マイクロリアクターシステム研究所
設置目的
有機合成化学はその最終ゴールとして人類・社会に役立つ医薬品、電子材料などの機能性有機物質の製造に直結しているプラクティカルな学問研究分野である。実験室で開発された優れた研究成果はプロセス化学者の手を経てスケールアップがなされ、やがて化学工場での生産にいたる。20世紀の物質製造はこのような一連の段階を経るのが常であった。一方、自然界では細胞での光合成にみられるように微細空間が有機物質製造の場でありエネルギー効率も格段に良い。物質製造の「巨大化」信仰から決別し、21世紀にふさわしい有機合成ひいては物質製造のあり方を模索するため、本研究所では有機合成と数十から数百ミクロンの微細空間を反応場とするマイクロリアクター反応技術との重複領域に焦点を当てる。また、マイクロリアクター・マイクロ流体技術にもとづくマイクロ分析化学においては医学・生命科学への応用が強く期待されている。本研究所は合成化学から分析化学まで当該分野で世界を先導している本学内の高度な知的資源に基盤を置き、学外の研究機関・産業界との連携を容易とするオープンな体制により、マイクロリアクター研究における大阪の南の知を情報発信源とする研究を先導する。
研究内容の概要
マイクロリアクターによる数十から数百ミクロンの微細空間において合成反応を行えばエネルギー効率に優れた迅速にして高効率な反応過程が期待できる。さらに、連続フロー系技術を組み合わせれば物質製造に適合可能となる。さらに確かなマイクロ送液技術と共に極微量のサンプルで迅速な分析を可能とするマイクロ分析チップの開発は工業分野から医療分野に至るまで幅広い応用が期待される分野である。本研究所では合成から分析までマイクロリアクター研究のための最も適切なモデル系の設定とともにマイクロリアクター技術のシステム化や集積化を中心とし、以下の4点の研究内容に取り組む。
- マイクロリアクターに適合する環境調和型反応モデルの探求
- マイクロリアクターに適合する光化学反応モデルの探求
- マイクロ分析チップ構築技術と分析への応用
- 南大阪地域でのマイクロ拠点化構想の立案
マイクロリアクターシステム研究所シンポジウム
回 | 開催日時 | テーマ | 担当 | 開催場所 |
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9回 |
2016年12月20日 | 連続生産維新、フローの覚醒 |
齊藤 隆夫 |
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花王におけるフロー化学の事例 |
中井 武史 |
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8回 | 2015年9月10日 | マイクロリアクターの光酸素酸化反応への活用 |
伊藤彰近 |
詳細 |
7回 | 2014年10月15日 | 時間を空間で制御する合成化学 | 吉田潤一 (京都大学) |
詳細 |
6回 | 2014年7月17日 | Intensification of NMP and ATRP polymer syntheses by microreaction technologies |
Christophe A.SERRA |
詳細 |
5回 | 2014年5月29日 | スラグ流形成マイクロリアクターを利用する光酸素酸化反応の研究 |
伊藤彰近 |
詳細 |
4回 | 2014年2月10日 | 時空間制御されたマイクロ空間内での超分子化学 |
沼田宗典 |
詳細 |
3回 | 2012年5月8日 | Advanced Concepts for Catalysis in Synthesis and Flow Chemistry |
Thomas Wirth |
詳細 |
2回 | 2010年11月11日 | Improving Synthetic Efficiency Using Microwave-Assisted, Continuous Flow Organic Synthesis |
Michael G. Organ |
詳細 |
1回 |
2010年7月29日 |
Green Photochemistry – From the Large-Scale Synthesis of Commodity Chemicals with Sunlight to Microphotochemistry |
Michael Oelgemöller |
詳細 |
誘電泳動によるマイクロ粒子操作法を応用した高感度、迅速、簡便な免疫測定 |
安川智之 |
構成員
所長
福山 高英 (理学研究科 教授)
研究員
区分 | 教授 | 准教授 | 特任教授 |
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工学研究科 |
池田 浩 |
– |
– |
農学研究科 | 谷森 紳治 |
園田 素啓 |
– |
理学研究科 |
松原 浩 | – | – |
研究推進機構 |
– | – | 柳 日馨 |
設立年月日
平成20年(2008年)7月1日
SDGsへの貢献
大阪公立大学は研究・教育活動を通じてSDGs17(持続可能な開発目標)の達成に貢献をしています。
本研究センターはSDGs17のうち、「7:エネルギーをみんなに そしてクリーンに」、「9:産業と技術革新の基盤をつくろう」に貢献しています。
お問い合わせ
工学研究科 教授 武藤 明徳
Tel 072-254-7495 Tel 5733(内線)
Eメール amuto[at]omu.ac.jp
[at]の部分を@と変えてください。