院生・修了生の声/宮下 晴凪 さん

宮下 晴凪 さん
2025年度 博士前期課程修了
1. この研究科に進学した動機を教えてください。
大学進学時から希望していた研究室に配属されたことが大きな理由です。大学進学前から、大学で学んだことを活かした仕事に就きたいと漠然と考えており、研究室で研究・プロジェクトに取り組むうちにその想いが強くなりました。
私が所属していた景観計画学研究室では、社会実験への参加や地域再生に関わる活動など、実際の地域と関わる機会が多くありました。研究室内外のプロジェクトへの参加を通じて、実際のまちづくりの進め方や、多様な立場の人と協働しながら課題解決を行うプロセスを実践的に学ぶことができました。
このような経験を通じて、大学院に進学して専門知識を深めるとともに、学生の間だからこそできる経験を積みたいと考えるようになり、本研究科への進学を決めました。
2. 研究の内容を教えてください。
「路地の生活景表出に着目した密集市街地の防災性能向上に資する効果検証」という研究テーマで、東大阪市の若江岩田瓜生堂地区を対象とした密集市街地の防災まちづくりに関する研究を行いました。大阪府には「地震時等に著しく危険な密集市街地」(国土交通省)が多く存在しており、対象地区もその一つです。このような地域では、幅員4m未満の細街路の拡幅や木造家屋の建替えなど、防災性向上に向けた整備が進められています。一方で、細街路は住民同士の交流やコミュニティ形成の場としても機能しています。地域のコミュニティは、災害時の助け合いにもつながる重要な要素です。
そこで本研究では、住民の生活の痕跡や交流が現れる「生活景表出箇所」の調査と、防災まちづくり支援システムを用いた防災性能評価を組み合わせ、生活景への影響も考慮した総合的な防災性能評価を行いました。その上で、地区全体への一律な整備ではなく、街区ごとの課題や地域特性に応じた整備手法を組み合わせることで、地域コミュニティへの影響を抑えながら防災力向上を図る計画案を検討しました。
3. 現代システム科学研究科に進学してよかったと思える点について教えてください。
大学院に進学してよかった点は、学生の立場から実践的な経験を積めたこと、学術的知見が深まったこと、課題に取り組む姿勢が身に付いたことなど多くあります。
その中でも特に、本研究科では幅広い分野について学び、それぞれの研究に触れられたことがよかったと感じています。自分の専門分野だけでなく、普段はあまり関わることのない分野の研究を知ることで、新しい視点や考え方に触れることができ、自分の研究を見つめ直すきっかけにもなりました。
4. ご自身の研究が社会にとってどのような意味をもつのか、またご自身の研究から広がる可能性について教えてください。
密集市街地では、防災性向上のために道路拡幅や建替えが進められていますが、その過程で住環境が大きく変化し、地域コミュニティが損なわれる可能性があります。しかし、災害時には、地域住民同士の助け合いが被害軽減につながることも多く、コミュニティは地域防災力を支える重要な要素の一つです。
そこで本研究では、防災性能だけでなく、地域コミュニティにも着目しながら整備手法の検討を行いました。整備手法の検討時には、地区全体を一律に整備するのではなく、街区ごとの課題や地域特性に応じた整備を組み合わせることの重要性を示しました。
本研究で用いた評価の考え方は、対象地区だけでなく、全国の密集市街地や既成市街地における防災まちづくりにも応用できる可能性があると考えています。
5. この研究科に進学しようとする学生に対して何かメッセージがあれば教えてください。
大学院に進学すると、研究室で過ごす時間、自身の研究と向き合う時間が多くなります。自分自身で考え、様々なことを経験できる一方で、焦りや不安を感じる場面も多くあると思います。しかし、そのような経験を通して、自分で課題を考え、周囲の人と相談しながら研究を進めていく力が身に付いたと感じています。
また、研究活動だけでなく、先生方や学生同士の交流、学外の方との関わりなど、多くの経験ができることも魅力だと思います。大変なこともありますが、自分自身の成長につながる時間になると思うので、興味のあることにはぜひ積極的に挑戦してほしいです。