女子STEAM人材育成研究所

設置目的

 我が国の研究者に占める女性の割合は17.5 % 1)に留まる。この背景には、大学理系学部の女子学生比率の低さがある。本研究所は、進路選択を考える時期の女子中高生に対して、理系分野の幅広さ、奥深さ、楽しさを伝え、多様な進路選択を促す取り組みを行うこと、ひいてはSTEAM分野(STEAMは、Science, Technology, Engineering, Art, Mathematicsを表す)の理系女性の育成とダイバーシティ推進を目的とする。
 女子中高生に実験・実習の楽しさを体感させたり、身近なロールモデルとの対話の機会を設ける他、身近な大人である保護者・中高教員の理解を促進する活動も行う。
 1)総務省、2021年(令和3年)科学技術研究調査

STEAM設置目的図_女子STEAM人材育成研究所の設置目的

研究内容の概要

 理系分野の拡がり、分野融合は、近年ますます進み、STEAM(S=Science, T=Technology, E=Engineering, A=Art, M=Mathematics)教育は、国を挙げて取り組む重要課題であるが、現在、STEAM分野の女性比率が日本では低いものとなっている1)。しかしながら、国際的な学力調査の結果、日本の女子中高生の理数能力は高く、性差はほとんどみられない2)。女子生徒が理系進路選択を躊躇する要因の一つとして、ロールモデルが身近に居ないため、将来像を描きにくいことが考えられる。
 2)OECD, PISA(Programme for International Student Assessment)2018年 
  
IEA(国際教育到達度評価学会), TIMSS(Trends in International Mathematics and Science Study)2019

 大阪公立大学の前身にあたる大阪府立大学は2010年より、大阪市立大学は2016年より、「女子中高生のための関西科学塾」3)に参画してきた。参加者の半分近くが文理選択に悩む層であるが、関西科学塾への参加を経て、8割が理系分野を実際に選択している。女子学生の理系進路として、国家資格を取得する医歯薬系の選択が多く見られてきたが、関西科学塾卒業生の理系進路の6割は理工系に進んでいる。関西科学塾で多様な理系分野を知ったことが、多様な進路選択につながったと考えている。

本研究所は、こうした背景を踏まえ、女子中高生に対して、理系分野の面白さ、奥深さを知る機会を提供し、様々なロールモデルを示すことで、理系進路選択を促す活動をする。この取り組みは、大学理系学部における男女比を均衡化し、理系分野におけるダイバーシティ実現に波及してゆくことが期待される。また、女子中高生の進路選択に影響を及ぼす、中高教員や保護者への働きかけも行う。
 3) http://www.kansai-kj.org/

 本研究所では、女子STEAM人材育成のために、以下の取り組みを行う。

[1] 「女子中高生のための関西科学塾」の実施・運営

関西国公立大学の連携事業として、2022年で17年目を迎えた活動で、大阪府立大学・大阪市立大学ともに、一般社団法人関西科学塾コンソーシアムの正会員として、事業に参画してきた。大阪公立大学としても引き続き、正会員として入会し、毎年の実験講座の実施、5年毎の幹事校としての活動を行う。広く理系分野を体感させるため、全学体制を継続する。(大阪府立大学の2010年からの取り組みは、2020年学長表彰(社会貢献部門)を受けた。)他大学との連携、5年周期の幹事校担当について長期的な視野を持ちながら、各年度の行事を運営する。
実験講座の実施では、状況が許せば、中高生に同伴する保護者や中高教員の見学や、同伴者対象プログラムを実施する。 

[2]教育委員会と連携した活動

(1)理科教員研修

大阪府立大学では、堺市教育センターと連携し、2016年から堺市中学理科教員研修で女子学生TAと共に、女子中学生の理系進路選択に関するミニ講座を実施してきた。このような教員に対する取り組みを大阪公立大学でも継続して実施する。

(2)学校理科展覧会

堺市教育センターと連携し、2016年から堺市学校理科展覧会に、科学実験ブースを出展し、女子学生が演示実験を行ってきた。男女を問わず未就学児童・小学生・中学生およびその保護者を対象とする、裾野拡大行事である。女子学生が生き生きと実験する姿を見てもらうことはジェンダーギャップ解消につながってゆく。

[3]その他、目的を達成するための活動

高校訪問などの機会を利用して、女子学生の理系進路選択について情報提供を行う。

STEAM内容図_女子STEAM人材育成研究所の取り組み内容


センター長

細越 裕子(理学研究科 教授)

研究員

区分 教授 准教授 講師 助教 特任教授
理学研究科 後藤 慎介
廣野 哲朗
細越 裕子
恩田 真紀
菅 徹
工学研究科 森澤 和子 安齋 太陽 高井 飛鳥
農学研究科 中澤 昌美
研究推進機構 益田 晴恵
公立大学高専 中谷 敬子

設立年月日

2022年(令和4年)8月1日

SDGsへの貢献

グループ 21

大阪公立大学は研究・教育活動を通じてSDGs17(持続可能な開発目標)の達成に貢献をしています。

本研究センターはSDGs17のうち、「8:働きがいも経済成長も」、「12:つくる責任 つかう責任」に貢献しています。

お問い合わせ

理学研究科 教授 細越 裕子

Tel 072-254-9699 Tel 4053(内線)
Eメール yhoso[at]omu.ac.jp
[at]の部分を@と変えてください。