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2025年6月3日
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金東浩准教授研究グループの博士前期課程の宇佐美夕夏さんは,第79回日本栄養・食糧学会大会で「トピックス賞」を受賞しました.
閉経後の女性では、エストロゲンの分泌が著しく低下することにより、脂肪の蓄積が進みやすくなります。この脂肪蓄積は、酸化ストレスの増加を引き起こし、脂肪組織に慢性炎症を誘導することで、メタボリック症候群の発症リスクを高めることが知られています。
ビタミンEは、脂溶性の強力な抗酸化ビタミンであり、こうした酸化ストレスに起因する病態の予防に有効である可能性が指摘されています。しかし、現在の日本におけるビタミンEの食事摂取基準は、実際の平均摂取量をもとに策定されており、性別や閉経の影響を十分に考慮した科学的根拠に乏しいのが現状です。
本研究では、閉経後女性のモデルとして卵巣摘出ラットを用い、ビタミンEの体内動態を明らかにし、必要摂取量の基礎的データを得ることを目的といたしました。その結果、高脂肪食を摂取した卵巣摘出ラットでは、肥満の進行とともに、体内のビタミンE貯蔵量が著しく減少していることが確認されました。この減少の原因としては、卵巣摘出による吸収効率の低下に加えて、肥満に伴う酸化ストレスの増加により、ビタミンEが多く消費されたことが考えられます。
以上の結果から、閉経後の女性においては、十分な量のビタミンEを摂取することが、酸化ストレスの抑制や慢性炎症の予防を通じて、メタボリック症候群の発症リスクを低下させる上で重要であると考えられます。
令和7年度 日本栄養·食糧学会トピックス賞受賞演題のお知らせ
https://www.jsnfs.or.jp/news/news_20250602.html
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