前田 有紀さん

社会で役立つ、論理的な思考力とプレゼン力が身につきました

前田 有紀さん

大阪市立大学大学院 理学研究科 生物地球系専攻 生体低分子機能学研究室(現在の分子微生物学研究室)
小林製薬株式会社

企画から開発まで、業務の幅広さが楽しい

小林製薬株式会社で、トイレの芳香・洗浄剤「ブルーレット」の研究・開発を行っています。年間売り上げでギネス世界記録に認定されたトイレケアの最大ブランドですが、誕生から半世紀以上経つ現在も、日本人のライフスタイルやトイレの変化に柔軟に対応しながら、効能や形態、香りなど多彩な進化を続けています。私の所属は研究部門ですが、当社ではマーケティング担当者・中身を設計する研究担当者・量産化を担当する技術開発者の3者がチームで連携して製品づくりに当たるため、企画から開発、量産化まで、幅広い業務を担当できてとても楽しいです。
企画では、お客さまの“あったらいいな“を求めて、さまざまなアイデアを社内プレゼンするのですが、100の提案のうち1つ採用されれば良い方、すべて不採用ということも少なくありません。それだけに、自分が関わった製品がカタチになったときの嬉しさはひとしおです。今後もお客さまに毎日”暮らしに快を“お届けできるよう、提案力を高めていきたいと思っています。

動物行動学から、菌の研究に大きく方向転換

子どもの頃から生き物の生態に興味があり、大学選びでは、関西で動物行動学を学べる大阪市立大学理学部と早くから決めていました。ですが、微生物の講義で、脳を持たない単細胞の菌や微生物が、まるで全体でひとつの多細胞生物のようにコミュニケーションをとりながら集団行動をしているということを知り、菌についてもっと学びたいと思い、生体低分子機能学研究室を選びました。

菌が増殖する際には、すべての菌が均一に増えているわけではなく、何割かは眠っている菌がいることで、抗生物質によっても生き残ることができます。つまり、集団の中でなぜ眠っている菌ができるのかが分かれば、効率よく菌を死滅させることができるのです。研究では、大腸菌を用いてその仕組みの解明に取り組み、後期博士課程まで進みました。本当に研究漬けの大学院生活でしたが、仮説通りのデータが出た時の達成感は今も忘れられません。

ゼミや学会での発表を通じて、自分自身が成長できます

大腸菌の研究で培った専門知識や技術は、トイレケア製品の開発という現在の仕事に大いに生かされています。が、それ以上に役立っているのは、大学時代に身につけた物事を論理的に考える力や、研究を組み立てる力、そして自分の考えを正確に伝える力です。社内で新しい企画を通すためには、自分の技術やアイデアを、専門知識のない人にも分かりやすく説明し、納得してもらう必要があります。大学には、ゼミでの研究成果報告や学内外での論文発表など、発表することで自分自身が成長できる機会が豊富にあります。どういう情報をいかに伝えるか、ストーリーの組み立てから資料の準備まで、貴重な経験を重ねて鍛えたプレゼン力は、社会人として何の仕事をしても役立つ武器になると思います。

学生の数だけ興味の入り口があります

植物や動物の生態などマクロの領域から、遺伝子や微生物などミクロの領域まで、幅広く学べることが生物学科の特長です。興味の入り口は学生の数だけあり、私のような方向転換が可能な自由さも大きな魅力です。やりたいことがある人は、先生も職員の方も全力でサポートしてくれるアットホームな学科なので、早く自分の興味あるテーマを見つけて、とことん研究に打ち込んでください。2大学が統合することでさらに研究の幅が広がり、より充実した研究環境や互いに刺激しあえる活発な交流が生まれることを期待しています。

小林製薬株式会社ってこんなところ

小林製薬株式会社は、「“あったらいいな”をカタチにする」というスローガンのもと、医薬品だけにとどまらずオーラルケア・スキンケア・栄養補助食品・芳香消臭剤といった幅広い領域において、世の中にない新しい製品を提供し続けています。常にお客さまの立場に立って、お客さまが困っていること、お客さま自身も気づいていない潜在的なニーズ(あったらいいな)を発見。それを解決するアイデアをスピーディにカタチにし、本当に効果を実感でき、満足していただける製品としてお届けしています。国内のみならず、海外においても各国・各地域に根差したモノづくりにこだわり、世界中の人と社会に素晴らしい「快」の提供を目指しています。