院生・修了生の声/陳 宇軒 さん

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陳 宇軒 さん

2025年度 博士前期課程修了

 

1. この研究科に進学した動機を教えてください。

進学した動機は、外国語学習における学習者の心理や動機づけに関心を持ち、それを学際的な視点から深く探究したいと考えたためです。学部時代の学びを通して、言語学習は単なる知識の習得ではなく、学習者の態度や価値観、社会的背景と密接に関わっていることに関心を持つようになりました。特に、日本語学習者がどのような理由で学習を継続し、どのような要因が意欲に影響を与えるのかを明らかにしたいと考えるようになりました。
現代システム科学研究科は、言語文化だけでなく、心理学や教育学など多様な分野の知見を統合しながら研究を進めることができる点に魅力を感じました。また、学際的な環境の中で学生と交流し、自分の研究を多角的に捉えたいと考えたことも大きな理由です。
さらに、指導教員の専門分野や研究内容に強い関心を持ち、その指導のもとで自身の研究テーマを発展させたいと考え、現代システム科学研究科への進学を志望しました。

 

2. 研究の内容を教えてください。

外国語学習においては、学習者がその言語や文化に対して抱く関心や態度が、学習意欲に大きく影響すると考えられています。こうした背景のもと、日本語学習においても、日本への関心や交流意欲を含む「日本志向性」が重要な要因として注目されています。
一方、中国における日本語学習者は、歴史的・政治的背景や教育制度の影響を受け、日本に対して多様で複雑な態度を持っています。特に第二外国語として学ぶ学生は、必ずしも高い関心や明確な目的を持って学習を始めているとは限らず、その態度形成や動機づけとの関係は十分に明らかにされていません。
そこで本研究では、日本文化や製品への関心と、日本事情への関心が異文化交流意欲や学習動機づけにどのように影響するのかという問いのもと、第二外国語として日本語を学ぶ中国人大学生を対象に質問紙調査を行い、その関係を検討しました。

 

3. 現代システム科学研究科に進学してよかったと思える点について教えてください。 

まず、学際的な視点から自分の研究を深めることができる環境にあります。現代システム科学研究科では、言語や文化に限らず、社会・心理など多様な分野の知見に触れることができ、自分の研究テーマをより広い視野で捉え直す機会が多くあります。その中で、自分の専門を相対化し、新たな視点を取り入れることができたことは大きな収穫でした。
また、指導教員からの丁寧な指導に加え、ゼミや発表の場を通じて他の院生と議論を重ねることで、研究の質を高めることができました。異なる背景を持つ院生との交流は、自分にはなかった考え方に気づくきっかけとなり、研究の発展にもつながりました。
さらに、自主性が重視される環境であるため、自ら課題を設定し、計画的に研究を進める力を養うことができた点も、大きな意義があると感じています。

 

4. ご自身の研究が社会にとってどのような意味をもつのか、またご自身の研究から広がる可能性について教えてください。

本研究の社会的意義は、中国人日本語学習者における「日本志向性」と学習動機づけの関連を実証的に明らかにすることで、第二言語教育における動機づけ研究の理論的深化と教育実践への示唆を提供する点にあります。特に、第二外国語として日本語を学ぶ学習者に焦点を当てることで、従来の専攻学習者中心の研究では十分に捉えられてこなかった多様な学習者層の実態を明らかにし、学習者の態度と動機づけの関係をより精緻に理解することに寄与します。
また、日本志向性の各側面(日本製品・日本事情・異文化交流・接近意欲)が内発的・外発的動機づけに及ぼす影響を検討することにより、自己決定理論に基づく動機づけ研究に対して、文化的・社会的文脈を踏まえた新たな知見を提供する点にも意義があります。とりわけ、中国特有の歴史的・政治的背景が学習者の態度と動機づけに与える影響を考慮することで、既存理論の適用可能性と限界を再検討する契機となります。

 

5. この研究科に進学しようとする学生に対して何かメッセージがあれば教えてください。

自分の関心や問題意識を大切にしながら、主体的に学びを深めていく姿勢を持ってほしいと思います。大学院での研究は、与えられた課題をこなすだけではなく、自ら問いを立て、その問いに向き合い続ける過程です。その中で、文献を丁寧に読み、データに基づいて考察する力が求められますが、それと同時に、自分の視点を持ち続けることも重要です。
また、本研究科では多様な背景を持つ学生や専門分野が集まっているため、他者との議論や交流を通じて新たな気づきを得る機会が多くあります。自分とは異なる視点に触れることで、研究をより深く、多角的に捉えることができるようになります。
研究は決して楽な道ではありませんが、その分、自分の関心を深く追究できる貴重な時間でもあります。試行錯誤を重ねながら、自分なりの研究を築いていく経験は、将来にわたって大きな財産になると思います。