お知らせ
前身校名誉教授らが令和8年春の叙勲を受章
2026年4月29日
- 受賞
2026年4月29日(水)、令和8年春の叙勲受章者の発表があり、前身校名誉教授らをはじめ多数の関係者が受章しました。心よりお祝い申し上げます。
※ご本人から掲載承諾を頂いた受章について記載しております。

瑞宝中綬章
松本 博之(まつもと ひろゆき)
大阪市立大学名誉教授
受章コメント
この度は思いがけず瑞宝中綬章受章の栄に浴し、大変ありがたく厚く御礼申し上げます。大阪市立大学(現、大阪公立大学)での長きにわたるご指導ご厚誼のお陰と感謝しています。
思い起こせば、1968年3月、大阪市立大学法学部を卒業し、恩師(故)小室 直人名誉教授のお勧めで法学部助手に採用していただき民事訴訟法学の研究を始め、以後2009年3月の定年退職まで41年の長きにわたり、大阪市立大学の発展の中で、優れた研究者集団に加えていただき研究教育に携わることができました。
1980年代後半は大学の国際化が叫ばれ、法学部でも3コース制を採用し特色ある教育を目指しました。また、法学部では学部間の国際交流も重視され、1989年に大阪市立大学法学部とドイツ・フライブルク大学法学部の学部間交流の計画がまとまり、2年に一度くらいの頻度でドイツと大阪で交互にシンポジウムを実施し、相互に関心のあるテーマを決めて討議することになり、第1回の行事をフライブルグで行いました。この交流は今日まで有意義に続いており、学部にとって大きな財産になりました。私も第3回から第7回まで市大側の代表として連絡調整に当たりました。これらの成果はその都度単行本の形で日独双方で出版されています。教育活動では、学部及び大学院のゼミナールから多くの人材を輩出したことは大変嬉しいことです。実業界及び法曹界で活躍している卒業生も多く、大阪公立大学法科大学院の講師として現在実務教育に携われている人もいます。また研究者になり、日本民事訴訟法学会で活躍している大学院修了者の活動に接し感激しています。その他、大阪市立大学法学部の特色のある活動として、教員と学生で構成される法律相談所がありますが、私も大学での法律相談、年一回の地方での巡回法律相談に参加し、市民の困りごとに接し、また学生諸君や同僚の教員と親しく話す機会を得ました。これらは私の研究教育活動にも大変有益でした。
今回の受章に際し、大阪公立大学の関係者に大変お世話になりました。衷心よりお礼申し上げ、大阪公立大学の更なる発展をお祈りします。
略歴
昭和43年3月 大阪市立大学法学部法学科 卒業
昭和43年4月 大阪市立大学 助手
昭和48年4月 大阪市立大学 助教授
昭和61年4月 大阪市立大学 教授
平成7年4月 大阪市立大学 法学部長
平成21年4月 大阪市立大学 名誉教授
専門分野:民事訴訟法
業績
松本 博之大阪市立大学名誉教授は、長年にわたり民事訴訟法の教育・研究に尽力され、学術の発展と後進の育成に多大なる貢献を果たされました。
研究面では、日本民事訴訟法の母法であるドイツ民事訴訟法との緻密な比較法的研究を基盤に、民事訴訟法の根幹を成す重要課題において極めて顕著な業績を挙げられました。「民事自白法」や「証明責任の分配」、「既判力理論の再検討」など、多数の単著を上梓され、特に訴訟行為論や証明責任論の深化に寄与されました。また、「日本立法資料全集」の編集を通じて民事訴訟法の立法過程を解明し、歴史的研究の基盤を構築されたことは、後進の研究者に資する極めて重要な学術的貢献です。
教育面においても、共著「民事訴訟法」や「尾中郁夫家族法学術賞」を受賞した「人事訴訟法」をはじめとする多数の体系書・教科書を執筆され、理論と実務の両面から法曹界・学界に多大な影響を与えました。その門下からは多くの優れた法曹や研究者が輩出されています。
国際交流においては、ドイツ・フライブルク大学との「日独法学シンポジウム」の開始当時から中心的な役割を果たされ、30年以上にわたる双方向的な国際学術交流を確立されました。これらの功績により、平成18年にはフライブルク大学から名誉法学博士の称号を授与されています。
