関 勇弥 さん

情報制御技術で、光通信をもっと高速大容量に

関 勇弥 さん

セキ ユウヤ

情報学研究科 基幹情報学専攻・博士後期課程1年

光通信の課題「コア間クロストーク」の削減法を研究。

社会の高度情報ネットワーク化に対応するための次世代インフラのひとつが「マルチコアファイバ」です。ひとつのファイバの中に複数のコア(信号光の通り道)を作ることで通信容量を増やすことができます。しかし、あるコアに信号光を流すと、その一部が隣接コアに漏れてノイズとなる「コア間クロストーク」が生じます。

私は、ネットワークの制御によってコア間クロストークを削減する方法を研究中です。隣接コアに信号光をできるだけ流さないように、どのコアに信号光を流すかを割り当てる新しい方法を開発。この方法を適用すれば、マルチコアファイバ設計時にコア数と通信容量の上限を決定できることを実証し、国際会議(学会)で発表することができ、イタリア・イギリスに行ってきました。

異分野の学生との交流がフェローシップ採択に繋がる。

私の研究は「大学フェローシップ創設事業」*1にも採択され、研究費等の支援があり大変助かっています。その後、日本学術振興会の学術研究員DC2*2に採択され、さらに充実した支援を受けられることになりました。こういった応募の際には研究の内容や意義をわかりやすく伝える必要がありますが、私は「システム発想型学際科学リーダー養成学位プログラム(SiMS)」*3の履修生として、研究室ローテーションで異分野の研究環境で学ぶ機会があり、その際に自分自身の研究内容を異分野の研究者に説明して理解してもらうトレーニングも行っていたので、その経験が役に立ちました。

研究を続ける中で望む成果が出ていない時などの私のリフレッシュ法は、カフェに行ってケーキを食べることです。そんな時、研究室の指導教員の戸出教授もやさしく声をかけていただき、いつも熱心に指導してくださり、とても心強いです。大学院に進学してからTOEICのスコアも大幅に伸びたので、今後は海外留学にも挑戦したいと考えています。将来はまだ明確に決めていませんが、マルチコアファイバの設計や普及に貢献できる仕事に就きたいと思っています。

*1 「大学フェローシップ創設事業」……文部科学省の「科学技術イノベーション創出に向けた大学フェローシップ創設事業」の支援を受けて大阪公立大学が大学院生を支援する補助事業で2024年度からは、「(新)次世代研究者挑戦的研究プログラム」として募集される

*2 「学術振興会 特別研究員」……日本学術振興会の「特別研究員」制度は、優れた若手研究者を支援する制度として審査の結果、採択された場合は研究奨励金が支給されるためさらに研究に専念することができる

*3 「システム発想型学際科学リーダー養成学位プログラム(SiMS)……大阪府立大学・大阪市立大学が文部科学省の支援を受けて実施し、「S評価」を獲得した実績ある博士課程の5年一貫の学位プログラム。新しい価値を創造し、産業界を牽引するグローバルリーダーを養成する選抜制プログラム。システム発想型学際科学リーダー養成学位プログラム|大阪公立大学 (omu.ac.jp)

※所属・内容は2023年度のインタビュー時点のものです。