王 潔文 さん

ドクターに進学し、研究分野のエキスパートをめざす

王 潔文 さん

ワン ジュエン

情報学研究科 基幹情報学専攻 博士前期課程2年

生体内に人工的な情報ネットワーク創生をめざす分子通信の研究開発

研究テーマは「化学的相互作用と物理的相互作用に基づくバイオナノマシン集団の回転運動」です。近年、情報通信分野において分子通信が注目されています。分子通信は、生体内における細胞間の情報伝達を模倣した新しい情報通信の概念です。情報を生体分子に載せて伝達し、酵素やタンパク質などの生体素材で構成されるバイオナノマシン同士の通信への利用が考えられています。分子通信を介して、バイオナノマシンが生体内でお互いに会話したり、体内細胞と会話したりすることにより、病気の診断や治療などの応用が期待されています。先行研究でのシミュレーションでは、バイオナノマシンの集団が自律的に集合体を形成することが示されています。

世界的なインターネットの普及を実感し、高校時より情報学を志望

私は中国から来日しましたが、来日した高校生の頃から情報学関連への進学を志望していました。当時、中国でもインターネットやスマートフォンが普及し、生活に便益をもたらしていました。情報関連の仕事は世界中で需要があり、経済的な安定も見込める職業だと思い、大阪市立大学工学部に入学し、その後、さらに勉強を進めたいと思い、大学院に進学しました。また、情報学だけでなく、生物のメカニズムに興味があったので、両方の学問分野に携われる、現在の研究室に所属できたのは嬉しかったです。国際的にも著名な先生の存在に、やる気も出ますし、とても良い環境で学ぶことができています。このため、今後は、博士後期課程に進学して、さらに専門的な研究を重ねていきたいと考えています。将来は、大学などの学術研究機会又は企業や研究所などの研究職の仕事に就きたいと考えています。

受験を目指す皆さんへのアドバイスとしては、大学院受験の際に大切なのは英語力だと思います。進学後もほとんどの研究文献は英文で書かれているので、今のうちから頑張って勉強しておいた方が先々役立ちます。現在、学士課程に所属する大学生の皆さん、研究は楽しいですよ。研究への情熱や意欲がある方はぜひ進学をお勧めします。大学院で学ぶことで世界中の研究者と交流ができ、研究業界で活動する道も拓かれていきます。私は毎日、刺激的で充実した日々を楽しく過ごしています。

※所属・内容は2023年度のインタビュー時点のものです。