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2025年8月29日

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袁継輝准教授らの研究グループ:建物のエネルギー性能における日射遮蔽効果を簡易評価 ~日本4都市における影の影響を定量化し、パッシブデザイン戦略を提示~

ポイント

◇ 建物周辺の遮蔽要素(建物・樹木)が冷房負荷に与える影響を、簡易計算手法で評価

◇ 日本4都市(東京・名古屋・大阪・福岡)を対象に、日射角度・影の長さ・熱負荷を算定

◇ 遮蔽によりピーク時冷房負荷を15〜20%削減可能であることを確認

◇ 設計初期段階でも適用可能な「軽量シミュレーション手法」を提案し、都市設計・省エネ戦略への応用が期待される

グラフィカルアブストラクト

袁先生

概要

建築物の冷房負荷削減において、日射遮蔽は最も有効な受動的手法のひとつです。しかし従来の研究は、詳細なエネルギーシミュレーションに依存しており、設計初期段階では適用が難しい課題がありました。

本研究では、太陽位置の幾何学計算・影の長さ予測・熱負荷算定を組み合わせた簡易フレームワークを提案しました。日本の温帯気候に属する4都市(東京・名古屋・大阪・福岡)を対象に、建物・樹木による遮蔽が熱負荷に与える影響を定量化しました。

その結果、ピーク日射時において冷房負荷を15〜20%削減できることを確認しました。とくに福岡では最大17.7%、東京・大阪・名古屋では17.4%の削減効果が得られました。本手法は複雑な入力データを必要とせず、設計初期段階での迅速な判断に活用できる点に特徴があります。

研究の背景

建築分野では、冷房エネルギー削減と温熱快適性向上を両立させるために、パッシブデザイン手法の重要性が増しています。特に都市部では、隣接建物や樹木による日射遮蔽がエネルギー需要に大きな影響を与えます。しかし、現行の詳細シミュレーション(EnergyPlusなど)は入力情報が膨大で、初期段階での利用は困難です。

研究の内容
  • 対象建物3階建て標準住宅モデル(外壁面積120㎡、U5 W/m²K、室内設定温度22℃)
  • 遮蔽条件:高さ10mの建物、5mの樹木を想定し、標準化した条件で評価
  • 評価手法R言語を用いたソーラージオメトリ計算、影長計算、熱負荷算定
  • 検証EnergyPlusとの比較により、冷房負荷削減率の差は6%以内と良好な一致を確認
提案された知見と効果
  • 遮蔽により、ピーク冷房負荷を1520%削減可能
  • 影の長さと太陽高度の関係から、都市別に最適な遮蔽戦略を提示
  • 設計初期段階でも活用可能な「軽量かつ再現性の高い評価法」を確立
今後の展開

本研究は、詳細シミュレーションに依存せず、遮蔽効果を簡易に定量化する方法を示しました。今後は、熱帯・亜熱帯都市での適用や、可変遮蔽装置・植栽の季節変化を組み込んだ拡張研究が期待されます。

資金情報

本研究は、日本学術振興会科研費(JP24K05546, JP24K01053)および次世代挑戦的研究者育成プロジェクト(JST SPRING)(Grant Number: JPMJSP2139)の支援を受けて実施されました。

掲載誌情報
  • 【発表雑誌】Elsevier・Results in Engineering
  • 【論文名】Shading effects on building energy performance: A multi-city analysis
  • 【著者】Xiong Xiao(第一著者), Jihui Yuan(責任著者), Zhichao Jiao, Shaoyu Sheng,  

Jiale Chai, Xiangfei Kong, Craig Farnham, Kazuo Emura

研究内容に関する問い合わせ先

大阪公立大学大学院生活科学研究科

准教授 袁 継輝(えん けいき)

TEL:06-6605-2833

E-mail:yuan[at]omu.ac.jp ※[at]を@に変更してください。