結果を得ることができました。
■ まとめ
- 適切なトーチ速度と入熱量の組み合わせで傾斜造形が可能
- 限界傾斜角の測定方法を用いることで、寸法情報から限界傾斜角を求めることができる
大阪公立大学 海洋システム工学科では、船舶をはじめとする海洋機械や海洋構造物、先進的な素材に関する知識を、設計・製造・運用の各視点から実践的かつ体系的に深く学ぶことができます。
「海洋で使用される機械について理解を深めたい」「船舶を構成する素材について詳しく知りたい」──そんな想いや好奇心を、確かな専門力へと育む場所が海洋システム工学科です。