教育福祉研究センター
設置目的
人口減少・少子高齢化に伴う生活変容によって、様々な社会生活上の問題が現れている。現在日本では、少子社会での子育て・教育をめぐる困難さに対応を迫られる一方で、要介護高齢者を支える地域包括ケアシステムの構築も課題とされている。格差が強まる社会の中で、貧困・生活困窮問題が深刻さを増し、社会保障制度の抜本的な見直しが求められる。格差の拡大は、引きこもりの問題など、心身の健康や人の生涯にわたる成長にも重大な影響を与えている。障がいのある人々、外国人、女性というマイノリティをはじめとして、多くの人々が生きづらさを抱え、社会的に孤立して生活している状況もある。生活の基盤となるべき社会の安全・安心への関心は高まっているが、地域社会自体が弱体化しており、大阪府もその例外ではない。
このような状況は、日本に限った問題ではない。OECD(経済協力開発機構)は子どもの貧困等格差の是正に、経済的な効果を認め様々な事業を展開している。また、ユネスコも貧困や人権などの問題を解決する担い手の育成を目指して持続可能な開発のための教育(ESD)や多文化理解を推進しようとしている。
このような国際的な動向をも踏まえれば、次のような課題に取り組むことが求められている。ひとつは、人口減少・少子高齢化に伴う生活変容によって顕在化している様々な生活問題を解決する研究である。そしてもうひとつが、持続可能な社会づくりの担い手を育成することである。そのためには総合的かつ分野横断的な研究、開発が必要となる。こうした研究や教育を進めるために教育福祉研究センターを設置する。
研究内容の概要
教育福祉研究センターで取り組むことは、現代の問題を解決して人々のウェルビーイングを実現し、持続可能な社会をつくるための教育福祉的アプローチの研究、開発である。
教育福祉的アプローチとは、(1)教育や福祉が有している人間や社会のあり方に関する価値を基礎にして、(2)人間と社会に対する包括的な視野を持ち、領域横断的な方法を用いて、(3)人間の尊厳を持った生活を実現する福祉的支援と人間としての発達と学習を保証する教育的支援を行い、(4)その相乗的な効果によって問題の解決を行うアプローチである。
連携・協働や支援・エンパワメントを基調に置き、分野横断型の研究グループを組織し、新たな問題解決方法を研究する。
- 教育および福祉の専門分野で、地域社会のシンクタンクとして地域と連携し課題解決の研究にあたる。
- 持続可能な社会づくりに関わる人材を育成するため、教員および福祉専門職に対するリカレント教育の推進に取り組む。
- 教育および福祉の専門分野で、国内外の共同研究を推進し、成果を社会に還元するとともに若手研究者の育成に努める。
構成員
所長
伊藤 嘉余子 (現代システム科学研究科 教授)
研究員
区分 | 教授 | 准教授 |
---|---|---|
現代システム科学研究科 |
伊藤 嘉余子 |
木曽 陽子 嵯峨 嘉子 東根 ちよ 松田 博幸 三田 優子 吉田 直哉 吉原 雅昭 |
設立年月日
平成27年(2015年)4月1日
SDGsへの貢献
大阪公立大学は研究・教育活動を通じてSDGs17(持続可能な開発目標)の達成に貢献をしています。
本研究センターはSDGs17のうち、「3:すべての人に健康と福祉を」、「4:質の高い教育をみんなに」に貢献しています。
お問い合わせ
現代システム科学研究科 教授 伊藤 嘉余子
Tel 072-254-9796Eメール itokayo[at]omu.ac.jp[at]の部分を@と変えてください。