地球学科

豊富なフィールドワークで地球の真実に迫る

研究対象は“地球”。地質や地層、化石、鉱物などを手掛かりに、46億年に及ぶ地球の歴史やさまざまな事象を解き明かそうとする地球学。多様なフィールドワークと、緻密な実験やデータ解析を有機的に結びつけた研究の成果は、環境やエネルギー問題など地球の未来に関わる課題の解決や、地震や津波、地すべりなど自然現象の解明などにも寄与することを目指しています。

2021年度大学院博士後期課程修了の林尚輝さんに、地球学のリアルな世界について伺いました。

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歴史好きから、地質研究の道へ

 元々は、ゲームやマンガの影響で戦国時代などの歴史が好きだったのですが、本などを読むうちに、縄文時代、石器時代とどんどん時代を遡っていき、ついに興味の対象が地質時代に。大学受験のときには、迷わず地球学科を選んでいました。

 地球学は、地球の誕生から現在までの地殻変動や火山活動といった自然現象や、地層や化石、鉱物などを研究し、未来を予測するための知識や技術を構築する学問です。研究手法も、岩石や鉱物の分類・分析から、情報処理、地層調査や船上観測といったフィールドワークまでさまざまで、地球に関することであれば、物理、化学、生物など、自分の好きな切り口からアプローチできる点が魅力です。

植物の宝石“プラントオパール”で、古代の植生を解析

 私が所属する第四紀自然学研究室では、人類が地上に現れて以降の地質に焦点を当て、自然環境の変遷や、人間の営みが自然にどのような影響を与えてきたか、フィールドワークをもとに研究しています。

 学部の卒業研究で取り組んだのは、兵庫県神鍋地域の黒ボク土の分析です。名前の通り、黒くホクホクした土で、プラントオパールと呼ばれる植物の細胞化石や、微細な炭が多く含まれています。プラントオパールは、植物の種類ごとに形が違い、ガラス質で半永久的に腐食しないので、土中に含まれるプラントオパールを分析することで、その土地の植生史を知ることができます。炭は火入れの跡と考えられ、約1万年前の縄文時代から人間が野焼きなど、積極的に自然に関与してイネなどの植物を育ててきたことが分かりました。大学院に進んでからは、鹿児島県南部の大隅半島でフィールドワークを行い、約7000年前に起きた巨大カルデラ噴火によって植生がどう変わったかを復元。いずれの研究も、日本植生史学会の優秀発表賞を受賞しました。

 次は、琵琶湖の湖底の堆積物や地形の分析から、周辺の植生の変遷を解き明かしていきたいと考えています。

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疲れたときは馬に会ってパワー回復

 学部時代は、馬術部に所属していました。“人馬一体”といわれるように、馬術でもっとも大切なのは馬との信頼関係です。毎日世話をし、調教する中で、技だけでなく多くのことを学びました。今も研究で疲れたときなどは厩舎を訪れ、馬たちからパワーをもらっています。

 将来は、プラントオパール分析の技術と実績をさらに積み、研究者の道をめざしたいと考えています。また、新しい大学には農学部ができるので、農学や土壌学の観点から古代の土壌についても学び、植生史についての知識も深めたいですね。大学入学から10年目になりますが、興味の対象は尽きません。

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地球学科を目指す受験生へ一言

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 地球学科が設置されたのは大阪公立大学の前身の1つである大阪市立大学が初めてで、現在でも地球学を学べる学部・学科は多くありません。一方、都市計画や防災計画、天然資源開発、最近注目されている地球環境開発など、地球科学の専門知識や技術が求められる分野はますます広がっています。

 高校の授業や入試で地学を選択していなくても、基礎から学べるカリキュラムが組まれているので大丈夫。高校物理、化学、生物の知識も十分に役立ちます。そして野外で断層断層などを測定したり、地質図を作成したり、実験・実習やフィールドワークが多く、実践的な技術力も身につけられます。興味があれば他学部・学科の専門分野の授業を受けられるのも総合大学の強みです。