壽山 美季さん

物理探査の知識や、技術士補の資格など4年間の学びのすべてを活かせる職場です

壽山 美季さん

大阪市立大学 理学部 地球学科 応用地質株式会社 勤務

社会に貢献できる仕事に意義を感じます

2021年4月に応用地質株式会社に入社し、物理探査技術を用いた探査業務を行っています。物理探査とは、地下空間を掘削したり、建物を建てたりするときに、目では直接見ることのできない地下の状態を、物理的な手法を用いて非破壊で可視化する技術の総称です。利用する物理現象によって、弾性波(地震波)探査、電磁探査、電気探査、磁気探査などさまざまな種類があり、求めたい結果により探査手法や使用する機器も異なります。
現在は、表面波探査による浅部の地下構造の把握や、地中レーダー探査による路面下空洞の探査を主に担当しています。路面下空洞は、水道管など地下インフラの破損や老朽化、土砂の流出、振動などによって発生し、突然の道路陥没を引き起こす原因となることも多いため、陥没事故の未然防止や被害の拡大抑止など、社会に貢献できる仕事に大きな意義を感じています。最近は、担当する機器を自分がメインで操作・測定できるようになりましたが、取得したデータを正確に読み解くには、地球物理学や地質学、地盤工学など幅広い専門知識が必要です。先輩方のように経験値や技術力を上げ、データの解析力を高めていきたいと思います。

壽山さん物理探査シーン

壽山さん正面写真

壽山さん会議シーン

大学での学びが希望通りの就職につながりました

大学では、都市地盤構造学研究室に所属し、卒論テーマは電磁探査法を用いた断層の構造評価に取り組みました。今の仕事と手法は異なりますが、物理探査を学んだことで就活での企業選びの幅が広がり、希望通りの就職につながりました。また、地球学科ならではの豊富なフィールドワークの経験は、野外での作業に大変役立っています。先日も、大規模な盛り土に変状がないかを調査する仕事があり、地質調査の実習でクリノメーター(傾斜計)を使って山の斜面の傾斜を計測したことを懐かしく思い出したところです。

壽山さんフィールドワークシーン

JABEE認定カリキュラムで「技術士補」の資格を取得

大阪市立大学は、他大学との学びの交流も多く、例えば神戸大学の海洋底探査に参加させていただき、探査船で採取した泥の中に含まれている生物や微生物を調べる実習などは、とても貴重な体験でした。また地球学科では、専門科目の履修を通じてJABEE((社)日本技術者教育認定機構)認定のカリキュラムを修了すると、「技術士補」の資格を取得できます。技術士は、物理探査ではぜひ取得しておきたい資格で、その第一ステップとなる技術士補資格を卒業後すぐに取得できたことは、大きなアドバンテージになると感じました。新大学になっても、この制度はぜひ継続してほしいと思います。

多彩な実験器材が揃った、充実の研究環境です

地球学科ではさまざまな実験・実習を体験できます。その分、実験器材や設備も多彩に揃っており、自分がやりたい研究に思う存分取り組める環境が整っています。また、研究室の雰囲気もよく、データ観測などで人手が必要なときは互いにサポートし合うなど、学生同士のチームワークも抜群です。 もともとは物理が好きだったものの、目に見えない原子や素粒子より、目の前の自然を相手にする方が自分には向いているかなと、漠然とした興味で選んだ地球学科でしたが、物理の知識を生かせる分野を見つけることができ、充実した学生生活を送ることができました。私のように地学を選択していなくても大丈夫。自然や地球に興味がある人は、ぜひ選択肢のひとつにしてみてください。

壽山さん指揮シーン

応用地質株式会社ってこんなところ

応用地質株式会社は、国内最大手の地質調査会社です。
“地球のお医者さん”として、地質学、地球物理学、土質力学、土木工学、水理学、環境工学、生態学など、地球科学全般についての幅広い専門知識と、最先端の技術を駆使して、大地や地下水の性質、自然現象や災害現象実態などの実態や特性を調べ、私たちの身の回りのインフラ・メンテナンス、防災、環境保全、自然・エネルギーなどさまざまな課題に関わるソリューションを提供しています。日本の国土開発や国土保全はもちろんのこと、例えば乾燥地の緑化への技術提供や途上国への支援など、国際的な問題にも積極的に取り組み、地球規模でのジオコンサルタントとして活躍しています。