ドローン学際科学研究所
設置目的
離れた場所からの操作または自動操縦により飛行させる無人航空機の中でも、小型化されたMEMSセンサーと複数の回転翼を利用して高い飛行安定性を実現する小型回転翼機、いわゆるドローンが近年注目を集めている。例えば、建設分野では構造物の点検や測量など、農業分野では農薬散布や生育診断などで、ドローンの利用が拡がっている。ドローンは災害時の情報収集にも有用であり、新たな物流のツールとしても期待されている。規制の緩和により、設備点検・物流から医療・警備などへの利用拡大も見込まれている。また最近では、人権保護や安全保障の観点からドローンで収集される情報の流出防止が求められるようになり、関連機器の国産化も急務となっている。
このような「空」で情報収集や輸送を行うドローンだけではなく、「陸」と「海」の新たなドローン(無人機システム)にも期待が集まっている。例えば「陸」については、人を安全に移動させる自動運転が近年注目を集めているが、人手不足が問題となっている物流への展開も求められている。また、四方を海に囲まれた島国である日本では「海」でのドローン利用も進めるべきであろう。このように、新たな陸海空のドローンに対して、社会のニーズは高まりつつあり、本学でも、組織としてドローンの教育研究に取り組むために本研究所を設置する。本研究所では、国土交通省航空局における分類ではドローンに含まれない、空飛ぶクルマと呼ばれるような有人機も教育研究の対象に含めることにしているが、研究所の名称としては広く知られるようになった「ドローン」を用いる。
ドローン(無人航空機システム)
海のドローン(自律型海中ロボット)
ドローンなどに対する教員の興味と関心は、ドローンそのものの研究開発と、ドローンを利活用した研究に大別される。またドローンを少人数の移動に利用する、いわゆる空飛ぶクルマへの期待も高まっており、ドローンの有人化への教員の興味と関心も高まりつつある。教員同士が本研究所での活動を通じ、情報共有を進め学際科学的な観点で相互理解を深めることで、関連研究のコミュニティーが拡大し、個々の研究と共同研究においてさらなる発展と新たな展開が見込まれる。
以上のように、ドローンについては適用対象として様々なものが想定され、それぞれ多くの課題が残されている。本研究所の活動を通じ、本学がそれらの課題解決に寄与することが期待される。
図:ドローンへの取り組みとニーズ
研究内容の概要
陸海空のドローンの普及と発展のため、各教員が個々の興味と関心に沿って研究を進めながら情報共有を進め、学際科学的な観点で相互理解を深めることで相乗効果を生み出すことを目指す。
ドローンの研究開発においては、
・安定性向上 ・危険回避 ・遠隔制御 ・自動運転 ・自律運転 ・高機能化
などが現時点での課題であり、ドローンを利活用した研究においては、
・インフラ点検 ・地形計測 ・植生調査 ・物資輸送 ・防犯防災 ・関連教育
などが現時点での課題となっている。
また有人化においては、
・高信頼性 ・高度な安全性
が重要課題である。
相乗効果により安全安心なドローンを実現し、その用途を拡大するとともに高度活用も目指すことで、社会への貢献を行っていく。
研究課題と目標
センター長
瀬川 大資(工学研究科 教授)
研究員
区分 | 教授 | 准教授 | 講師 |
---|---|---|---|
工学研究科 | 有馬 正和 小木曽 望 瀬川 大資 辻井 利昭 森 浩一 |
今津 篤志 金田 さやか 小林 友明 |
|
農学研究科 | – | 中村 彰宏 | |
情報学研究科 | – | 吉田 大介 |
客員研究員
機関 | 役職 | 氏名 |
---|---|---|
大阪公立大学研究推進機構 | 客員研究員 | 梅本 敏孝 |
大阪公立大学研究推進機構 | 客員研究員 | 土井 智晴 |
大阪公立大学研究推進機構 | 客員研究員 | 早川 潔 |
大阪公立大学工学研究科 | 客員研究員 | 新井 隆景 |
株式会社Sky Drive | 取締役CTO 兼 品質保証統括室長 | 岸 信夫 |
設立年月日
2022年(令和4年)2月1日
SDGsへの貢献
大阪公立大学は研究・教育活動を通じてSDGs17(持続可能な開発目標)の達成に貢献をしています。
本研究センターはSDGs17のうち、「9:産業と技術革新の基盤をつくろう」に貢献しています。
お問い合わせ
工学研究科 教授 瀬川 大資