教育研究活動

研究での地域との関わりについて ~活動事例の紹介~

食栄養学科

■多様な微生物のゲノム解析とフィールドワーク

同じ種類の細菌でも、わずかな遺伝子の違いによって食中毒の原因になったり、逆に私たちの暮らしや健康に役立ったりすることもあります。こうした違いを研究テーマとして扱う微生物学教室では、高度な遺伝子解読技術を駆使する一方、現場に出かけて試料を集めるフィールドワークも行っています。古くからの発酵蔵にご協力いただき、見学会を企画することもあります。

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■各機関と連携した食育推進と栄養・保健指導に関する研究

⾏政、学校、地域と⼤学が連携し、⽣涯を通じた健康につながる体系的な⾷育推進の普及・啓発のあり⽅について検討しています。令和3年度は⼤阪市住吉区および住吉区内の複数中学校と連携し、中学⽣の朝⾷⽋⾷率低下を⽬指した「朝⾷啓発プログラム」を実施しました。また職域における⾷環境整備や、ナトリウム/カリウム⽐を指標とした循環器病疾患予防のための保健指導のあり⽅について研究しています。

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■膝前十字靭帯再建術後アスリートの栄養管理に関する研究

医療施設のスポーツ整形外科医、理学療法士との連携により、膝前十字靭帯再建術後のアスリートの最適なリハビリテーションプログラムの作成を目的として、手術後の入院期間中から、スポーツ現場への復帰までの期間(退院後約6ケ月後)の栄養素等摂取量と身体組成変化等との関連性について研究を行っています。

■食品成分による生活習慣病の予防効果の解明

栄養機能科学研究室では、食品成分による生活習慣病の予防効果とその作用メカニズムについての研究を行っています。健康寿命の延伸に寄与するために科学的根拠が明らかとなった食品成分を用いた機能性食品への開発に応用したいと考えています。

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■食品の高温加工・調理で、新たに機能性物質が発生するか

食品の調理や加工で、加熱は最も一般的です。200℃近い高温を用いる加工調理の代表として焙煎操作がありますが、その操作で食品の成分がどのように変化するのか、必ずしも解明されているわけではありません。高温ゆえに多様な化学反応がおきる焙煎で、新たに生じる機能性成分がないか、調べています。図は、焙煎加工の一例のコーヒー豆焙煎図ですが、より焙煎度が濃いものに、有用な機能性物質が多く生成しているようです。

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居住環境学科

■地域貢献プロジェクト:「泉北ほっとけないネットワーク」プロジェクト
~地域の「空き」を共有し、コミュニティサービスを展開する~

45年前に開発された泉北ニュータウンが急速な高齢化とともに、人口の減少と空き家・空き店舗の増加が進行し、地域再生ための仕組づくりが強く求められています。その複合的な地域課題に対して、2010年9月、槙塚台地区(人口約7000人、高齢化率約30%)において住民・NPO・大学・行政が相互連携する「泉北ほっとけないネットワーク推進協議会」を組織し、空き住戸と空き店舗を福祉サービス拠点に転用し、高齢者・障害者・子どもを含む住民を包括支援するための安心居住・食健康のコミュニティサービスを提供する「泉北ほっとけないネットワーク」プロジェクトを展開しています。
具体的には、国土交通省、大阪府、堺市などの支援(注)をうけながら、住民・NPO・大学・行政が相互連携する組織「泉北ほっとけないネットワーク推進協議会」を組織し、空き住戸と空き店舗を福祉サービス拠点に転用し、高齢者・障害者・子どもを含む地域住民生活を包括的支援するための安心居住・食健康のコミュニティサービスを提供しています。拠点として、地域レストラン(近隣C.空き店舗、2店舗・計230㎡)、まちの交流サロン(近隣C.空き店舗、1店舗・58㎡)、生活支援住宅(府営住宅空き住戸、7住戸・計300㎡)、シェアハウス(戸建住宅、1住戸・134㎡)を整備し、見守りをかねた配食サービス、昼食、居酒屋の提供、各種サークル支援、食健康相談、健康リハビリ支援などのコミュニティサービスを展開しています。これらの活動は、従来の行政や事業者主体の事業でなく、地域住民・NPO主体のコミュニティ事業を大学がコーディネイトすることで、各種のモデル事業指定を受けながら、制度に縛られない地域分散型のコミュニティサービス事業を実践したことは、今後のニュータウン再生のモデルになっています。
この活動は国土交通省の高齢者等居住安定化推進事業に指定されたもので、都市住宅学会賞(業績賞)、人間-環境学会賞を受賞しました。加えて一連の活動をまとめた書籍『ほっとかない郊外‐ニュータウンを次世代につなぐ‐』は、第32回地方出版文化功労賞の奨励賞を受賞しました。
また、若年世代等の定住者の増加を目指し、NPOや大阪市立大学(当時)、建築家、不動産事業者などで泉北ニュータウン住宅リノベーション協議会を組織し、平成27年4月から活動を行っています。具体的には、堺市と協力して「リノベーションによる中古住宅などの流通」や「職住一体の暮らし」の促進による「泉北スタイル」の普及を目指しています。
注)国土交通省高齢者等居住安定化推進事業、堺市地域共生ステーション推進モデル事業、新しい公共の場づくりのためのモデル事業などのモデル事業指定を受けている。

大阪公立大学メンバー

森一彦(大阪市立大学名誉教授)
小伊藤亜希子(大阪公立大学教授)
中野茂夫(大阪公立大学教授)
生田英輔(大阪公立大学教授)
小池志保子(大阪公立大学教授)
春木敏(大阪市立大学元教授)
早見直美(大阪公立大学講師)
川口裕人(大阪公立大学非常勤講師)
木内菜津子(大阪公立大学非常勤講師)

人間福祉学科

■生活現場に出向いて福祉政策とソーシャルワークを考える

生活困窮と対応策の課題に着目し、生活現場や支援現場に出向いて最前線の動向を把握しつつ、福祉の政策や相談支援のあり方について研究しています。ゼミでも、専門的な文献を読んだり、現場視察やインタビュー調査などのフィールドワークを行ったりしています。

kakita