学会および社会貢献においても、日本民事訴訟法学会理事長や司法試験第二次試験考査委員(民事訴訟法)などの要職を歴任されました。また、大阪府建設紛争審査会委員としての長年の功績に対し、国土交通大臣表彰および大阪府知事表彰を受けるなど、専門的知見を活かした社会正義の実現にも大きく寄与されました。

瑞宝中綬章
竹下 豊(たけした ゆたか)
大阪府立大学名誉教授
受章コメント
今回、瑞宝中綬章をいただくことになり、正直、うれしさよりも戸惑いの方が大きいです。大阪府立大学との統合により、大阪女子大学の名前が消えてからすでに20年余り、このたび、大阪公立大学の推薦で、大阪女子大学の旧教員である私が叙勲を受けるというのも、意味のあることだと思っております。
私は大阪女子大学に1978年に着任し、爾来27年勤めました。そして、統合により大阪府立大学の教員となって6年、2011年に定年退職し、大阪府立大学名誉教授となりました。専門は和歌文学の研究で、和歌史の転換期である院政期の和歌、特に「堀河百首」の研究に力を注ぎ、同時に「万葉集」の研究史、享受史の研究に取り組んでまいりました。
また、大阪女子大学の2学部改組により、評議員、人文社会学部長・研究科長を務め、統合後の大阪府立大学でも教育研究会議委員(副学部長格)などを歴任しました。皆さんの支えがあって、管理職を全うすることができ、深く感謝しております。
それらの活動の中で、大阪女子大学人文社会学部長の職に在った時の、大阪府立大学総合科学部文系(後には社会福祉学部も加わる)との統合をめぐる話し合いでは、本当に苦労しました。歴史や学風(校風)、それぞれの大学で担ってきた役割も異なった者の話し合いは難航しました。その苦労は今でも忘れ難い思い出です。
現在では、大阪市立大学と大阪府立大学が統合され、大阪公立大学が新たに発足しました。公立大学の旗手として、また文系と理系のバランスのとれた、真の総合大学として発展するよう期待しています。
略歴
昭和46年3月 東京教育大学文学部 卒業
昭和49年3月 京都大学文学研究科修士課程 修了
昭和52年3月 京都大学文学研究科博士課程 単位取得退学
昭和52年4月 奈良大学文学部 講師
昭和53年4月 大阪女子大学 助手
昭和54年5月 大阪女子大学 講師
昭和61年10月 大阪女子大学 助教授
平成元年6月 大阪女子大学 教授
平成13年4月 大阪女子大学 人文社会学部長・大学院文学研究科長
平成15年4月 大阪女子大学 人文社会学部長・大学院文学研究科長再任
平成17年4月 大阪府立大学教授(統合による)
平成23年4月 大阪府立大学 名誉教授
専門分野:日本古典文学、和歌文学
業績
竹下 豊大阪府立大学名誉教授は、長年にわたり日本古典文学、特に和歌文学の教育・研究に尽力され、学術の発展と後進の育成に多大なる貢献を果たされました。
研究面では、従来看過ごされがちであった「万葉集」の享受および注釈史に光を当て、平安時代を中心に多くの業績を残されました。その卓越した研究は、「和歌大辞典」等の事典類や「冷泉家時雨亭叢書」の解題執筆を委ねられるなど、学界からの厚い信頼を得ています。また、重要資料でありながら未開拓であった「堀河院百首」の研究において独歩的な業績を挙げられ、その集大成である著書「堀河院百首の研究」により京都大学より博士(文学)の学位を授与されました。
教育面においても、文献学的研究方法の基礎を指導しました。学会活動では、和歌文学会関西例会の事務局を例会発足の初期の段階から引き受け、同会100回記念冊子の刊行に尽力されるなど、研究のみならず、学会の開催や運営、大学を超えた後進の指導などで、常に学会を牽引されました。
特筆すべきは、大学運営における卓越した指導力です。大阪女子大学の二学部改組に際しては将来構想委員会委員として先導的な役割を果たし、さらに三大学統合による大阪府立大学の発足に際しては、人文社会学部長として極めて困難な統合交渉の舵取りに貢献されました。歴史も文化も異なる三大学統合と、在学生が安心して学業を全うできる体制の維持に心血を注がれた功績は、旧三大学の教職員から深く信頼されるところとなりました。