臨床心理学分野の特徴

1. 個別指導、少人数教育

臨床心理士有資格者専任教員5名が少人数の修士大学院生に指導にあたるので、個別論文指導、個別スーパーヴィジョン(以下SVと表記)が充実しています。

2. 充実した実習

学内実習としては、大学付属の心理臨床センターで、様々な問題、年齢の来談者に対して、カウンセリングや心理検査を担当します(院生一人あたりの事例担当機会は十分にあり修了までに幅広い臨床経験を積むことができます)。学外実習としては、医療・福祉・教育の実習施設にて、継続した実習を行います。例えば、精神科病院でのデイケア・グループワーク補助スタッフ、小児科クリニックでの陪席及びプレイセラピー、総合病院精神科での陪席及び心理検査、家庭児童相談室での母子グループスタッフ、児童養護施設での生活支援、府立高校での教育相談、適応指導教室での支援スタッフなどがあります。

学内実習、学外実習ともに、学内教員による個別SVを毎週実施し活動の充実を図っています。

3. イメージを用いた心理療法

専任指導教員がみな深層心理学的アプローチを主に臨床活動を行っているため、無意識からの産物であるイメージやファンタジーに注目した臨床実践・教育が行われています。夢、箱庭、描画などの創作、語りをイメージとして聴く、といったことが重視されています。

4. 修了後の進路

修了後、臨床心理士、公認心理師受験者の合格率は限りなく100%に近くなっています。就職先の例としては、精神科病院や心療内科の心理士、小児科や整形外科の心理士、児童養護施設や各自治体の心理士、NPO法人就労支援施設の心理カウンセラー、企業のメンタルヘルスに関わる心理士、各自治体の教育センターの心理カウンセラー、小・中・高校のスクールカウンセラー、大学学生相談室心理カウンセラー、臨床心理士養成大学院の教員などがあります。

5. 修士論文タイトルの一例

「お笑い芸人になること」についての臨床心理学的考察/自然にひらかれる体験についての臨床心理学的考察/反抗期を通した親子の関係性の変遷の物語について/「ぬいぐるみと寄り添って生きること」についての臨床心理学的考察/他でもない自分であるという感覚が揺らぐ体験の様相/「母親として生きること」についての臨床心理学的考察/思春期における異界体験に関する臨床心理学的考察‐アニメ『電脳コイル』を通してみる現代の異界/不登校の生徒から受ける影響についての臨床心理学的研究/絵本体験を介した子どもとの関係性の変化についての臨床心理学的考察/慢性蕁麻疹患者が症状を通して語る人生の臨床心理学的考察

 

個別指導、少人数教育

充実した実習

フィンガーペインティング

 

修了生の言葉

  • 院生時代は、めちゃくちゃしんどかった。でも臨床心理士としてやっていく覚悟を決める2年間だった。人の深いところに触れる覚悟を自分が持てるかという問いだった。
  • テクニックではなく、心理臨床家としての姿勢を植えつけられた。働いていてブレずにいられる。他の心理士を見ていると自分は幸運だったと思う。
  • 個別SVで学ぶのは、先生の存在感。教わりました、ではなく身体で受けた。今も臨床現場で「先生だったら、こうやって聴くんだろうなあ」とよぎる。困った時に頼りました。
  • 学外実習はめちゃくちゃしんどくて、めちゃくちゃ良かった。病院でも学校でも自由度が高くて、いろんなことが起きて、それをSVだったり仲間と話す場があり、鍛えられた。学生を信じていなければ、あんな自由な実習はできない。自由だからこそ、自分の強みも弱みも発見できた。
  • 先生方は、無意識を仮定した心理学という共通言語で話していた。トラブルを悪いものと考えていない、ネガティブなことに意味がある、という空気を吸っていた。働いていて、無力感に耐えられる、言葉にならないこと、言葉以外のコミュニケーションを信じられる、症状にとらわれない、人と向き合う時にどっしりいられるようになっている。