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全固体電池研究最前線!全固体電池研究所が文部科学省「共同利用・共同研究拠点」に認定

2023年4月4日

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2023年43日(月)、大阪公立大学 研究推進機構 全固体電池研究所(研究所長:工学研究科 教授 林 晃敏)が、全国初の全固体電池に関する学術研究を中心においた「共同利用・共同研究拠点」として、文部科学省から認定を受けました。

本学は、全固体電池研究に関する材料開発、材料解析評価、および材料プロセス研究において、世界的に高く評価されており、全固体電池の学術的研究を遂行していく十分な研究環境を整備してきました。特に、全固体電池材料の合成や評価解析に必要不可欠な大気非曝露に対応した研究設備を整備してきた点が評価され、認定に至りました。

共同利用・共同研究拠点としての活動

リチウムイオンやナトリウムイオンが高速に伝導する固体電解質等の材料開発や評価解析、材料プロセス開発において、共同利用・共同研究拠点として十分に機能を発揮できる状況にあります。

本共同利用・共同研究拠点では以下のような活動を通して、全固体電池に関する基礎的、学術的研究の推進および若手研究者への研究教育、育成を行っていきます。

(1)全固体電池に関する材料研究に必要不可欠な大気非曝露雰囲気に対応した研究設備の整備
(2)全固体電池に関する材料研究に必要不可欠な大気非曝露雰囲気に対応した研究設備を用いた共同利用、共同研究の遂行
(3)若手技術職員、特に女性技術職員の育成と雇用の促進
(4)若手研究者に対する実験指導や受託解析
(5)異分野・官民・大学間交流の推進と若手育成を促進するセミナーやワークショップの開催

fig.1

共同利用・共同研究拠点に申請した背景と目的

再生可能エネルギーや環境にやさしい電動自動車の大規模導入には、電気エネルギーを貯蔵する高容量で長寿命・ 安全性の高い蓄電池の開発が不可欠とされています。近年、リチウムイオン二次電池で用いられている可燃性の有機電解液を不燃性の無機固体電解質に置き換えた全固体電池の開発が盛んに行われています。現在では、電解液に匹敵するイオン伝導度を示す硫化物系固体電解質が見いだされ、全固体電池への応用が期待されています。

全固体電池の材料開発、材料評価解析や材料プロセス開発に関する研究には、大気非曝露環境での実験を行える環境が不可欠ですが、大気非曝露環境に対応した研究設備を各研究者が確保するのは研究費面において容易ではなく、共同利用、共同研究拠点化された研究施設が求められています。特に、硫化物系固体電解質では、大気中の水分等と化学反応を生じて劣化・変質してしまうため、大気非曝露化した研究設備が必須となり、限られた研究機関でのみ研究が行われているのが現状です。

本研究拠点では、大気中での取り扱いが困難な全固体電池材料について基礎的、学術的共同研究を推進することにより、全固体電池研究に携わる研究者間の交流を密に行い、全固体電池の実用化に向けた様々な課題を基礎的、学術的な観点から解決し、新たな材料開発、材料評価解析および材料プロセス開発において革新的な進展を目指していきます。

fig2

全固体電池のイメージ図

fig3

全固体電池学術共同研究拠点の特徴

参考情報

令和5年度「共同利用・共同研究システム形成事業~特色ある共同利用・共同研究拠点支援プログラム~スタートアップ支援」採択拠点一覧(文部科学省Webサイト)

本件に関する問い合わせ先

大阪公立大学大学院工学研究科
教授 森 茂生(もり しげお)
TEL:072-254-9318
E-mail:moris[at]omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。

報道に関する問い合わせ先

大阪公立大学 広報課
TEL:06-6605-3411
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。

該当するSDGs

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