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2025年5月21日
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居住環境学科を卒業した佐久間綾音さんの卒業論文が、学術誌Regional Science Policy & Practiceに掲載されました。
研究概要
近年の観光ジェントリフィケーションは、Airbnbのような、P2Pデジタルプラットフォームを通じた短期賃貸の増加に起因しています。多くの観光都市では、この短期賃貸に対して規制してきましたが、複数の研究が、規制の効果は無いと報告しています。京都市でも、簡易宿所による、観光ジェントリフィケーションが進行しています。そこで本研究は、京都市が実施した「駆け付け要件規制」が、人口減少の防止に与えた効果を分析しました。
その結果、規制後、簡易宿所の開業件数が半減し、ホテルの開業件数が1.5倍に増加しました。規制が、簡易宿所の新規開業を困難にした可能性を示唆しています。さらに、歴史的中心エリア全体で人口減少が加速しているにも関わらず、ホテルが開業した町内では規制後、1件あたり、7.419人が統計的有意に増加していました。
「駆け付け要件規制」は、宿泊施設そのものではなく、管理者の所在を規制する点が特徴的です。この比較的緩やかな規制が、人口減少の抑制に寄与した可能性があります。本研究は、観光都市における宿泊施設の規制が、地域社会や人口動態に及ぼす影響を示す貴重な事例となっています。
佐久間綾音さんの卒業研究は、居住環境学分野のEvidence Based Policy-makingに向けた重要な研究成果として高い評価を受けて、2025年5月17日付で、国際学術誌Regional Science Policy & Practiceに、オンライン掲載されました。
図: 町丁目別の立地特性 (注:上段は規制前の、ホテルの数(a)、簡易宿所の数(b)、人口変化 (c)を示す。 下段は規制後の、ホテルの数(d)、簡易宿所の数(e)、人口変化(f)を示す。 )
掲載誌情報
雑誌名:Regional Science Policy & Practice,, Vol. 17, Issue 9, No. 100203 (2025)
論文名:Effect of Simple Accommodation Regulation on Preventing Population Decline in the Historical Centre of Kyoto City
著者:Ayane Sakuma and Haruka Kato
掲載URL:https://doi.org/10.1016/j.rspp.2025.100203
資金情報
本研究は、JSPS科研費(23K26284)、電気通信普及財団の支援を受けて実施しました。