院生・修了生の声 vol.2

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川口 周一郎 さん

2024年度 博士前期課程修了

 

1. この研究科に進学した動機を教えてください。

学部1年生の頃から漠然と大学院進学を希望していましたが、卒論での研究を通して、大学院でさらに研究したいとの思いが強くなりました。また、大学院で研究したいテーマを学部での指導教員の先生がまさに専門的に研究しておられたこと、そしてなじみのあるなかもずキャンパスに再び通いたいとの思いから現代システム科学研究科へ進学しました。現代システム科学域と同じく、自身の専攻分野によらず、分野横断的な視点を身につけることのできるカリキュラムも魅力的でした。

 

2. 研究の内容を教えてください。

自身の時間や金銭などのコストをかけて他者に利益を与える利他行動、とりわけ、その質に注目した効果的利他主義という考え方について研究を行いました。例えば、利他行動の1つに寄付がありますが、同じ額の寄付をしても、その使い方によってより受け手の利益につながる場合とそうでない場合があります。効果的利他主義はより多くの利益を受け手にもたらす質の高い寄付、すなわち効果的な寄付行動を促そうとするものです。
大学院では、そもそも人がどのような心理的メカニズムに基づいて寄付の効果を認識しているのかを、寄付対象への共感との関係に着目して検証しました。その結果、共感に基づいてその寄付の効果が判断され、最終的に寄付意欲に影響を及ぼしている可能性が示唆されました。

 

3. 現代システム科学研究科に進学してよかったと思える点について教えてください。 

私の所属した認知行動科学分野では学生の数が少人数ということもあり、先生方との距離が近い点が挙げられます。先生方は親身に研究の相談にのってくださったり、学会発表をはじめとした学外での発表、論文投稿などの研究活動についても積極的に後押ししてくださいます。また、他分野の先生方や院生との交流機会もありますので、分野横断的な視点で自身の研究内容について捉え直すことができた点も挙げられます。

 

4. ご自身の研究が社会にとってどのような意味をもつのか、またご自身の研究から広がる可能性について教えてください。

これまで多くの研究で、人は寄付の効果について無関心であることが指摘されています。自身の研究は、このように見過ごされがちな利他行動の質という着眼点と、その価値や可能性を社会に共有するものであると考えます。
今回の結果から得られたこととして、高い共感が高い寄付効果の認識と寄付意欲に結びつくのであれば、人々に効果的な寄付を促すためにはその寄付対象や内容への共感を育むような施策や介入が必要であることが示唆されます。例えば動物の保全活動においても、外見的魅力やなじみはないものの生態系を構成する重要な種に対しても共感が集まり、それにより高い効果の認識と寄付意欲に結びつけば、その種は保全が進み、生物多様性の喪失を防ぐことにもつながるはずです。このように、実際の社会的実践や政策立案等に今回の知見を応用できる可能性も考えられます。

 

5. この研究科に進学しようとする学生に対して何かメッセージがあれば教えてください。

現代システム科学研究科では、研究活動に思う存分打ち込める環境が整っています。そのような充実した研究環境の中で、持続可能な社会の実現と自身の研究の関係性を念頭に置きながら、自身の専攻分野に捉われない幅広い学びを得てください。