院生・修了生の声/オン ユン ウェイ さん

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オン ユン ウェイ さん

2024年度 博士前期課程修了

 

1. この研究科に進学した動機を教えてください。

学部は本学ではなく、外部の大学で公認心理師を目指し、臨床心理学を中心に学んでいました。しかし、認知心理学の授業を通して人の認知の仕組みに強い関心を持つようになり、特に自分の思考や行動を客観的に把握する「メタ認知」に興味を抱きました。こうした関心をより深く探究したいと考え、大学院への進学を決意しました。
進学先を検討する中で、さまざまな実証的研究手法を用いて認知に関する研究を行っている本研究科に魅力を感じました。また、メタ認知や学習に関する研究をされている岡本先生の研究室で専門的に学びたいと考え、本研究科を志望しました。
入学後は、充実した研究設備のもとで学ぶことができ、さらに自分では思いつかなかった多様な実験手法や視点について指導を受けることができました。その結果、研究の面白さを実感しながら、充実した大学院生活を送ることができました。

 

2. 研究の内容を教えてください。

数学不安とワーキングメモリが、問題解決にどのような影響を与えるのかについて研究を行いました。数学不安は数学を学習することに対する不安であり、一時的に情報を処理するワーキングメモリに影響を与える可能性が指摘されています。また、メタ認知は自分の考えを客観的に捉え、適切に調整する力であり、問題解決において重要な役割を果たします。
実験では、言語的な情報や視空間的な情報を扱うワーキングメモリに負荷をかけた状態で、計算課題やメタ認知を用いる判断課題に取り組んでもらいました。その結果、ワーキングメモリに負荷がかかると課題の成績が低下しやすく、特に数学に不安を感じやすい人ほどその影響が大きくなることが分かりました。
これらの結果から、問題解決や判断には、知識や能力だけでなく、ストレスや不安といった心理的要因も大きく関わっていることが示されました。

 

3. 現代システム科学研究科に進学してよかったと思える点について教えてください。 

認知行動科学分野は研究領域が幅広く、さまざまな分野の院生と交流できる点に魅力を感じました。異なる視点から意見をもらうことで、新しい気づきや学びを得ることができ、自分の研究の幅を広げることにつながりました。また、研究方法についても多くの助言をいただき、試行錯誤しながら理解を深めることができました。
さらに、先生方や院生同士の雰囲気がとても温かく、学部時代に実験研究の経験が少なかった私でも安心して質問することができました。特に不安を感じていた統計についても、先生方に気軽に相談でき、丁寧に教えていただけたことで理解を深めることができました。周囲の支えのおかげで、安心して研究に取り組める環境だったと感じています。

 

4. ご自身の研究が社会にとってどのような意味をもつのか、またご自身の研究から広がる可能性について教えてください。

数学不安は、多くの人にとって数学の学習の大きな障壁となっています。数学不安が問題解決に影響を与えたことから、学習においては知識や能力だけでなく、不安などの心理的要因も大きく関わることが示されました。その背景にある仕組みを理解することは、不安の軽減や学習支援につながると考えられます。
特に、教育者がメタ認知に着目することで、学習者が自分の理解度を認識し、自身で調整できるようになる可能性があります。これにより、「なぜ間違えたのか」や「どこが分からないのか」に気づきやすくなり、学習への不安を和らげ、自信を持って取り組めるようになると期待されます。
こうした知見は、教育現場での指導方法の改善や学習支援の工夫に活かされる可能性があります。将来的には、より多くの人が数学への苦手意識を克服し、前向きに学べる環境づくりに役立つと考えています。

 

5. この研究科に進学しようとする学生に対して何かメッセージがあれば教えてください。

大学院でしか味わえない楽しさがいっぱいあります。自分の興味のある分野について深く探索できる点が大きな魅力です。試行錯誤しながら進めていく経験は、とても貴重な学びにつながります。
研究では思い通りにいかないことも多いですが、失敗を恐れずにさまざまな方法を試してみてください。うまくいかなくても、その過程で必ず得られるものがあります。また、悩んだときは一人で抱え込まず、周囲の先生や院生、異なる分野の人と積極的に交流することをおすすめします。新しい視点やヒントを得ることができます。
最後に、実験系の研究を行う方は、早めに参加者募集を始めることが大切です。想像以上に難しいことも多いため、余裕を持って進めることをおすすめします。これは身をもって学んだアドバイスです。