研究科長/学部長挨拶

ご挨拶

経済学部の人材育成目標は、
アクティブ・グローバル・エコノミストです

中島 義裕 経済学研究科長・学部長

中島 義裕 経済学研究科長・学部長

 

10年ほど前に大手予備校が全国の約1000の学部、学科で行われているアクティブラーニングを調査した本を出版していますが、その優良3事例の一つが、この経済学部のものでした。アクティブラーニングというのは、学生たちが自ら調査し考察する中で学んでいくという手法ですが、これは、大学教育で最も重要な「課題発見・解決能力」を身につけるために必要不可欠な教育です。

 学生に対してよく「10年後、20年後にどんな仕事をしていると思いますか?」という質問をします。AIやバイオテクノロジーの進展などを考えると、誰も未来を正確に予想できません。しかし、どのような未来が訪れても、どのような立場や職業に就いても、この経済学部を卒業したみなさんは、社会の最前線で「課題発見・解決」を行っているはずです。

学生に社会課題を見つけてきてもらうと、例えば「若年層の非正規雇用問題」などを提出する学生がいます。発表では、「年々、非正規雇用が増えている」というデータを示し、次に「非正規雇用は収入が低い、安定しない」という事実を示す資料を紹介し、最後に「企業と政府が協力して正規雇用を増やすべきだ」という解決策を提案します。これは、どこかで聞いたことがあるような課題と解決ですね。

日本には「社会人」という言葉があります。これにはアルバイトやフリーターは含まれません。新卒時に正社員になれなければ社会の一員になれないという恐怖心を学生みんなが共有しているわけです。ですから、「非正規雇用が増えている」と言うだけで、「それは問題だ」と多くが納得し、解決策と言えば、「正社員を増やす」しかありえないわけです。どこかで聞いた話ではありますが、確かに学生が自分で考え、導き出した課題と解決なのです。

しかし、さらに深く考えてもらうためにはどうすれば良いのでしょうか?経済学部のグローバル教育は、この問いに対する答えを探す中で生まれたものです。

例えば、この問題を海外の学生と共に考えてみるとどうなるでしょうか。「日本では若年層の非正規雇用が増えている」というデータを見せても、彼らにとって何が問題なのかは明確には理解できません。海外の学生にその問題を理解してもらうためには、それぞれの国の状況と日本の状況を比較しながら説明する必要があります。そのような比較研究を進める中で、「ジョブ型雇用、メンバーシップ型雇用」や「同一労働・同一賃金」などの概念や現状を理解し、海外では夫婦共に週3.5日働いている国が存在し、そうした国では少子化問題が大きく緩和されていることを発見します。海外の学生と一緒に考えることで、雇用問題から少子化問題の解決という新たな視点の発見に繋がることもあります。
良く「グローバル人材」などと言われますが、私たちは卒業後に国際機関やグローバル企業に就職し、世界中を股にかけて活躍する人々の育成だけを目指しているわけではありません。卒業後に海外で働く、または海外の人と共に働く機会がない人こそ、大学でしかそうした学びを経験することができません。私たちは、グローバルな視野で課題発見・解決ができる人材を育成するための教育を実施していきます。