佐野 めぐみさん

9年間で身につけた論理的思考力を活用し、
充実の研究ライフを送っています

佐野 めぐみさん

大阪市立大学大学院 理学研究科 後期博士課程修了 博士号取得(理学)広島大学学術院(先進理工系科学研究科) 准教授

研究と教育の両立は難しいけど、充実の日々

研究と教育ができる大学教員を目指して、大学院卒業後はポスドク(日本学術振興会特別研究員PD)として東京工業大学に在籍していました。2019年4月から広島大学大学院工学研究科(現在は先進理工系科学研究科)のテニュア・トラック※准教授として着任し、研究と教育を行っています。

佐野さんインタビューシーン

大学院専門科目や工学部生に数学科目を教えていますが、もともとは高校の数学教員を目指していたこともあり、授業にやりがいを感じています。私の専門は解析学という学問分野になり、臨界型関数不等式の最良定数に付随する変分問題を中心に研究をしています。難しい用語で分かりにくいと思いますが、変分問題とは、汎関数の極値(最小値等)を与える関数を求める問題で、高校数学で習う関数の極値を求める問題を、関数空間上で考えたものです。身のまわりには変分問題がたくさんあります。例えばシャボン玉が丸いのは、体積一定のもと表面積(汎関数)を一番小さくするのが球面(最小値を与える関数)だからです。滑らかさと特異性という二つの尺度で関数を測る関数空間をソボレフ空間と言いますが、この二つの尺度がつり合った状態(臨界)はまだ分かっていないことが色々とあり、研究しがいがあります。研究と教育の両立はまだまだ難しいですが、9年間の大学生活で身につけた論理的思考力と問題解決能力を大いに活用しながら充実した研究ライフを送っています。

佐野さん教壇シーン

小学生の頃は算数が大の苦手でした

そんな数学漬けの毎日ですが、小学生の頃は算数が大の苦手で、繰り上がりのたし算がすんなり解けないような子でした。それが中学校の数学になると、それまでの算数とは異なり、いかにはやく解けるかではなく、ものの仕組みを考えるような学びが楽しくて、どんどん数学が好きになりました。高校のクラスメートに数学を教えるうちに高校の数学教員を目指すようになり、教員免許(数学)が取得できる大阪市立大学理学部数学科を志望しました。結局は大学教員(研究者)の道を選びましが、当時、授業料が私立大学に比べ半額以下だったことも志望理由のひとつです。

数学は世界共通言語!英語が得意でなくても通じ合える

大学院時代は学部生に比べて授業が少なく、より自分の研究に集中することができました。学外の研究集会やセミナーに参加する機会も多く、台湾、スウェーデン、イタリア、スペインなど、さまざまな国で世界最先端の研究者や同世代の方々と知り合うことができ、とても刺激的でした。正直、英語は得意ではなかったですが、数学は世界共通言語!数学を通じて海外の研究者と交流し、色々な人の考え方や価値観を知ることができて視野も広がりました。後期博士課程学生に対しては手厚い支援制度もあり、学費相当分の奨学金を支給していただけたので、学費を稼ぐためのアルバイトはせずに、研究に時間を割けて大変助かりました。新大学でもぜひ継続していただけると嬉しいです。

佐野さん対談シーン

佐野さんと賞状

少人数教育と数学研究所で研究環境は整っています!

数学科の魅力は、少人数教育で先生との距離が近く、質問や相談を気軽にしやすいところだと思います。また数理科学の国際研究教育拠点である数学研究所(OCAMI)もあるので、研究環境もとても良いです。学年ごとに部屋が確保されていて広々と研究できるなど、設備面でも非常に充実しているので、数学の研究者や数学の教員を目指す人にはおすすめします。

佐野さんインタビューシーン2

広島大学大学院先進理工系科学研究科ってこんなところ

先進理工系科学研究科は、広島大学のミッションである「持続可能な発展を導く科学」を実践する世界的な教育研究拠点となるための大学改革の中で、2020年(令和2年)4月に誕生した新教育研究組織です。広島大学の理工系分野を融合させた本研究科は、高度な専門性をもちながら異分野に対する深い理解力を身につけ、激動する社会の課題解決に貢献できる有為な理工系人材を育成することを目的としており、その斬新な試みには地元広島をはじめ世界各所が注目・期待しているところです。

引用元:広島大学大学院先進理工系科学研究科,“研究科長挨拶”, https://www.hiroshima-u.ac.jp/adse/message,(参照2021年12月27日).