院生・修了生の声 vol.1

岡崎 優衣 さん
2023年度 博士前期課程修了
2024年度 博士後期課程入学
1. この研究科に進学した動機を教えてください。
中高と女子校に通ったからかもしれませんが、大学を卒業するまで、ジェンダー不平等を実感せずに過ごしました。しかし、会社員として働き始めて、若い社員にはむしろ女性のほうが多いのに、管理職以上になると男性ばかりになることや、社内結婚をしたばあいに、男性はそのままで女性の側が退職や異動をしている様子をみて、疑問に思うことが増えてきました。また、同時期に、中高生のころに読んでいた少年マンガを読み返して、昔は平気だった描写(スカートをめくる、女風呂をのぞくなど)を受け付けなくなっていることに気がつきました。このような経験から、当時は「名称を聞いたことがある」程度の認識だった、ジェンダーやフェミニズムに興味をもち始めました。そこで、このようなテーマでの大学院進学を検討することにしました。まずは入門書で勉強を開始し、その著者から本学の先生に辿り着き、公立大への進学を決めました。学部ではジェンダーやフェミニズムについては全く勉強していなかったので、まずは研究生として受け入れていただき、学部の授業も聴講させてもらいました。
2. 研究の内容を教えてください。
少年マンガとフェミニズムという観点から出発し、現在は、女性の登場人物が暴力をふるう表象について研究しています。社会において一般に、「男性は強くて、女性はか弱い」「男性は暴力的で、女性は平和的」「男性が暴力をふるう側で、女性は暴力をふるわれる側」と考えられています。そして、少年マンガは(とくに昔は)男性作家が、男性編集者とともに、男性読者へ向けてつくるものです。このような社会において、なおかつ男性中心主義的な少年マンガにおいて、女性が暴力をふるう描写(そして男性に勝利する描写)はしばしば見受けられます。一見すると矛盾しているように思えるこれらの描写が成立するのはなぜなのか。これらの描写は、なにを意図しているのか。このような問いのもと、研究を進めています。
3. 現代システム科学研究科に進学してよかったと思える点について教えてください。
一点目は、ジェンダー系の授業が充実していることです。政治哲学や性科学、家族社会学などが専門の各教員による授業があり、さまざまな分野からジェンダーやフェミニズムを学ことができました。また、ジェンダー系の教員・院生が一堂に会するジェンダーゼミがあり、自分の研究について定期的に意見をいただくことができました。他の院生の研究もとても興味深く、発表を聞くのが楽しいです。
二点目は、女性学研究センターがあることです。とくにウーマンリブ期などの古い資料を閲覧することができて有難いです。また、定期的に講演会があり(外部の方も参加できます)、さまざまな研究者の方の話を聞くことができます。
三点目は、指導の柔軟性です。指導教員のほかに、副指導教員がおり、双方から指導を受けることができます。わたしのばあいは、指導教員は厳密にはジェンダー系の教員ではないため、ジェンダーゼミへの参加や副指導教員の授業を受けることで、フェミニズムの勉強を続けています。
4. ご自身の研究が社会にとってどのような意味をもつのか、またご自身の研究から広がる可能性について教えてください。
表象は、社会からの影響を受けるものでもありますし、社会に影響を与えるものでもあります。そういった意味で社会に関わるものといえます。女が暴力をふるう描写については、結局は性的搾取につながる男性のファンタジーだという意見もあれば、それでも女はただ耐え忍ぶだけじゃないと示す点で意味があるという意見もあります。わたし自身の立場は、これから具体的な分析をとおして、明らかにしていきたいと考えています。
また、わたしの研究は、現実のスポーツや格闘技にもつながるものです。スポーツにおける男女の線引きは、まさに今苛烈に議論がおこなわれています。格闘技も未だ男性的なスポーツと考えられ続けています。あるいは、フェミニズムのなかの攻撃的な抗議運動や、女性兵士の問題にも接続することができます。「女性と暴力」が一見矛盾してみえるという点から、あらゆる方向に研究を進展することが可能だと考えています。
5. この研究科に進学しようとする学生に対して何かメッセージがあれば教えてください。
女性学研究センターにはORGEL(オルゲル)という学生組織もあります。興味があったらぜひホームページをのぞいてみてください。